スマホとつながるG-SHOCK!


カシオ計算機のGB-6900。おなじみのG-SHOCKブランド

 今どきのスマートフォンは、ポケットから素早く気軽に取り出せなくなっている気がする。画面が大きいからポケットから出し入れしにくくなっているし、落ちたときのダメージが大きいから、慎重に扱わないといけない。それでいて、時刻や新着メールの確認に、電源キーを押してロック解除、みたいな手順が必要になる。

 面倒だ。いつからケータイと人とのあいだにそんな距離が生まれたのだろうか。通知情報くらい、もっと簡単に見られるべきなのでは。そう、Bluetooth対応の腕時計、カシオ計算機の「GB-6900」のようなデバイスが必要なのではないだろうか。

 「GB-6900」はBluetoothでスマートフォンとつながり、通話やメールの着信通知などをしてくれるという腕時計だ。Bluetooth 4.0のLow Energy(LE)を使った通信機能を搭載しており、「Find Me Profile(FMP)」と「Phone Alert Status Profile(PASP)」、「Time Profile(TIP)」、「Alert Notification Profile(ANP)」の4つのBluetoothプロファイルに対応した機能を搭載している。

 残念ながら、どんなスマートフォンとも接続できるというわけではなく、「GB-6900」を使うには、ハードウェア的にBluetooth 4.0 LEに対応し、ソフトウェア面でもこれらのプロファイルへの対応が必要となる。現状では2011年冬以降の「MEDIAS」シリーズのみがその両方に対応している。


対応機種のひとつ、ドコモのMEDIAS PP(N-01D)とGB-6900Gmailの新着通知表示

 

 MEDIASシリーズが搭載している専用アプリで設定を行えば、電話とメールの着信通知や、標準のアラーム時計とスケジュールアプリ、歩数計アプリの通知などを、GB-6900に飛ばすことが可能だ。

 GB-6900側が通知を受信すると、音とバイブが鳴り、画面には通知の種類が表示される。バイブだけや音だけの通知もでき、通知表示は、ボタンを右上のボタンを押すまで消えない。腕時計としては当たり前だが、液晶は常時表示なので、手首に巻き付けたGB-6900を見るだけで確認できるわけだ。ロック解除操作も何かを取り出す必要もない。

 この通知機能だけでも、GB-6900の価値は非常に高い。たとえば街中を歩いているときなども、腕時計が震えるので、メールの着信を逃すことはない。バイブだけならば静かな環境でも使いやすい。

 このほかにも時刻を同期させる機能(TIP)にも対応しているので、MEDIAS側を3G回線などから時刻を自動取得するようにしておけば、GB-6900側も時計の精度に保っておける。GB-6900は電波時計機能を搭載していないが、そんなものは不要、というわけだ。あとはGB-6900側からの操作で通知音を鳴らす機能(FMP)にも対応している。


G-SHOCK連動のための専用アプリ専用アプリの設定。対応アプリは限定されているが、意外と細かい

 

 いまのところ、これらの機能はMEDIASとの組み合わせでしか利用できない。しかしGB-6900自体はMEDIAS専用に作られているわけではなく、Bluetooth規格の標準プロファイルをサポートしているに過ぎない。MEDIAS側の専用アプリが対応していない、ボイスメールやインスタントメッセージの通知表示にも、GB-6900側は対応しているようだ。

 MEDIAS側の対応も、現状ではAndroidがOSレベルでサポートしていないプロファイルを専用アプリで対応させているため、この専用アプリが対応するアプリの通知しか、GB-6900側には出力できない。

 本命は、スマートフォンのOS自体がBluetooth 4.0 LEと主要なプロファイルをサポートすることだ。APIが公開され、サードパーティアプリの通知がGB-6900で受けられるようにならなったとき、このデバイスの真価が発揮されることになるだろう。

 GB-6900のようなスマートフォンと連動できる腕時計型の通知デバイスとしては、ソニー・モバイル「SmartWatch」などがある。そちらはBluetooth 2.1と専用アプリを使い、プラグインでいろいろな通知に対応できたりする。しかしカラーの有機ELディスプレイを使っているため、表示が綺麗な反面、電源キーを押さないと何も表示されない。時刻確認にも操作が必要なので、腕時計としては実用性は低く、わたしもしばらく前モデルの「LiveView」を使っていたのだが、ふつうの腕時計に戻してしまった。せめて腕を振ったら表示する、くらいの機能があると良かったのだが。

BABY-Gではないので、女性が装着するにはちょっとゴツいかも

 腕時計として見ると、GB-6900はカシオ計算機のG-SHOCKシリーズのひとつとして位置づけられており、デザインや20気圧防水、耐衝撃性能などG-SHOCKの特徴を踏襲している。アラームやタイマー、ストップウォッチ、ワールドタイムの機能も利用可能だ。盤面下の「G」ボタンを押せば、文字盤(液晶面)のライトが点灯するおなじみの機能も搭載している。

 電波時計やソーラー発電といった機能を搭載していないためか、定価1万8900円と、同グレードの電波・ソーラー対応モデルよりも安い。スマートフォン連動の実用性の高さを考えれば、コストパフォーマンスが非常に高いとも思う。重さ64gというのも、デジタルオンリーのG-SHOCKとしては標準的だ(アナログ針が付くモデルはもっと重たい)。

 ただ個人的には、ちょっとデザインが安っぽいかな、とも感じた。上位モデルではないので仕方ないところだが、今後はもっとほかのデザインやグレードのBluetooth搭載モデルの登場にも期待したい。


ケースおよびバンドは光沢のあるラバー風。バンドは交換できそうだGW-2500(写真右。わりと安価なモデル)のようなメタルケースのデザインも期待したい

 

製品名製造元購入価格
GB-6900カシオ計算機1万8900円

 




(白根 雅彦)

2012/5/10 06:00