スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」
これは楽しい! ソニー「FES Watch U」
2017年6月19日 06:00
これは楽しい! ソニー「FES Watch U」
2017年6月12日、つい先日に発売されたソニーの「FES Watch U」(公式ページ)。電子ペーパーにより文字盤やバンドの柄を変えられる腕時計ですが、ちょっとオモシロそ~♪ と思い、早速借りて使ってみました。
写真のように、腕時計の文字盤やバンド部分のデザインを変えられます。スマートフォンとBluetoothで接続して、専用アプリから予め用意されているデザインを転送、あるいはデザインを自作して転送し、それを腕時計のデザインとして適用できます。
で、文字で書いていると「あっそうなんだ」程度の印象になるかもしれません。ですが、実際に体験すると「うわ~すっげーおもしれ~!」みたいな感覚に♪
この「FES Watch U」には、いわゆるスマートウォッチのような情報通知機能等々は一切なくて、デザインをグレースケールで変えられるだけではあるんですが、体験するとスマートウォッチ云々はどうでもよくなる気分。腕時計のデザインを変えられるのって、こうも愉快なことなのか! とテンションが上がってきちゃいます。
また、「文字盤だけではなくてバンドまでデザイン的にカスタマイズ可能」という点がオモシロくもあり実用的でもあります。単純な話、腕時計全体の印象がガラリと変わります。ガラリと変えてTPOに合わせて利用するということも当然できるわけですが、それ以前に、「見栄えがまるで別モノになる!」というインパクトが強烈です。
ちなみに、スマートフォンで撮った写真や、スマートフォンに転送したイラストなどを、腕時計のデザインとして使うことも可能。要は自作のデザインを腕時計に適用できちゃうわけですが、ソレを試すと「うっおぉぉ~、コレ欲しい! 買う~」みたいな心意気に……なる人が少なくないと思います。
余談ですが、「FES Watch U」を使ってみて「コレはイイ!」とか思って買おうとしたんですが、ネット通販サイトでは売り切れのところが多い? 瞬殺ってやつ!? ソニーのサイト(First Flight 直販)でも予約注文や売り切れの状態になっているようです。
注文などされる方は、前のモデルの「FES Watch」の存在に注意がひつようかも、です。「FES Watch」は、新型の「FES Watch U」と、名前もコンセプトも外観も似ていますが、新型のようなスマートフォン連携機能はありません。ので、この記事で紹介しているようなスマートフォンを使ってのデザイン更新やデザイン自作はできません。
さておき以降、「FES Watch U」の機能や使用感について書いてみたいと思います。なお、記事中で組み合わせているスマートフォンはiPhone 7 Plusです。
どんな感じで使うのか?
まず使い方ですが、腕時計としてはボタンが1個しかないので、操作法はすぐ覚えられます。ボタンを押すと時計表示となったり、内蔵されたデザインパターンを変更できたり。2秒の長押しをするとバッテリー残量表示やBluetooth接続が可能になったりします。
スマートフォンとBluetoothで連携する機器としての使用感も、かなり容易な部類。腕時計側のボタンを長押ししてBluetooth接続可能とし、専用アプリで接続操作を行う程度でOKです。
なお、専用アプリは「FES Closet」。Android版とiOS版が用意されています。
といった流れで使えます。時刻などの表示方法も「FES Closet」アプリから行えて、「常時表示」と「ボタンを押したときに表示」から選べます。「常時表示」は時刻を常に表示しておくモードで、一定のタイミングで表示が再描画されます。「ボタンを押したときに表示」にすると、通常は時刻などの情報が非表示になってデザインのみの表示となり、ボタンを押すと10秒程度時刻など情報が表示されるようになります。「ボタンを押したときに表示」に設定しておくと、いつもはグレースケールのデザインのリストバンド的に装着しておけて、必要なときだけ時間を参照するという感じで使えます。
なお、連続動作時間は、上記表示状態設定により変わります。具体的には、「常時表示」にしておくと約24時間、「ボタンを押したときに表示」にしておくと約2週間です。
そーとー楽しいデザイン自作♪
それと、なかなか……いや、けっこー……いや、そーとー楽しいのが、デザインの自作です♪ 基本的には撮影した写真を腕時計のデザインとして利用する感じですが、別途作成したグラフィックをスマートフォンに保存しておけば、それをデザインとして利用することができます。ちょっとその手順を見てみましょう。
夢が広がっちゃいますネ! 実際にデザインをアレコレ変えてみると、最初から「FES Watch U」内にあるデザインや「FES Closet」アプリで無料ダウンロードできるデザインだけでも十分な数がありますし、楽しいです。でもさらに「自作」も可能。「腕時計をこんなデザインにしたい!」が、けっこー低めのハードルで実現できちゃうのがイイです。
上の自作例で「カラス」がありますが、まあカラスが文字盤になっている腕時計をしたいという人は希だと思います。ですが、「カラスを文字盤にしてみようかな」という思いつきが一瞬で行動に移せるという「自由度」が凄い。そんな「FES Watch U」を知ると、アナタのなかのクリエイティビティが急に元気になってくるのではないでしょうか?
