【Mobile World Congress Shanghai 2016】

「dマーケット」や「+d」の取り組みを解説したドコモ吉澤社長

LTEは今年度中に500Mbpsへ

 6月29日~7月1日、中国・上海で「Mobile World Congress Shanghai 2016」(MWC上海)が開催される。MWC上海は、スペイン・バルセロナで行われる「Mobile World Congress」のアジア版という位置づけ。アジア各国はもちろん、中国のベンダーやメーカーが多数出展するのも、特徴となる。

 そのオープニング基調講演に、NTTドコモで代表取締役社長に就任したばかりの吉澤和弘氏が登壇。ドコモが推し進める、「+d」や「5G」に向けた取り組みが紹介された。

MWC上海で基調講演を行ったドコモの吉澤社長

 基調講演には吉澤氏のほか、中国聯通や中国移動のCEOなども登壇。共通テーマとして「The Next Generation Operator(次世代のキャリア)」が掲げられており、各社とも、ネットワークという基盤の上で展開するサービスに焦点を当てたプレゼンテーションを行った。「アジア・パシフィックはモバイルをリードしている地域で、特に中国、日本、韓国はリーダー的な存在」(GSMA Director General、Mats Granryd氏)で、基調講演はこうした先進事例を紹介するための場と位置づけられている。

GSMAからは、モバイルをリードしているのがアジアであると語られた

 吉澤氏は、講演の冒頭で、世界のキャリアとドコモの収益を比較。世界のキャリアの収益が下落傾向にある中、「ドコモは昨年から回復傾向にある。これはスマートライフ領域が貢献しているため。収益トレンドでは、5年ないし10年程度世界に先行している」と語った。

世界のキャリアとドコモの収益を比較。いち早く収益低下とそこからの脱却を経験したことが、世界のお手本になるという
iモードから段階的に進化してきたドコモのビジネスモデル

 社長就任直後の吉澤氏が、「全力で取り組みたい」と語ったのが、次の3つ。1つ目が「サービスの創造と進化」、2つ目が「+dの促進」、3つ目が「5Gのネットワークや顧客基盤の拡大」だ。ドコモのサービスとして紹介されたのが、dマーケット。吉澤氏はこれを「ビデオオンデマンドや音楽、雑誌などのデジタルコンテンツに加え、知育やヘルスケアなどのライフサポートを提供するもの」として、2つの代表例として「dTV」と「dマガジン」を紹介した。

ドコモが主な事業として取り組んでいる3つの領域
dマーケットは、特に好評のdTVとdマガジンを紹介した

 これに続けて、吉澤氏は+dの事例を披露。グローバルと比べた際のドコモの特徴を、「多くの顧客基盤を持ち、ほとんどがポストペイド。クレジットカードや電子マネーなどの決済手段も提供しており、強みになっている」として、こうした前提の上で、「ロイヤリティプログラムとして、航空会社のマイレージのようなdポイントを開始した」と語る。

「+d」の事例として、マクドナルドにdポイントが導入されたことを紹介

 他企業とのコラボレーション事例としては、6月6日に発表された実証実験の「docomoスマートパーキングシステム」を挙げ、「+dで社会問題の解決にも貢献したい」と語る。「数年後には+dを通信サービスと同等にまで成長させ、それを超えるようにしていきたい」というのが、吉澤氏の目標だ。

社会問題を解決するための取り組みとして、「docomoスマートパーキングシステム」を披露した

 ネットワークに関しては、基調講演当日に開始されたTD-LTEに触れ、「今年度中に500Mbpsを超える高速化を実現し、2020年の5Gに向け、着実にネットワークを進化させたい」と語る。その進化を実現するため、エリクソンやノキアなどの主要ベンダーと、「技術開発を積極的に進展している」とした。

今年度中にはLTEの速度を、500Mbpsまで高速化する予定だ
ノキアやエリクソンと共同で行っている、5Gの実験

 dマーケットや+dの紹介に時間が割かれた吉澤氏のプレゼンテーションだったが、中国キャリアからも同様に、5G時代を見据えたキャリアの将来像が語られている。そのユースケースとして、IoTやフィンテック、AIなども挙げられており、日本や中国、韓国が先進事例のショーケースになっていることがうかがえた。