本日の一品

スマホ時代の2つの「スタンド」付き自転車用マルチツール

 自転車に乗る人間にとって、ミノウラはかなりお馴染みのツール・パーツメーカーだ。さほど詳しくない人でも、知らず知らずのうちにお世話になっているかもしれない。ミノウラといえば質実剛健な製品を作る印象が強いが、ちょっと遊び心のあるものを見つけたのでご紹介したい。自転車とスマホ、双方の「スタンド」になるマルチツールだ。

2通りのスタンド機能付きマルチツール「HPS-9 Get'A」

 マルチツールとは小型軽量の整備工具で、自転車に取り付けたバッグやジャージのポケットに入れて持ち運ぶことを前提とした簡易工具のこと。「HPS-9 Get'A」は、2~6mmの六角レンチとプラスドライバーがあり、本体の左右にタイヤレバー(パンク修理時にタイヤを外す道具)が取り付けられていて、簡易工具としては必要十分といえる。手のひらに乗る大きさで162gと、マルチツールとしては標準的な機能・サイズと言えるだろう。

2~6mmの六角レンチとプラスドライバー、タイヤレバーは本体横にセットされている
フックと、ホームベース型のパーツを起こし……
ホームベース型パーツの根本にタイヤレバーを挿すと、簡易自転車スタンドになる
フックを引っ掛け、ペダルを載せて荷重を掛けると自立する

 目新しい機能の一つは、自転車の簡易スタンドになることだ。スポーツタイプの自転車にはスタンドがついていないものが多いので、一時的に駐輪する際などにこの機能が役に立つ。具体的には、まずサイドに取り付けられたタイヤレバーを外す。ツールと反対側に取り付けられたホームベース型のパーツを起こすと、差し込み口が現れるので、そこに先ほどの外したタイヤレバーを差し込むと、それがスタンドの足になる寸法だ。レンチやドライバーの側にあるフックを起こしてペダルの根本にかけると、ペダル置き部分に自然とペダルが乗る。手前側に心もち自転車本体を倒して加重をかければ自立する。何回か試したが、ペダルは6時の方向(真下)から、ほんの少し時計周りに回した位置にするのがコツのようだ。また、あくまで簡易スタンドなので、平らな舗装路やコンクリート以外での使用は難しそうだ。

 そしてもう一つのスタンド機能。それはスマホスタンドだ。こちらの機能は至極簡単、ホームベース型のパーツを立ち上げて、そこにスマホを立てかけるだけだ。ホームベース型のパーツが収まっていた場所の外枠部分が、ちょうどスマホを押さえる形になっている。スマホ自体の重さにもよるが、多少なら前後の角度調整も効きそうだ。

 筆者も、読者諸兄と同じく「なんでスマホスタンド?」と思ったクチだ。メーカーによれば、ツーリング途中の自撮りにどうぞ、との事。セルフィーブームを機敏にとらえて製品に反映した、といったところだろうか。自転車スタンドは、自転車乗りの隙間ニーズを捉えた巧みな機能と言えるが、それだけに飽きたらずさらに盛ってくる、実に意欲的な製品だ。

そして、もう一つのスタンド機能。スマホを反対向きにすれば自撮りに対応する
ディスプレイスタンドに比べ目立たないので、愛車自慢写真の撮影によいかもしれない

 自転車乗りならば、少しでも荷物を減らして身軽になりたいのが心情というもの。その中でも決して減らすことのできないマルチツールに機能を追加するというのは、これまでになかった発想だ。一度買ったらほぼ買い替えることはない類の道具だが、乗り換えを検討するに値する製品ではないだろうか。

製品名販売元購入価格
HPS-9 Get'Aミノウラ2735円

ナカムラ