最新型ScanSnap「iX500」登場!!
■最新型ScanSnap「iX500」登場!!
2012年11月12日に発表された、っていうか本日発表されたPFUの最新型ScanSnap「iX500」。ScanSnapは、ご存知のとおりパーソナルユース向けの高速ドキュメントスキャナ。紙資料の電子化に役立つほか、自炊(手持ちの本を自分でスキャンして電子書籍化すること)を行う人にも非常に重宝するスキャナですな。その最新型の「iX500」を一足先にお借りして試用することができたので、機能や使用感などをレポートしてみたい。
カタチ的には、従来機種の「S1500/S1500S」とだいたい同じ感じの「iX500」。俺の場合、S1500を愛用中であり、そのスキャンスピードの速さや重送の少なさ、使い勝手の良さにたいへん満足している。そこへ最新型が登場。興味津々である。
ただ、俺の場合、歴代のScanSnapをイロイロ使ってきた───2001年に初めて使ってショックを受けた「FI-4110EOX」、それに充実したソフトウェアが加わるなどして進化した「FI-4110EOX2」、もしかしたら初めて「自炊」を意識した機種かも知れない「FI-4110EOX3」、スキャン性能と機能性がUPして代替わりした「FI-5110EOX」。さらに前述の「S1500」、携帯可能な「S1100」、コンパクトで安価な「S1300」、てな感じで使ってきた。
ので、もうScanSnap慣れしちゃってて、ちょっとやそっとの新型じゃあビックリしませんヨ、的な。アレでしょ「iX500」ってちょっとスピードUPして色ブラックにしたとかでしょきっと、みたいな。
とか思っていたが、実際に「iX500」を使ってみたらプチ衝撃的。順当進化としてスキャン速度が速くなったのに加え、スマートフォンやタブレットへと直接無線でスキャンできたり、クラウド連携がより便利になっていたり、給紙方式が大幅に強化されたり静音性が高まっていたり。ハッキリ言って「S1500/S1500M」ユーザーとしても「ちょっと悔しい進化」を遂げた「iX500」だと思う。ともあれ以降、「iX500」の機能や使用感について見ていこう。
■iX500はS1500/S1500Mからどう変わった?
まず、iX500が従来機種のS1500/S1500Mからどう変わったのかザッとチェックしてみよう。どこが良くなったのかナ?
ちなみに、前述のようにS1500/S1500Mはこれまで「ド定番」だった人気機種。これからドキュメント整理や自炊を始めようという人が今買っても、恐らくかなり満足できる性能を持っている。それを踏まえ、それらの機種からiX500はどう進化したのか、以下のスペック表で見てみよう。
左がiX500とS1500/S1500Mのスペック比較表。給紙機構やイメージセンサーが一新され、インターフェイスもUSB3.0とWi-Fi(iOS/Android端末接続用)に対応した。スキャン速度も25%向上している |
S1500/S1500Mと比べると、iX500ではスキャン速度が25%向上したことに加え、給紙方式やイメージセンサーが一新された。また、インターフェイスもUSB3.0とWi-Fiに対応した。ただし、Wi-Fiは、iX500とiOS/Android端末を接続するときにのみ使われる。PCとWi-Fi接続して利用できるわけではない。
スキャン速度の向上だが、具体的にはスキャン品位が「自動解像度モード」「ノーマル(カラー/グレー150dpi、白黒300dpi相当)」「ファイン(カラー/グレー200dpi、白黒400dpi相当)」「スーパーファイン(カラー/グレー300dpi、白黒600dpi相当)」で、片面/両面とも毎分25枚(50面)となった。S1500/S1500Mは毎分20枚(40面)なので、スペック的には「ちょっと速くなった」という感じ?
