読書の秋に、軽くなった新Kindleを


iPhone4より1/3ほど縦に長い。黒っぽいグレーだった前モデルから、明るいグレーに変更されている

 9月28日、Amazonから電子書籍リーダー「Kindle」の新モデル3機種が発表された。Androidベースのカラー液晶モデル「Kindle Fire」、タッチパネル搭載のEインクディスプレイモデル「Kindle touch」も魅力的だが、従来のモデルからQWERTYキーボードを排除した「Kindle 4」のみが即発売で国際発送も可能だったので、早速友人に旧モデルを押し付け、新モデルを購入してみた。

 「Kindle 4」は、ディスプレイにEインクという電子ペーパーを使用した電子書籍リーダーだ。液晶ディスプレイとは異なり、一度描画してしまうとそれ以降ほとんど電気を必要としない特徴を持つ。そのため、とてもバッテリーの持ちが良い。バックライトがないため、暗いところで読むには照明が必要になるが、逆に晴天下では表面の反射がなく屋外でも読みやすい。Amazon独自形式の電子書籍の他、テキストやPDFファイル、HTMLや各種画像ファイルが閲覧できる。Wi-Fi機能があり、書籍購入で接続する以外にも、ブラウザによるWeb閲覧も可能だ。

 届いて箱から出した瞬間に「軽い!」と感じた。241gだった前モデルでも十分軽いと思っていたが、新モデルは170gと、30%も減った効果はかなり大きい。毎日持ち歩くものは軽いに越したことはないので、何より嬉しい改善点だ。横幅についてはさほど前モデルと変わらない印象だが、縦はキーボードがなくなった分、かなり小さく感じる。届くまでは、キーボードを無くした事により持ちにくくなるかもしれないと思っていたが、杞憂だった。十字キーと4つのハードウェアボタンある下部スペースで問題なく保持できている。旧モデルをすぐに手放してしまったため、比較できない事をちょっと後悔している。

 機能面で大きく異なるのは、ソフトウェアキーボードになった点だ。十字キーで1個1個、文字を選択しては入力する必要があり、煩わしい。しかし、テキストを大量に入力する場面といえば、Wi-Fiの設定をする時くらいなので、たいしてストレスには感じない。普段使わないものを取り払ってしまって軽くなった恩恵のほうが大きいだろう。本体左右には、前モデルと同様にページめくり/戻しボタンが付いている。左右両方に付いているというのがミソで、片手で読んでいて疲れたらもう片方の手で持つ、といった紙の本と同じ感覚をこのボタンで実現している。11月発売の「Kindle touch」を試していないのでなんともいえないが、いちいち画面に指を伸ばさなくて良いぶん、このページめくりボタンの方が使いやすいのではないかと思っている。ページの切替速度も若干改善され、速くなっているという話だったが、こちらは目に見えた効果は感じられないのが正直なところだ。

 「Kindle」は、USBケーブルでパソコンに接続するとストレージとして認識され、エクスプローラー上でファイルをドラッグ&ドロップするだけで書籍データを転送できる。このあたりの扱い方は前モデルと全く同じなので迷うところはなかった。記録容量は前モデルの4GBから2GBに減っているので、入れ替えを頻繁にして対応する必要がある。バッテリーも少なくなり、前モデルの最長2カ月から最長1カ月になったいうことだが、それでも十分頼もしいといえる。更にイヤフォン端子とスピーカーが省略されており、Audio bookと文章の読み上げ機能が無くなっているのは残念だが、軽さとのトレードオフなら我慢できると感じた。

 Kindleシリーズでは日本語のデータも表示できるので、例えば青空文庫のタイトルなどを読むことができる。ただ、テキストファイルは横書きで表示されてしまうし、ルビを表示する機能もない。なので、普段は縦書きのPDFに変換してくれるフリーソフトを使用して読んでいる。それ以外にもJPEGの画像を表示できるので、スキャナーで“自炊”した書籍を読むなど、前モデルの「Kindle」を購入して以来、読書量がかなり増えている。より軽くなった今回の新モデルのおかげで、更に読書量が増える「読書の秋」になることだろう。

十字キーの中央に決定ボタンがある。下端の電源スイッチはスライド式からプッシュ式に変更され、やや押しにくい。PCとの接続はUSBマイクロBを使用し、変更はない便利なページめくりボタンだが、左開きの国からやってきたので縦書き文章を読む時も右向き三角が次のページへのボタンとなる。最初こそ違和感があったが、すぐに「ページめくりは大きくて押しやすい方」と指が覚えてくれる
輸出モデルなので、技適マークがしっかりプリントされている
横書きの日本語テキストも読みやすいが、青空文庫のルビが表示されない普段はこのように、縦書きPDFに変換して読んでいる。ルビは小さく、かすれてしまうが、かろうじて読める

 

製品名製造元購入価格
Kindle 4Amazon.com122.98ドル

 

(ナカムラ)

2011/10/13 06:00