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千葉の空を楽天の宅配ドローンが飛ぶ、ドコモのLTE対応
熊谷千葉市長「2018年~2019年には市民が利用できるように」
2016年11月22日 15:08
22日、千葉市の稲毛海浜公園で、ドローンを使った宅配サービスをイメージしたデモンストレーション飛行が実施された。実験を見守った熊谷俊人千葉市長は「2018年~2019年頃には市民が利用できるようになれば」と語った。
ドローンは楽天が開発したもので、あらかじめ指定されたルートを自律飛行する。NTTドコモのLTE対応通信モジュールを搭載しており、飛行開始の指示や、飛行中のバッテリー残量などのパラメーター情報、映像をリモートで伝送する。デモでは熊谷市長がスマートフォンアプリを使って楽天で注文すると、ドローンが現地まで運ぶという流れで進められた。
デモで配送先とされたのは稲毛海浜公園プール。季節は冬に差し掛かろうとする時期ではあるが、実験としては「一家でプールへ遊びに来たお父さん、子供たちの写真を張りきって撮影していたらスマホのバッテリーがなくなったので、あわてて楽天へモバイルバッテリーを注文、ついでに暇つぶし用の本も発注」という、ちょっとこじつけ感のあるストーリー。
熊谷市長がアプリで発注を終えると、東京・二子玉川にある楽天本社からオペレーターが遠隔操作でドローンの発信を指示。LTE経由で指示を受け取ったドローンはすみやかに離陸し、自律飛行しながら目的地を目指す。着陸する場所には、楽天のロゴマークを記したマットがひかれ、ドローンは上空から画像認識でロゴマークを認識して着陸。着陸すれば荷物をリリースして、すぐ離陸して出発地へと戻っていった。
ユーザーの望む場所へ、スピーディに宅配できるというドローンのメリットを伝える内容となり、熊谷市長は「実際に使うにあたり、遠隔で操作して宅配が実現するという未来を、実感できるような内容だった」と評価する。
楽天では東京湾岸部に倉庫を設けており、今後の実験では10kmほどの距離をドローンが飛行することも構想に掲げる。楽天 副社長執行役員の平井康文氏は「上空150mまでの空域は未開拓であり、最善の技術はドローン。都市部で、LTEを使ったドローンという世界初の試みに楽天が貢献できたのはありがたい」と述べドローン宅配サービスの商用化に意欲を示した。
一方、無線技術という面で、福岡での取り組みに続く実験となったドコモにとっては、上空での電波環境について検証を重ねていく方針。担当者によれば、都市部である千葉では四方八方に細かく基地局があり、その基地局に繋がるアンテナが本来は地上に向いて繋がりやすくしているところ、上空のドローンがうまくLTEで通信できるかどうかチェックしていくという。ちなみにLTEによる通信ができなくとも、ドローンは自律飛行のため落下することはない(万が一の落下に備えてパラシュートを装備)。
なお、今回の実験にあたっては20もの団体と交渉して許諾を得たとのこと。スムーズにドローン関連のサービスを展開するためには、社会である程度、合意形成を進めるなど、環境面での整備も今後の課題と言えそうだ。