なお、スキャン品位が「エクセレント(カラー/グレー600dpi、白黒1200dpi相当)」の場合は、片面/両面とも毎分7枚(14面)となる。S1500/S1500Mは毎分5枚(10面)だった。
上の比較表を見て、目聡い方は「あっ!!」と思ったかもしれない。給紙方式が変わったことで、消耗品であるローラーなども一新されたのだ。またその寿命も大幅に伸びている。
従来機種と新機種では、給紙方式が異なる。また給紙部の要であるローラ部品の寿命も2~4倍に伸びている。これにより、これら消耗品にかかるコストが大幅に下がった。写真右のメンテナンスキット「ScanAid FI-X50SA」は1万1300円だが、「ローラーセット FI-CX50R」のみなら7560円で購入できる |
従来機種のS1500/S1500Mでは、原稿を送り出すピックローラーユニットと、原稿が誤って出ないように押さえるパッドユニットが給紙機構部の要であり、また消耗品であった。ピックローラーユニットは給紙10万枚が交換目安。パッドユニットは5万枚が交換目安となっていた。
新型のiX500は、原稿を送り出すピックローラーと、原稿が誤って出ないように押さえるブレーキローラーとの組合せになった。ブレーキローラーの採用は、業務用イメージスキャナ「fi」シリーズからのフィードバックだそうだ。
さておき、新型iX500もまた、これらローラー部分は消耗品。なのだが、どちらのローラーも「給紙20万枚」が交換目安となっている。S1500/S1500Mの2~4倍も長保ちするのだ。
ここでちょっと細かな計算をしてみたい。iX500の消耗品(交換部品)である「ローラーセット FI-CX50R」のメーカー価格は7560円。1セットの交換目安は給紙20万枚となっている。
一方、S1500/S1500Mの消耗品(交換部品)である「パッドユニット FI-C611P」(メーカー価格1995円)の交換目安は給紙5万枚。「ピックローラユニット FI-C611PR」(メーカー価格6195円)は10万枚。
20万枚給紙するたびにかかる部品のコストは、S1500/S1500Mが合計で20370円となり、iX500は「ローラーセット FI-CX50R」(ピックローラーとブレーキローラーのセット)の7560円となる。12810円の差が出て……旧機種ユーザーは「んも~ローラー長保ちしてズルい!!」とか思っちゃうかも。
ともあれ、こういう部分の耐久性が上がるのは有り難いことですな。ていうか、耐久性をいきなり2~4倍まで上げてくるってのは、さすが業務用イメージスキャナで世界トップシェアを握るメーカーって感じ。
■実際にスキャンしてみた♪
さて、実際にiX500を使ってスキャンしてみた。断裁機を持ち出して、処分したかった雑誌や本を次々と自炊。
感覚的なところを言えば、な~んかiX500、危なげなくスムーズにスキャンを続けますな。粛々と。S1500などと比べると確かにスピードが速いのだが、それに加えてiX500には機械的なノイズの少なさがある気がする。
iX500のほうがより連続的かつスムーズに給紙されているので、騒音として聞こえにくいのかもしれない。一方のS1500は若干カシャカシャ音を立てる、という印象になる。まあ、どちらもある程度の騒音が出て、静音とまでは行かないので、細かなことかもしれない。
実際のスキャン速度も計測してみた。スキャン設定は「スーパーファイン」の両面読み取りとし、圧縮率は「3」とした。それぞれ、PCとつないだiX500(USB3.0接続)、同じくPCとつないだS1500(USB2.0接続)、それから第3世代iPadと家庭内LAN経由でWi-Fi接続(後述)したiX500で、カラーの原稿を25枚(50面)スキャンした。
結果、iX500が55秒、S1500が1分13秒、iX500→iPadが56秒かかった。どれもPFUの公称スキャン速度よりちょっと速いという感じ。
PFUの公称値では、上記設定だとS1500が毎分20枚(40面)で、iX500が毎分25枚(50面)となる。そーんなには大したことのない差だと思えたりする。
が、こういうふうに、iX500とS1500のスキャン速度を目の前で比べちゃったりすると、S1500ユーザーとしては「iX500の速度が羨ましい」という気分に。やっぱり結局、ドキュメントスキャナの速さは正義。1分のスキャンで5枚の差。10分なら50枚の差。1時間で300枚の差という計算になる。ヘビーユーザーほど「ん~ぐぬぬ~じゃあiX500に買い換えるかあ……」みたいな気分になってきてしまう。
とは言っても、S1500も十分立派に「自炊ウェポン」として機能する高速ドキュメントスキャナなのだ。いやいや、そうそうサクッと買い換えないでしょフツーに。S1500、まだまだ現役。とは思う。