「文字盤もバンドも自由気まま好き勝手にデザインできる!」という点で、ワタクシは「FES Watch U」がチョー欲しくなっております。
1週間弱使ってみて
さて、「FES Watch U」を1週間弱使ってきたんですが、その印象を少々。
まず腕時計としてですが、質量75gで軽量。女性がするには少し大きめかなという気がしなくもないですが、わりあいフツーサイズの腕時計なので、「特殊な時計」という感じは少なく、違和感なく使えました。予備知識ナシで実物を見ると、ファッション性重視の現代的な腕時計という見栄えです。「IPX5/IPX7(JIS C0920防水保護等級相当)」ということで、生活防水性能がある点も安心です。凹凸が少ないので汚れにくいというのもイイ感じ。
あと、表示が電子ペーパーなので、ワタクシ的な印象から「視認性は普通の時計より少し落ちるだろう」と思っていましたが、実際は暗い環境でなければ時刻などの文字表示の視認性がヒッジョーに高いので快適でした。また、機能的にかなり変わった腕時計ではありますが、突飛なデザインを設定しなければ、比較的にフォーマル感の高い腕時計という感じもします。バンド色や電子ペーパー表示色を黒など地味な色とし、時刻など情報表示を「ボタンを押したときに表示」としておけば、冠婚葬祭時にも問題なく使える「静かな佇まいの腕時計」になると思います。
一方で「どハデ」にもできますね。野外フェスとかのノリノリな場で「ブッ飛んだデザイン」にして装着すれば、目立つアクセサリーのひとつとして機能しそうです。ちなみに「FES Watch U」の「FES」は野外フェスとかのフェスではなくて「Fashion EntertainmentS」の略だそうです。ともあれ、地味な時計としてもハデだったり個性的な時計としても使える、そのカメレオンのような変わり身は「FES Watch U」が持つ優れた「活用幅の広さ」だと感じられました。
ちょっと気になるのは、時刻など情報表示を「常時表示」としたときの挙動です。電子ペーパーの書き換えのタイミングで、腕時計全体が一瞬真っ白になって、またもとのデザインに戻るんです。前述のように電子ペーパーの表示自体はかなり視認性が高いもの。なので、この一瞬白になる「フラッシュ」のような表示は、けっこー目立ちます。よく使うデザインで試したところ、1分おきに「フラッシュ」している感じです。ちなみにこの「フラッシュ」は、ボタンを押して柄を変えた時などにも起きます。
でも「ボタンを押したときに表示」にすれば、このフラッシュは起きません。また、ハデなデザインにしたときには「非常に目を惹く挙動」となるので、ファッション要素のあるガジェットとしてはオモシロイとも言えるかもしれません。
アプリの使用感ですが、こちらも簡単で好印象です。ただ、デザインの自作機能周辺では、「時刻表示のプリセットが少ない」「文字盤とバンドの個別デザインはできない」など、もうちょっと高機能化して欲しい気がします。まあでも現状でも十分実用的ですし、アプリ側の仕様の話なので、今後の成熟に期待できるような気がしています。
しかしこういう腕時計はアリですね~♪ なるほど電子ペーパーってこういうふうに使えて、こんなに楽しいのか、とか改めて思いました。そう思いつつ、「コレのカラー版が出たらさらにおもしろそう」と考えましたが、同時に「グレースケールだからどんなデザインでも(色が統一されて)破綻しにくいのかも」と思いつつも、さらに「カラー電子ペーパーで単色のグラデーションにすれば……」等々イロイロ考えてしまいました。
それと、文字盤に加えてバンド部分まで表示部であること。単純に考えて、Bluetoothな腕時計だし、このまま方針を少し変えると「電子ペーパースマートウォッチ」になったりもしそう。文字盤にもバンドにも文字など情報を表示できると考えると、な~んか斬新で新機軸なスマートウォッチが登場しそうでもあります。
などなど、ユーザーにそんな妄想を起こさせつつワクワク感を与えてくれる「FES Watch U」。なんと言うか切り口が鋭いというか前のめりで若々しいというか、「最近のソニーらしい製品」という印象です。こういうアイデアをホントに製品にするという姿勢がイカス!
ともあれ、実物に触れてみて、さらに使ってみると、予想以上にインパクトがありますし、とても新鮮です。興味のあるかたは、ぜひ「FES Watch U」実機に触れてオモシロがったりしてみてください♪