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“速度制限”を気にしてほしくない――スマホユーザーの悩みに応えた楽天モバイル「スーパーホーダイ」

 楽天モバイルの新プラン「スーパーホーダイ」は、低速通信時も1Mbpsと他社より緩い制限が特徴だ。23日の発表会では、楽天 副社長執行役員の平井康文氏や、楽天モバイル事業担当の執行役員 大尾嘉宏人氏から新プランの狙いや今後の方針が語られた。なお、「スーパーホーダイ」の詳細については別記事も参照いただきたい。

楽天 副社長執行役員 平井康文氏(左)と、執行役員 大尾嘉宏人氏

楽天モバイル劇場

 MVNOや大手キャリアのサブブランドが相次いで投入する「月額1980円」の料金プラン。楽天モバイルの「スーパーホーダイ」もその1つで、楽天会員なら初年度は月額1980円で利用できる。

 大尾嘉氏は、月間の通信容量を使い切ったときの“速度制限”が多くのスマートフォンユーザーの悩みとなっていると紹介。「データ通信容量を気にせず、さまざまなコンテンツ、サービスを楽しんでほしい」(同氏)として、制限時もWebページや動画も表示できる「スーパーホーダイ」を企画したという。

 “楽天モバイル劇場”と称して、料金プランを「1980円で食べ放題のケーキ屋」に見立てた寸劇仕立てでサービスを紹介した。

 同じ1980円でも、「実は食べた分だけの支払いになっていた(“桃”のケーキ屋)」「1980円では少しだけしか楽しめない(“三毛猫”のケーキ屋)」といったように他社のプランに皮肉を交えつつ、スーパーホーダイでは「何も気にせず、思いっきり楽しめる」と紹介した。

「喫茶Kの桃」の「ピッタリケーキセット」は……
実は食べた分だけの支払いで、1980円になる条件もあった
「パティスリー三毛猫」のワンキュッパケーキセットは……
肝心のケーキがほとんど食べられなかった
「デザートビュッフェ楽天」
混みあう時間もあるが、ちゃんとケーキが食べ放題! アピールする大尾嘉氏

実効速度も1Mbpsに近い速度で

 会場には最大1Mbpsのデモンストレーション展示を用意。テスト用に下り速度のみを制限したものというが、YouTubeの動画再生もスムーズに行われていた。

 会場の担当者によると、「1Mbpsという速度はベストエフォート(規格上の最大速度)で、実効速度を具体的な数値として出してはいないが、この上限値に近い速度で利用できるように調整している」と説明。動画、VoIP、Google Playといった特定の通信への制限や、継続して通信する一部ユーザーへの制限などを実施する予定はないという。

 平井副社長は、囲み取材にて「店頭で実際に速度を体感できる展示を用意して紹介したい。最大300kbpsに制限される時間帯もある(12時~13時と19時~20時)ということも含めて、きっちり説明していく」と語った。

コンテンツとの連携を加速

 楽天では2017年度より組織体制を変更し、楽天モバイルが含まれる通信部門と「楽天マガジン」や「楽天マンガ」といったモバイルコンテンツ部門を統合。モバイル通信サービスとコンテンツを連携して展開していく下準備を整えた。

 平井副社長はコミュニケーションアプリの「楽天Viber」や、この春買収したショッピングサイトに繋がるキーボードアプリ「ShopChat」などを紹介。今後、楽天モバイルを軸に、さまざまなコンテンツサービスを追加して訴求していくという。

“三木谷割”しません

 「スーパーホーダイ」では、長期優待ボーナスという割引制度が用意されている。契約解除料が発生する“最低契約期間”を1年、2年、3年の3種類から選べるようになっており、2年や3年を選んだユーザーに割引やポイント還元をするという内容だ。大尾嘉氏はこれを「長期間利用していただけるお客様への“えこひいき”」と紹介した。

 定期的に端末の割引セールを実施し、会長にちなんで“三木谷割”という俗称が付くほど大盤振る舞いしていた楽天モバイル。新プラン「スーパーホーダイ」に、長期間利用するユーザーへの割引を組み込んだことで、端末販売にの方針も変化させるという。

 平井氏は囲み取材の中で「今回、スーパーホーダイに変わるので、値引きはしない。これまでは、“どうせまた次のセールが始まるんだろう”というお客さまの声をいただくことも多かったが、これから長期優待の制度で、どの端末に対してもきちんと割引していく」と説明した。

実店舗展開を強化

 ハイペースで出店している「楽天モバイルショップ」などの実店舗展開への取り組みでは、2015年の開始当初に目標としていた150店舗を達成。現時点で約170店舗となった。

 今後はパートナーと提携によって楽天モバイルショップを拡大していくという。大尾嘉氏は「実店舗の契約が増え、オンラインとの契約比率が半々になった」と紹介した。

 実店舗には、ITリテラシーが高くない来店客も多いというが、平井氏はそうした来店客にはスーパーホーダイを進めていきたいと説明。「スーパーホーダイは、今のニーズに合っていて理解もしやすいと考えている」と語った。