のだが、十分体感できるレベルでスキャン速度が速いし、前述のように消耗品にかかるコストが低いし、後述のようにiPadとかに直接(しかも高速で)スキャンできちゃうし。悩ましいiX500なのであった。
ちなみに、ハードウェアとしての細かい操作感はあまり変わりませんな。どちらも扱いやすい。iX500もS1500も、ドキュメントスキャナとして完成形に近いカタチということなのだろう。
■実用的なスマートフォン/タブレットへのWi-Fiスキャン
当初、iX500について「Wi-Fi経由でスマートフォンやタブレットへとダイレクトにスキャンできる」と聞いていた。で、なるほどアレね、プリンタ複合機とかってWi-Fi経由でスマホ→プリンタ複合機に印刷できたり、プリンタ複合機→スマホにスキャンできたりするけど、きっとああいうコトですな、と理解していた。
確かにそういうコトができる───iX500から(同じLAN内の)スマートフォンやタブレットへとスキャンできるのだが、使ってみると驚ける。そして「これは使える!!」と若干目が冴えたりする。
具体的な使い方は、初期のインストールとしてiX500を家庭内LANなどにWi-Fi接続する。次いで、iOS端末もしくはAndroid端末に「ScanSnap Connect Application」アプリをインストールする。また、これらスマートフォンやタブレットは、iX500と同じLANにWi-Fi接続されている必要がある。初期的な準備はこれだけ。
次いでiX500に原稿をセットするなどの準備をしたら、スマートフォンやタブレットにインストールした「ScanSnap Connect Application」アプリを起動。アプリ上のScanボタンもしくはiX500本体のScanボタンを押せば、PCへのスキャンと同様に連続スキャンが始まる。
「ScanSnap Connect Application」アプリをiOS端末の第3世代iPadで使っている様子。数十枚の連続スキャンも問題無く行える。PCと完全に同じ設定にはできないが、読み取りモードをわりと細かく設定できる |
表示した様子。アプリ内に保存されたファイル(PDFなど)は、ほかのアプリで開くこともできる |
こんな感じで、iX500でスキャンしたデータを、iOS端末やAndroid端末に直接保存することができる。しかもワイヤレスで♪ さらに、そのスキャン速度は、前述のようにPCへのスキャンと同様、非常に高速!! さらにさらに、試しに176ページ(実質180ページ)の雑誌をiPadにスキャンしてみたら、とくに問題無くシレッとサラリとツツーッと、雑誌がiPadに飲み込まれていったッ!!
結論を急ぐと、つまり、iPadとかAndroidタブレットとiX500を組み合わせれば、PC不要で超高速なドキュメントスキャンを行えるのである。すなわちPCという母艦不在での自炊作業が可能になったのであり、PCがナイ場所でも自炊できたり、タブレットにスキャンした結果を即クラウドに上げて各端末で共有できたり、なんかScanSnapの可能性が一気にズギャーンと広がった気がしてるんですけどっ!!
こちらは「ScanSnap Connect Application」アプリをAndroid端末のNexus 7で使っているところ。アプリの機能は、iOS版とAndroid版でほとんど差がない。ただ、スキャンしたファイルを指定のフォルダに保存でき、PCと似た感覚でファイルを扱える点に、Android端末ならではの活用幅を感じる |
Nexus 7上では拡大表示がやや不鮮明に見えるが、これはNexus 7の解像度によるもの。Nexus 7へスキャンしたファイルをPC上で開くと、細部まで十分鮮明なドキュメントとなっている。もちろん、スキャンしたファイルをほかのアプリにインテントすることができる |
当初、このWi-Fiスキャン機能、「急いでいるときは、とりあえず一応、iPadやAndroid端末に直接スキャンすることもできますヨ」くらいの軽いノリのオマケ機能かと思っていた。だが違っており、スマートフォン/タブレット時代にガッチリとマッチしたScanSnapの新機軸的な機能なのであった。んまあステキ♪
てな感じで、斬新でありかつ実用的なWi-Fiスキャン機能を備え、スキャン速度もしっかり向上していて、消耗品的な観点からのランニングコストもグッと下がり、さらにソフトウェア的な部分でも着実にブラッシュアップされた最新ScanSnapのiX500。率直な話、この時代になってScanSnap買うって人はかなりシアワセだと思う。ともあれ、とてもステキな最新機種なので、ぜひ一度、実機に触れてパフォーマンスを確かめたり、その機能・性能をチェックしてみたりして欲しい。
2012/11/12 13:30