京の老舗「松栄堂」がプロデュースするインセンス


インセンスは1本から購入可能だが、持ち帰りにはケースなどが必要。紙筒、ガラス筒等のケースが合わせて販売されている。このガラス筒は210円

 アロマテラピーとアロマセラピー、微妙に使い分けがなされているように感じる2つの言葉だが、どちらも元は同じ言葉でフランス語表記と英語表記の違いから日本では両方の言葉(読み)が使われているようだ。香りを使って精神や身体の調子を整えるという手法は世界中に古くから存在し、日本でも「お香」という伝統的な一品がある。

 今回紹介する「lisn」(リスン)は、京の老舗「松栄堂」がプロデュースするインセンス(ショートサイズの線香)で、従来のお香とはひと味違ったイメージのお香だ。

 lisnが伝統的なお香と一線を画す一番の特徴は、ひとつのブランドで提供されるお香として、香りのバリエーションが非常に多いことだ。常時、150種類以上の香りがラインナップされ、香りも伝統的な香木系のものから、きわめて現代的な香水系のものまで幅広く用意されている。また、季節にあわせた新しい香りや、四季折々のテーマなどのアソートも随時追加される。各インセンスにはネーム(名前)と、フレグランス(香りのイメージ)が与えられ、気分で選ぶ場合はフレグランス、香りで選ぶ場合にはネームを参考にすると選びやすいよう工夫されている。

 2つ目の特徴は、インセンスの色だ。150種類以上のインセンスにはそれぞれが持つ香りのイメージに合わせ、異なる色が与えられている。また、この色がとても美しいのも特徴だろう。いろいろな種類を上手く並べると、さながら多色セットの色鉛筆かクレヨンのようなグラデーションをディスプレイできる。これは香りを楽しむという本来の目的に、+αの楽しみを与えてくれる。

 3つ目の特徴、実はこれが「lisn」最大の特徴なのだが、インセンス一本一本に番号と名前が直にプリントされるている点だ。「lisn」は店頭でもオンライン販売サイトでも、1本からの購入が可能なので、いろいろな種類を少ない本数で購入しても、後からどのインセンスがどの香りなのかがちゃんと確認できるよう工夫されているというわけだ。

 また、「lisn」はインセンス、ホルダー、バナー、ケースなど香りを楽しむ際に必要なグッズが統一されたイメージのデザインでラインナップされているので、お香という伝統的なイメージとはちょっと違った雰囲気で、香りによるくつろぎのひとときをスタイリッシュに演出できる。特にホルダー、バーナーは安価な物から高価な物まで大小さまざまなタイプが用途・シーンに合わせて用意されている。

 筆者は「lisn PLUS」というホルダーを愛用している。単純な構造のホルダーで、長短2つの円弧が片方の端で繋がった「レ」の字を倒したような形をした金属片で、先端に穴が開けられており、そこにインセンスを引っ掛けて斜めに立たせるという仕組みのものだ。灰受けは別に適当なお皿かカップを用意して使う。

 平らなお皿を使用する場合は長い方の円弧を下にしておき、短い方の端に開いた穴にインセンスを引っ掛ける。カップなどに設置する場合は「レ」の形になっている部分をカップの縁に引っ掻け、内側に向いた端の穴にインセンスを引っ掛ける。長短どちらの端も内側に向けることができ、カップの形状に合わせて使い分けが可能だ。

 「線香臭い……」というと時代遅れで古めかしい物事の形容だが、「lisn」は見た目も香りも現代的で、スッキリとしたイメージの嗜好品として日常的に楽しめる。蒸し暑く物事に集中しづらい気候の今日この頃、筆者はlisnのNo.208 DAZZLE(森と苔)のすがすがしい香りで一息入れている。

色もカラフルなlisn、一本一本に番号とネームがプリントされている。色も香りも異なる約150種類がラインナップされているガラス筒の場合はこのような綺麗な外箱が付属するので、贈り物などにも良いと思われる
lisn PLUSホルダー、こちらも綺麗な外箱が付属する。外箱は黒色で統一されているようだPLUSホルダー、端に開いた穴にインセンスを引っ掛ける
PLUSホルダーは平らなお皿の場合はこのように使用するPLUSホルダー、カップ等の場合はこのように縁に引っ掛けて使用する
香りもさることながら、立ち上る煙を眺めるのもいい

 

製品名製造元購入価格
lisn松栄堂315円(10本)

 

(田中 宏和)

2010/7/30 06:00