インタビュー
サムスン担当者が語る「GALAXY Note 3」と「GALAXY Gear」
サムスン担当者が語る「GALAXY Note 3」と「GALAXY Gear」
アナログ感覚とハンズフリーの心地よさ
(2013/9/27 11:26)
サムスン電子は、韓国・ソウルで日本メディア向けのプレスツアーを開催。日本でも10月に発売される「GALAXY Note 3」や、腕時計型の周辺機器「GALAXY Gear」について、担当者がコンセプトや新機能の詳細を語った。
アナログの感覚を重視した「GALAXY Note 3」
GALAXY Note 3の開発に当たっては「全世界の『GALAXY Note II』ユーザーに対して調査を行い、どういうベネフィットを伝えるべきかを考えた」(無線事業部 Insight Marketing Group 課長 キム・ドンジョン氏)という。調査の結果、GALAXY Note IIは「比較的若く、流行に敏感で所得水準も高い層が買っていることが分かった」。購入者の1/3は、iPhoneシリーズからの乗り換えだったというデータからも、グローバルでトレンドになりつつある傾向が見て取れる。
こうしたユーザーは、なぜGALAXY Note IIに魅力を感じたのか。キム氏によると、「1番の理由は大画面」だったという。また、「Sペンも理由の1つで、サムスン電子やGALAXYというブランドも、購入に寄与している」。画面が大きいと、動画やマルチタスクが利用しやすくなる。ユーザー調査でも、GALAXY Note IIに対しては、こうした評価が高かったそうだ。
そこで、GALAXY Note 3では、大画面とSペン、2つの用途を広げた。ディスプレイは5.7インチと、5.5インチのGALAXY Note IIより0.2インチ大型化。解像度も大きく上げ、1920×1080ドットのフルHD化を実現した。大画面を活用する機能として強化したのが、「マルチウィンドウ」だ。「画面を2つに分割して使えるのは、GALAXY Note IIと同じ」だが、画面間のコンテンツ移動に対応。「たとえば、スマホについに記事(のURL)をチャットで受け取ったとき、それを別の友だちにドラッグ&ドロップで転送できる」というように、PCのマルチウィンドウに操作性が近づいた。
また、「ペンウィンドウ」も、画面の広さを生かした操作と言えるだろう。ペンウィンドウとは、Sペンで囲んだ範囲にミニアプリを立ち上げる機能のこと。「Webを見ているとき、ちょっとした計算が必要になったらサッと計算機を立ち上げられる」というように、ながら作業が可能になる。対応するミニアプリは、電卓や時計、YouTubeなど。国によっては辞書や電話アプリも利用できる。
もう1つの売りであるSペンについては、「ただ書くだけでなく、日常の中でいろいろなことが楽しめるツール」に進化させた。文字や絵を書くというSペンの位置づけを、通常の操作をサポートし、日々利用する操作補助アイテムに改めたのだ。このコンセプトを具体化させたのが、「エアコマンド」という機能。ペン先を画面に近づけた状態でペンのボタンを押すと、扇状のメニューが出現する。ここには、「アクションメモ」や「スクラップブック」「S Finder」といった、GALAXY Note 3に搭載された新機能が格納されている。
アクションメモは、「実際、ユーザーがスマートフォンで取るメモを調べてみると、電話番号や住所が圧倒的に多い」という調査に基づいて生まれた機能。アクションメモに書いたこうした文字は、電話帳やマップなどにアプリに受け渡すことが可能だ。文字認識機能があるため、ユーザーは利用したい範囲を丸で囲むだけでいい。
スクラップブックは、Webやネット動画をまとめておくための機能。画面キャプチャーでもメモ代わりにサイトを保存できるが、「ギャラリーの画像からは元々のサイトに戻ることができない」。こうした不満を解消するために生まれたのがスクラップブックで、「たとえば、ネットショッピングのページを保存しておき、実際に購入するときはそのページに飛ぶことができる」のが特徴だ。
このほか、GALAXY Note 3内のコンテンツを横断的に検索できる「S Finder」や、ペンウィンドウもエアコマンドに収められている。こうした日常利用への拡張に加え、メモ用アプリの「Sノート」も「前より洗練されたデザインなっており、UXも実際のノートに近づけた」。Sノートは、Evernoteとのシンクロにも対応している。
