ポテチ好きの救世手

「ポテチの手」

　わたしはポテトチップスが大好きだ。みんなも大好きだろう。酒池肉林などもはや時代遅れ、いま人類が必要としているのは、酒池ポテトチップス森だ。

　しかしご存じの通り、ポテトチップスは素手で食べると指が汚れていく。ポテトチップスだけを見つめ、ポテトチップスだけを手に取り、ポテトチップスだけのことを考えて味わうのならば良いが、仕事をしながら、テレビを見ながら、お酒を飲みながらポテトチップスを味わうと、キーボードやリモコン、グラスが油で汚れていってしまう。大きな問題だ。

　わたしたちポテトチップスを愛する者たちは、古くからこの問題に取り組んできた。わたしが大学生の頃は、備品たるパソコンを汚すことを避けるべく、箸を使ってポテトチップスを食すことが推奨されていた。なるほどこの方法ならば、ポテトチップスを味わいながらも、キーボードを汚す心配はない。しかしこの方法にも、利き手でしかポテトチップスを取れない、などの欠点がある。

　もっと効率的に、よりエレガントにポテトチップスを食べる手段はないものだろうか。そんな世界のポテトチップス好きの願いを叶える製品がある。タカラトミーが発売している「ポテチの手」だ。

操作部はボタンのみ	素手を汚さずポテチを味わえる

　この「ポテチの手」、根本にあるボタンを押すと、柄の先に付いている指が閉じるようになっており、その指でポテトチップスなどスナック菓子を掴み、素手を汚さずに味わえるようになっている。

　ポテチの手には絶妙な強さのクラッチ機構も搭載されており、ボタンを押し切っても、ポテトチップスを砕かないようになっている。デザイン的にも、手首部分にスタンドになる突起があり、卓上に置いたとき、指先が卓上面に接触しないようにもなっている。あと、ボタンをスライドさせると、指をスリスリしてスナック菓子の粉を落とすという機構があるが、えーと、これはそれほど実用性はないかもしれない。

　ふざけているデザインで、機能的にもふざけていると感じられるかも知れない。しかし、手を汚さずにポテチを気軽に食べられるのだから、その実用性は決して小さくはない。ポテトチップスが好きならば、食器棚に一本は置いておきたい、そう思わせる一本だ。

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