【Mobile World Congress 2016】
サムスンが「Unpacked」を開催、「Galaxy S7」「Galaxy S7 edge」を発表
シークレットゲストにマーク・ザッカーバーグ氏も
(2016/2/22 16:17)
サムスン電子は、「Mobile World Congress 2016」に合わせ、21日(現地時間)に同社イベントの「Unpacked」を開催した。ここでは、カメラ機能やゲーム機能を大幅に強化した「Galaxy S7」「Galaxy S7 edge」のほか、360度カメラの「Gear 360」が発表されている。端末についての詳細は別記事(※関連記事)に詳しいが、ここではイベントの様子を紹介していこう。
「360度」を意識したためか、今回のUnpackedは、中央にステージが設置され、その周りを報道陣が取り囲むスタイルが採用された。さながら、ボクシングのリングに上がる選手とその観客といった具合だ。
もうひとつ特殊だったのが、全席に設置された「Gear VR」。もちろん、中にはGalaxy端末が入っており、Unpacked開始前には使い方の簡単な説明もされた。プレゼンテーションの途中で、このGear VRをかぶるような指示があり、報道陣がその場で360度のバーチャルリアリティ映像を楽しめるといった仕掛けとなっていた。
演出に凝った今回のUnpackedだったが、プレゼンテーションの内容そのものは、王道といったところ。冒頭では、サムスン電子の無線事業部門を率いる、社長のDJコー氏が登壇。
同社がケータイ時代からさまざまなイノベーションを起こしてきたことを紹介しながら、「消費者をテクノロジーで力づけていき、可能性の境界を押し広げていきたい」と語り、Galaxy S7、S7 edgeの2機種が紹介された。このタイミングで、報道陣にはGear VRを装着するよう指示が出ており、2機種の登場を360度に広がる映像で楽しむことができた。
Unpackedのバトンはここで、Product Strategy(商品戦略)のシニア・バイスプレジデント、ジャスティン・デニソン氏に渡され、両機種の主要な機能が紹介された。デニソン氏が、まず取り上げたのは、そのデザイン。メタルとガラスがシームレスで、2.5Dのラウンドしたボディとなっており、カメラも出っ張りも少なくなっていることが強調された。
また、Galaxy S7 edgeに関しては、「小さくて薄いが、スクリーンサイズは大きい」と語った。同機はエッジスクリーンを左右に採用したことで、5.5インチながら、72.6mmという横幅を実現している。
続いて紹介されたのが、ユーザーインターフェイス。Galaxy S7 edgeでは、エッジスクリーンから呼び出せる機能が強化されており、「エッジからアプリに簡単にアクセスできる」と紹介された。同機能では、新たにサードパーティのアプリに対応。
デモ機ではエッジスクリーン上にYahoo!の情報が表示されていたが、ここにさまざまな情報を表示させることができる。特定の人とのSMSのやり取りや、アプリの中の特定の機能(タスク)をダイレクトに起動させることもできるようになった。
デニソン氏いわく「平均的なユーザーは、1日に100回以上スクリーンをチェックする」そうだが、これまでのスマートフォンではそのたびにバッテリーを消費してしまっていた。これを解決する機能として示されたのが、「Always-on Display」。
同氏によると、「Super AMOLEDの技術を使っているため、常時点灯でも、バッテリーをセーブできる」という。また、さらにバッテリーを節約するために、ポケットの中に入れているようなときは、センサーが感知し、ディスプレイを消灯する機能もあるそうだ。
次に紹介されたのが、IP68の防水仕様。プレゼンテーションでは、microUSBの端子や、SIMカード、SDカードスロットに防水処理が施されている様子が示され、「水深1メートルに30分間つけておくことが可能」(同)と語られた。
