【Mobile World Congress 2012】
「しゃべってコンシェル」「4通信方式対応モデム」出展のドコモ


NTTドコモのブース

 NTTドコモのブースには、国内で提供中のサービスや、今後商用化を目指す技術などが展示されていた。

 新サービスとして出展されていたのが、2月27日に日本で発表された対話型エージェントアプリの「しゃべってコンシェル」。スマートフォンに話しかけるだけで、dメニューやネット上の地図、乗り換え案内、レシピ、動画といったコンテンツを呼び出せる。アラームやメール、スケジュールなどの機能にも対応。「佐藤さんにメール」といった自然言語を理解できるのが特徴で、「音声認識などはサーバーで行い、結果を端末に返す」(説明員)という処理を行っている。iPhone 4Sに搭載された「Siri」のように、「雑談も少しできるようにしている」(説明員)そうだ。また、サービス紹介の一環として、4月から始まる「NOTTV」の対応端末が展示されており、実際にモバイルマルチメディア放送の試験電波を受信している様子も確認できた。

しゃべってコンシェルしゃべってコンシェルは、端末に話しかけるだけで、さまざまなコンテンツを呼び出せるサービス
試験電波でモバイルマルチメディア放送を受信

 技術的な展示として注目を集めていたのが、2月24日に発表された、ドコモとNEC、パナソニックモバイル、富士通が共同で開発した4通信方式対応モデム。GSM、W-CDMA、HSPA+、LTEの4つを1枚のチップで処理でき、LTEはドコモなどが採用するFDD-LTEに加え、中国などが推進するTD-LTEにも対応している。今までは、LTE対応端末を開発する場合、2G/3GとLTEの2チップを搭載する必要があったが、これを1枚にまとめることができる。会場の説明員によると「小さくなるのはもちろん、消費電力が少なくなるため、結果として待受時間や連続通話時間の向上に貢献する」というメリットがあるという。

異なる通信方式を1つのチップでサポートできるLTEについては、FDD-LTEに加えてTD-LTEもサポート

 ドコモブースでは、NFCを使ったクーポンや決済のデモも行われていた。内容は、タグに書き込まれたクーポンを端末で取得し、決済時に割引が適用された状態で支払いまでまとめて行えるというもの。国内ではまだNFC対応サービスを開始していないドコモだが、「おサイフケータイで培ったノウハウを、海外に持ち出してキャリアやサービス事業者に提供したい」(説明員)という狙いがあるそうだ。

クーポンを取得し、支払い時に利用するというNFCのデモクーポンを取得し、支払い時に利用するというNFCのデモ

 海外での取り組みとして、ドコモやドコモの関連会社が開発、提供しているサービスも展示されていた。「On-Device Portal」もその1つ。これは、海外のキャリアがグローバル端末上でサービスを提供する際に搭載するポータルで、深いカスタマイズをする必要がないというメリットがある。

 展示されていた端末に内蔵されていたOn-Device PortalはインドのTata DOCOMOのもので、画面にはiチャネルや「DOCOMICS」という電子書籍サービスが表示されていた。このほか、ドイツに本拠地を置くドコモの子会社net mobileが開発した、キャリア決済のソリューションも展示されていた。Androidマーケットなどでキャリア決済を行う際のシステムを提供するもので、ノウハウや開発リソースを持たない海外キャリアが主な顧客となる。

グローバル端末上で動く「On-Device Portal」。すでにTata DOCOMOで利用されているnet mobileが提供するキャリア決済のソリューション

(石野 純也)

2012/2/29 11:58