インタビュー
「isai LGL22」開発者インタビュー
「isai LGL22」開発者インタビュー
細部にまでこだわり抜いた日本オリジナルモデル
(2013/11/5 09:00)
「isai(イサイ)」は、韓国のLG エレクトロニクス製Androidスマートフォン。グローバルモデルではなく、KDDIと共同開発した日本市場向けのオリジナル端末となる。11月下旬以降に発売を控えた注目の機種だ。
同社がこれまで日本市場に投入してきたOptimusシリーズとは違う、新ブランドコンセプトや、こだわりの機能・UIのポイントについて、製品企画担当の金希哲氏にお話を伺った。
「Optimus G」を認めてもらったことで、実現したオリジナルモデル
――KDDIさんと共同開発という取り組みを、やることになった経緯は?
昨年、Optimus GをKDDIさんから出したとき、製品に対する評価がとても高かった。これはKDDIさんからも、(KDDIが実施する)販売後のユーザー調査の結果についてもです。ある意味、Optimus Gでやっと認めてもらえたという感じがありました。そんな中、昨年の10月末ごろ「一緒にオリジナルのものをやってみませんか?」とKDDIさんからお話を頂きました。
――実際やるとなったら体力いりますよね。なにより本国を説得するのは大変だったのでは?
LGでは、日本カスタムに関しては、これまでにも積極的に取り組んできました。他の海外メーカーさんに比べると、防水・赤外線・日本向けデザインを採用してきたほうだと思います。ですので説得自体は、ビジネスとしてもKDDIさんから話を頂いたこともあり、多少すったもんだはありましたが合意に至りました。
――ベースになった端末はG2ですか?
isaiのベースはG2ではありません。実際、メインの筐体となるディスプレイ、CPU以外は全部違います。この冬の時点でLGが持っている、最高スペックのものを使おうとしたがために、結果的にG2と同じディスプレイ、CPUとなりました。コンセプトについては企画段階からまったく別の発想でスタートしました。G2をカスタムしようとしたら、LGとしての方針が強く、逆にやりづらかったんじゃないかと思います。isaiは純粋にコンセプトが違います。
流れる「水」のように自然に使いこなせる操作性をイメージ
――では「isai」のコンセプトについて、こだわりを教えてください。
キャッチコピーでは「意外な出会い」としていますが、基本コンセプトは「使いこなす」です。“使いこなすという意志がなくても気づいたら使いこなしている”というイメージを持っています。
デザインの部分では、5.2インチのディスプレイをメインにしているので、どれだけ本体をシェイプして手にフィットさせられるかがカギになるだろうと。そして本体のカラーとUIのデザインは「水」をテーマにしているのですが、これもちゃんと「使いこなす」につながっています。水ってコップを傾けると水が下に落ちる。川も、川上から川下に自然に水が流れている。このようにユーザーがスマホを手にすると、水が流れるように自然に操作できるように誘ってくれる、そんなイメージでデザインしています。
UIはオリジナルで「isaiスクリーン」と名づけていますが、これまでUIの日本カスタムをしたことはなく、今回始めての取り組みです。グローバルでは100人以上のメンバーでUIデザインチームを構成していますが、今回はその中から「isaiスクリーン」のチームを組んで、開発に力を入れてきました。KDDIのUI担当の方々ともしっかりコミュニケーションして、韓国と日本を行き来しながら仕上げました。
オリジナルモデルって、そもそも何をオリジナルにするのか?という話で、デザイン、UI、GUI、ブランドはオリジナルでやると決めました。とにかくアイデアを出し合いました。メーカーの自己満足だろうとボツにしたものもたくさんありました。その中で、重要視したのはホームスクリーンです。とはいえ、ホームスクリーンは技術的にもメーカーのポリシー的にも簡単に作れるものではないんです。
――ホームスクリーンには素のAndroidの良さを残している?
Androidでは、ホームスクリーンを変えるホームアプリは無数にあるし、やり方が分からない、興味がない、やれることは分かっているけれど面倒くさいという、いろんなユーザーがいると思います。あまりいろいろいじらなくても、とにかく「世の中の今を美しく見せてあげる」という意識で作りました。1枚のディスプレイからさまざまな情報が入ってくるようなイメージです。アプリ一覧の画面も1画面に収まるように、フォルダでまとめたりしています。
――フロントタッチボタンの配置が変えられるのはいいですよね。
これは喜んでもらっています。グローバルでの共通機能ですが、いい部分はカスタムせずにちゃんと残しています。「ホーム」「戻る」「メニュー」ボタン以外にも、ドラッグして通知パネルを表示する操作をボタンひとつでできて、フロントに配置することができます。
――「isai」はLGのブランド? KDDIのブランド?
LGのブランドですが、KDDIさんと共同で開発しましたし、KDDIさん以外から出すことはないです。KDDIさんが展開されている「iida」などはKDDIさんのブランドで、メーカーはあくまでもOEMとして製造をするという役割なのではないでしょうか。そういった意味で「isai」は、メーカーとしてはこれまでとは違うポジションにあると思います。
――「水」がテーマだと、今後もブルー系のカラーリングになりますか?
「isai」ブランド=「水」ではなく、今回のモデルは「水」をテーマにしました。今後に関してはまた別のテーマになるかもしれないし、別のカラー展開の可能性もあります。ひと言で「水」といっても、水面なのか水中なのか、横から見た水なのか上から見た水なのか、など細かい議論もありました。本体カラーと、ホームスクリーンのカラーの組み合わせも、微妙に違うブルーにしてあります。
――デザインも、操作性も細かいこだわりがたくさんありますね。
はい、発売を楽しみにしていただきたいです。
――本日はありがとうございました。