ドンケのジャーナリスト向けカメラバッグ「J-2」
ドンケ 「J-2」 |
Web媒体で記者として仕事をしていると、デジタルカメラで写真を撮り、ノートパソコンで原稿を書くという作業を一人で担当する場合が多い。いろいろなものがこうじて所有するカメラが大型化してしまったのは、まぁ別の話題としても、ノートパソコンを一緒に持ち運べるカメラバッグをさがすとなると、なかなか選びがいのある事態になる。
最初に断っておくが、今回紹介するドンケ(Domke)の「J-2」は、「ノートパソコンを一緒に持ち運べるカメラバッグ」として、最適解だとは思っていない。友人に相談されたら、条件付きで勧める類のものだ。ただ、自分が考えていた条件に当てはまった、という意味で満足度は高い結果となっている。
タイトルにもあるように、「J-2」はカメラマンの定番として親しまれている「F-2」をベースに、ジャーナリスト向けの仕様を加えたモデルだ。詳細はいろいろあるが、目立つところではF-2よりも“高さ”がある点。この利点は、個人的なこだわりポイントとして後述する。また、肩から提げた場合のバッグの後側(体側)に、大きなポケットがあり、取材先でもらう資料などを、フタを開けずサッとしまったり取り出したりできるようになっている。
天板にあたるフタの天面にもウレタンパッドが内蔵されており、平らな面を作りやすくなっている。床に座ってノートパソコンを展開しなければならないような現場では、ノートパソコンの台として重宝する。底面にはラバー製の石突き(足)が装備されており、地面や床に無造作に置いてしまっても(精神的には)安心だ。柔軟性の高いショルダーベルトは内側にラバーが編みこまれ、滑り止め効果は高い。バッグの表面素材はバリスティックナイロンなので、キャンバス地が基本のF-2よりも見た目は現代的。サイドポケットにあるドンケのロゴは目立たない色になっており、デザイン面で「カメラ専用バッグです」という雰囲気は(比較的)薄めだ。
後側にあるポケット。本誌記者のような仕事では重要なポイント | 底面にはしっかりとした石突き(足)を装備し、安定する |
このバッグでの不満点は、フタとフラップ関連の仕様だ。フラップを固定する金具はクラシックなもので、操作性が悪く、金具をとめる・外すという操作を素早く行えない。荷物を入れすぎてフタがしまらない場合に、むりやり閉じるための固定具として使うものの、普段はブラブラとそのままにしてしまう。もっとも、この金具はドンケの顔ともいえる象徴的な装備でありデザインだ。ここが失われてしまうと、ドンケらしくない、ということになってしまうだろう。
フラップ自体はベルクロ(マジックテープ)で固定できるので、フタが勝手に開いてしまうことはないが、個人的な経験から、ベルクロの耐久性には疑問を感じている。過去使用していた他のメーカーのバッグでは、頻繁にベルクロ部分を使った結果、スカスカになり、固定力を失ってしまったからだ。購入したJ-2では、自宅など外出時以外はベルクロを使用しないようフラップを折りたたんでいる。
さて、冒頭に書いた「ノートパソコンを持ち運ぶ」という部分だが、筆者は当初、ノートパソコン用のポケットやコンパートメントエリアを専用に装備したカメラバッグを探していた。しかし、信頼できるメーカーの多くのモデルでは、ノートパソコンを収納するエリアがバッグの後側、つまり腰などが接触する側に設けられていた。「大事なモノはなるべく内側に」という感覚からすると納得できるのだが、ここで想像してみて欲しい。3kg前後のカメラ一式を収納したバッグの、体にあたる側にノートパソコンを収納し、肩から提げて駅まで歩き、駅からまた現場に歩いていく……バッグと腰は、歩く度に小さな衝突を繰り返し、ノートパソコンはカメラ一式と腰に挟まれて常にプレッシャーを受けている……このような状況ではたして精神的な安寧は得られるだろうか? 取材先でノートパソコンの液晶が死亡している可能性が高まっているのではないのだろうか?
というわけで、ノートパソコン用のケースを別途用意し、カメラバッグの中(体側でない表側)につっこむ、という微妙にオススメできない方法で、この懸案事項を解決した。この際、前述の高さが“高い”という部分がポイントになる。定番のF-2ではノートパソコンが飛び出してしまうが、J-2なら12インチクラスのノートパソコンがギリギリ飛び出さずに収納できるのである。
梅雨の時期に気になる内部の気密性や、撥水性・防水性などの面では、クラシックな設計が基本になっていることから、あまり期待できない。とはいえ、今のところ、金具のせいでフタの開け閉めが素早くできない、という点以外はとても気に入っている。
製品名 | 製造元 | 購入価格 |
J-2 | Domke | 166ドル |
2011/5/23 06:00