Galaxyでは「GALAXY S5」で一度防水に挑戦していたが、昨年発表された「Galaxy S6」「Galaxy S6 edge」では、これを実現できなかった経緯がある。こうした事情もあってか、会場の報道陣からは、盛大な拍手が送られた。
同様に、Galaxy S6、S6 edgeで断念したmicroSDカードスロットも、再び搭載されることになった。ここでも報道陣からは大きな拍手が起こる。デニソン氏は「デザインを妥協することなく実装した」として、SIMカードとmicroSDカードを1つのスロットに収めたことを解説した。
続いて紹介されたのが、カメラ機能。デニソン氏は「スマートフォンのカメラを再定義した」として、低照度でも、非常に明るく、クオリティの高い写真が撮れることを語った。スペックとしては、「F値がどのスマートフォンよりも低い」という、F1.7のレンズを搭載している。その性能の証拠として、低照度時にGalaxy S7とiPhone 6s Plusで撮った写真を比較。「我々の方はシャープでクリアだが、彼らの方は映像が荒れている」と勝利を宣言した。
カメラには、新たに「デュアルピクセル」が搭載されている。これは、画素の1つ1つが位相差センサーになる仕組みで、キヤノンの一眼レフ「EOS 70D」に搭載されている機能と同様のものだ。デニソン氏からは、オートフォーカスが非常に高速であることが紹介され、ここでも、iPhone 6s Plusよりスムーズに被写体にピントが合うことが示された。
デニソン氏は、これらの機能紹介に続き、CPU、GPUのパフォーマンスを解説。性能が上がっている一方で、熱を持たないよう、水冷(ヒートパイプ)で本体を放熱していることが明かされた。
ゲーム機能にも力を入れており、Androidスマートフォンとして初のVulkan APIを採用。ゲームのプレイ中に呼び出せるランチャーなどのツールが紹介された。Vulkan APIに関しては、Epic Gamesの創業者兼CEO、ティム・スウィーニー氏がゲストとして登壇し、「Open GLの4倍高速だ」と、その実力を語った。
最後に、デニソン氏が、Galaxy S7、S7 edgeの発売日を紹介。欧米や一部市場では3月11日に発売されるといい、予約をすると、Gear VRがプレゼントされることも明かされた。
ここで再び、バトンがデニソン氏から、DJコー氏に渡される。コー氏は、「Galaxy S7、S7 edgeは、単なるスマートフォンを超えた新たな機会をもたらすもの」と語り、サムスンペイの対象国が7カ国に拡大することを発表。また、バーチャルリアリティに関して、Gear VRの取り組みが紹介された。
その映像を作るための仕掛けとなる「Project Beyond」を紹介したのが、リサーチ部門のバイスプレジデント、プラナヴ・ミストリー氏。Project Beyondは、円形の筐体にカメラを合計17台内蔵しており、360度の映像を撮ることができるプロトタイプのデバイス。これを進化させ、コンパクトにした製品として「Gear 360」が披露された。
Gear 360の映像を見るよう、再び席にあったGear VRを装着するように促される報道陣。映像を見たあと、Gear VRを外すと、壇上に立っていたのは、Facebookの創業者でCEOのマーク・ザッカーバーグ氏だった。
サプライズ的な演出で登場したザッカーバーグ氏は、Gear VRがFacebook傘下のOculusと共同で開発されたことを振り返りながら、「バーチャルリアリティは、次のプラットフォームだ」とした。
同氏は、Facebookとしても「ソーシャルVRアプリ」に取り組んでいくとしたほか、Dynamic streamingを使い、モバイルVRに対して動画を効率的に配信していくことなどが語られた。
ザッカーバーグ氏が登壇すると、写真を撮ろうとした報道陣がステージに詰めかけ、会場は騒然(中にはスマートフォンで記念写真を撮ろうとしていたモラルのない記者もいたが……)。警備員がステージに近づかないよう制止するなど、会場は一時混乱に見舞われた。その後、DJコー氏が再び登壇。ザッカーバーグ氏と握手を交わし、Unpackedも締めくくられた。