本日の一品

堅い長い会議には「ベーコンノート」で参戦する

 昨今は先細り感のある文具、紙業界ではあるが、市場全体が低迷する中でも、テクノロジー連携を行いスマホと連携するノートや、ニッチながらも一部のユーザー層にフォーカスした新規商品、人と人のコミュニケーションを加速するジョーク系文具商品などはますます増加し、対前年度比で2倍以上の市場拡大を実現しているセグメントも珍しくない。

 情報発信基盤が紙の本からウェブへ移行し始めて久しいが、まだまだ“一皮むけた紙は元気だ”というのが実際の印象だ。本日、ご紹介する「ベーコンノート」もそんな昨今流行りのジョーク文具の一種だ。

スーパーで売られているままの装丁で販売されているベーコンノート
パックを引き剥がす時の感触も本物のベーコンと同じだ。冷蔵庫に入れておきたい

 ジョーク系文具商品の場合、その商品を手に取った消費者の反応は様々だが、ターゲット層は、“面白がる”人達だ。彼らは、目新しい商品に感度が高く、ジョーク商品を批判しながらも、その商品を購入し、情報拡散する気力とコミュニケーション・パワーを備えている。商品を単なるニーズだけで評価せず、それを持った自分が何を発信できるかを考える不況脱出の旗手となる人達だ。

 そのコミュニケーション・パワーを発揮するためには、商品単体が面白かったり、特徴的であっても力不足であり、それを加速するモノが求められる。それは時に、パッケージデザインであったり、付随する“うんちく”であったり、広告であったり、解説書であったりする。

 「ベーコンノート」は、「寿司USBメモリー」で有名なソリッドアライアンス社から発売されていた、「和牛名刺入れ」の外観と「ミミイカUSB」のパッケージの2つを合成した“なんちゃって商品”だ。デジタル印刷技術の進化と市場の飽和が生み出したおかしな新しいマーケットだ。

 台湾で企画され、お隣の中国で製造されたベーコンノートは、日本の紙の品質には程遠い紙を使用し、中途半端な縦横5.5mm間隔くらいのドットパターンが全面に印刷されたノートではあるが、品質とは別に何となく愛着が湧くのが面白い。

パッケージアイデアはソリッドアライアンス社のミミイカUSBと同じイメージだ
紙質は国内製ノートと比較すると決して良いとは言えないが、あくまでジョーク商品だ

 横幅の約100mmはモレスキンより10mm程ワイドだが、表紙は柔らかく、ノート全体がソフトなため、片手で持ちやすい。自分用に購入して日常使いにすることも考えられるが、目的の多くはジョーク商品としてのプレゼント目的アイテムだろう。

 筆記時の摩擦感覚は悪くはないが、万年筆や水性のローラーボール等の筆記具では文字がやや太り気味ににじむ傾向が強いので、好き嫌いは分かれるだろう。筆者は、お固いミーティングの席に持ち込んで、何くわぬ顔をしてベーコンノートを取り出して記録している。そして、その時、誰が注目するか、誰がシカトするか、誰が最初にベーコンノートのことで話しかけてくるかを楽しみに、あちこちの会議に出没している。

おなじみの賞味期限や重さ、100g当たりの金額……というあたりがお肉らしい
パッケージをはがしてしまうと、何となく楽しみが半減するのは残念だ
普通の筆記具ではノートのインパクトにとてもかなわないので、筆者の持っている中で最も出番のないJ.P.レピーヌの登板だ(^_^;)
製品名購入場所購入価格
ベーコンノートビレッジバンガード609円

ゼロ・ハリ