デザイン面では、背面のレザー調素材が大きな特徴となっている。これはポリカーボネートを加工したものだが、「革の質感が出るようにがんばった」(無線事業部 製品デザイングループ 部長 キム・テジュン氏)。「もっと(紙の)ノートらしくするために、一番いいと思ったのがレザーだった」という発想から生まれたものだ。GALAYX Note 3は「最先端デバイスとしてデザインした」というGALAXY Note IIよりも、アナログ感覚を重視し、「人間になじみのある、手帳のような感じをコンセプトにした」。GALAXY Note IIでは丸みのあったボディが一転、スクウェアな形状に近づいているのもこうしたコンセプトを反映させたためだ。
スマートフォンを手に持たずに操作できる「GALAXY Gear」
このGALAXY Note 3の「コンパニオンデバイス」として開発されたのが、腕時計型の周辺機器GALAXY Gearだ。企画は「GALAXY Note 3と一緒に使い、どういう新提案ができるのかという観点からスタートした」(無線事業部 製品デザイングループ ソン・ジュンヨン氏)。コンセプトは「スマートフリーダム」。UXを担当した無線事業部 UX Innovation Groupのパク・ヒョンミ氏も「スマートフォンを手に持っていなくても、自由に色々なことができる。スマートに自由になれるという哲学が、どんどん広がることを期待している」と自信をのぞかせる。
GALAXY Gearが対応する基本機能は音声通話、ボイスメモ、Sボイス、カメラ、ギャラリーなど。新たに開発したUIで、これらの機能はディスプレイを左右にフリックするだけで呼び出せる。ノイズキャンセリングに対応した2つのマイクと、スピーカーが搭載されており、「マスターデバイス(GALAXY Note 3のこと)の電話帳や、発着信履歴は全部見ることができる。また、Sボイスを通じて、音声で電話までかけられる」(無線事業部 NBD Group イ・ミョンファン氏)。
メモを取るという用途を重視し、カメラも搭載した。カメラは画面を上から下にスワイプするだけですぐに起動する。「日常生活の中で大事な瞬間を撮ろうとしたとき、ケータイを探していると逃してしまうことがある。GALAXY Gearで写真が撮れれば、それがなくなる」というわけだ。写真は「自動的にマスターデバイスに転送される」。バンド部分に目立つような形でカメラが搭載されているのは「カメラが確実についていることを見せるため」(ソン氏)。「理由は想像できると思うが、カメラがついていて、撮影できることは明確にする必要があった。そのために、シャッター音も強調している」という。また、オートフォーカスを採用するため、技術的な観点でもこのサイズが必須だったそうだ。
写真に加えて、音声でもメモを取ることができる。「録音した音声はマスターデバイスに転送され、テキストとして保存される。今までは録音したものをもう1回聞きながら書いていたが、それがそのままテキストになるため、時間を節約できる」(イ氏)という。音声は、クラウド上で処理されるため、認識の精度も高い。短いメモなら、わざわざテキスト入力をする必要もなくなりそうだ。Sボイスと同様、11の言語に対応しており、日本語も利用できるという。
GALAXY Note 3との連携も重視し、「スマートリレー」や「セーフティアシスタンス」といった機能を搭載。通知を見て、GALAXY Note 3を取り出すと本文が表示されていたり、GALAXY Note 3とGALAXY Gearが離れると自動でロックがかかったりと、2つのデバイスを連携させる仕組みも存分に盛り込んだ。
GALAXY Gearには、「Samsung Apps」からダウンロードしたアプリもインストールできる。当初は「70種類ぐらいを用意し、ヘルス関連やチャット関連のアプリが多い」という。日本で人気のLINEも、GALAXY Gear専用アプリが開発された。一方で、現時点では「開発ツールは用意していない」といい、サムスンが限定したパートナーのみがアプリを公開できる仕組みだ。「GALAXY Gearのようなウェアラブルで一番大事なのは電池の持ち。そのために、まずは一緒に開発したアプリだけを入れられるようにしてある」というのが、アプリを制限した理由となる。ただし、イ氏が「まずは」と述べているように、どこかのタイミングで方針転換する可能性もある。ここについては、今後の展開に期待したい。