メモを送信するだけでテキストに! 人力OCRのメモ帳


KYBER SmartNote

 最近、専用紙に書いた手書きメモを、スマートフォンのカメラで読み取り、データ化するという、アナログとデジタルが融合したようなサービスにかなり興味のある筆者。すでにキングジムの「ショットノート」や、コクヨの「CamiApp」などを利用しているが、そこへ新たに「KYBER SmartNote」が加わった。

 専用のノートとアプリを使い、ノートを撮影して、専用アプリ経由でデジタル化。データはEvernoteなどにも送れる、という点は「ショットノート」や「CamiApp」と同じだが、「KYBER SmartNote」がこれらと決定的に違うのは、手書きの文字をすべてテキスト化して返してくれるという点である。しかもその精度がハンパなく高い。意味不明な“文字化け”になることはまずないと言っていい。

 なにはさておき試してみたほうが早いというわけで、「KYBER SmartNote」の使用感などを6枚のメモに書き込み、実際にアプリで読み込んでテキスト化したものが以下である。ごく一部に修正を要する箇所もあるが、あえてそのままを掲載しているので、オリジナルのメモと見比べていただきたい。実際は見た目通りに改行されていたが、そこだけは省いた。()内の数字はテキスト化の所要時間だ。

特徴などセキュリティや注意点など

タイトル:ここがスゴイ(3分10秒)
・テキスト変換の精度。ほぼカンペキ!
・写真や図の中の文字もテキストとして抽出してくれる。
・変換スピードはベストエフォートだが、おおむね数分で完了。
・セキュリティも万全。誰かが全文を読みながら一人で入力しているのではない!独自の人力OCR技術あり。

タイトル:気になるセキュリティについて(3分33秒)
オペレーターが入力していると聞いてメモを見られるのかと思ったが。
実は全く違った。1枚のメモは複数のエリアに分割され。いったんバラバラになるので、読まれる心配はゼロである。
情報流出を防ぎながらデジタル化をしたい企業向けに培われた、実績のある技術だそうだ。

 タグも手書きできるうえ、テキストに変換されるため、自分では1文字もタイプしていない。塗りつぶした誤字はちゃんと無視されているし、その上に書き直した文字を含んだ文章が形成されている。読み取れなかった部分は「?」になっているが、明らかにこちらの書き方が悪かった箇所に限られており、その精度は驚くばかり!

 これら6枚のメモのテキスト化に要した時間は合計21分9秒(手書き時間は含んでいない)。1枚を処理している間に新しいメモの作成や読み取りなどを行っていたため、次に見たときにはテキスト化されていたというくらいで、体感待ち時間はほぼゼロ。今回は1回の処理量が小さなメモ用紙1ページ分に限られるという前提条件はあるものの、満足できるスピードだ。そのままTwitterやFacebookにも投稿できるので、キーボード入力しづらい環境、もしくは、キーボード入力が苦手な方のテキスト化に、非常に威力を発揮しそうである。

 ノートを購入すると、その代金にサービス料が含まれているという点も楽だ。ノートの枚数分だけ変換でき、残りは「情報」で確認できる。ただ、アップロード途中で失敗したら、という不安はあるだろう。通常はアップロードが成功すると、次の撮影が可能な状態になり、同じメモを何度も送信するというミスはなくなるが、回線の都合なのか、アップロードボタンがついたプレビュー画面のままということがあった。何度もボタンをタップした結果、同じメモが6つほど同時送信状態になってしまい、一時的に「デジタル化残件数」が大きく減ったが、結局どれもアップロードされず、「デジタル化残件数」は元に戻っていた。万が一画面が切り替わらなかったら、一旦「キャンセル」して様子をみたほうがいいかもしれない。

 気になるセキュリティだが、送られた情報は一旦細かくバラバラにされ、機械的なOCR処理と人の目による判定、どうしても変換できない場合のみ人的修正を行うという何段階もの処理を経て、再度合成されて戻される。ゆえに、決して誰かが「君、これ頼むよ」的に渡されて、大急ぎでテキストに起こしているわけではなく、メモ全体で何が書かれているか、その内容まで把握されることはないという。もともと、内部からの情報流出をしっかりと防ぎたい企業向けに、手書きの申込書といった顧客データなどを、安全かつ正確にデジタル化するために開発された技術がベースになっている。

 例えば取材中、ノートパソコンでメモが取れない人でも、手書きしたメモを帰社しがてらアップロードしておけば、デスクに戻ったらすぐ編集作業に入れる……なんてことも可能かもしれない。これ、ライターにかなり嬉しいサービスでは!? もうちょっと大きめのノートが欲しいな……そんな期待も含め、かなりワクワクさせてくれるサービスといえるだろう。

実はノートのベースはThinking Power Notebookの「サーキット(Circuit)」iPhone 4と同じサイズ
表紙をめくるとQRコードが現れるノートは横書き。日付とタイトルは認識される
特徴やメモを6枚に分けて書いてみた。細かい文字が書ければ、変換できる情報量も増える
アプリ「KYBER」をインストールしたら、画面左下の「KYBER SmartNote Activation」をタップし、QRコードを読み取る「New」ボタンでノートを撮影。他のノートとかぶらない限り、枠は必ず認識される[アップロード]ボタンをタップすれば完了
どんどん送ってみたタグも手書きで作成手書きされたタグ
メモの変換例。気がつくとタグもテキストになっているメール、Evernote、Facebook、Twitterをサポート

 

製品名製造元購入価格
KYBER SmartNoteオーリッド490円

 

(すずまり)

2011/10/12 06:00