スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」
iPhoneでSuica! あ~ら便利♪
2016年11月7日 06:00
iPhoneでSuica! あ~ら便利♪
2016年9月16日に発売されたアップルのiPhone 7シリーズ(公式製品情報ページはコチラ)。ワタクシはノロノロと予約しましたが、購入できたのは10月2日。iPhone 7 Plusの128GB(SIMロックフリー)モデルをアップルストアから買いました。色はブラック。お値段は税別9万6800円で、税込10万4544円でした。
iPhone 7 Plus使用開始から1カ月少々。ワタクシ的に最も注目していたApple Payが2016年10月25日に日本国内でサービス開始となり、また同じ日にカメラ機能もアップデートされ「ポートレートカメラ」モードが使えるようになりました。主だった新機能が全部出揃ったところで、ようやくレビューを書こうかな、と。
まずは非常に大雑把な雑感から書きますと、iPhone 7 Plus、全体的にイイです。個人的には、まずApple Payが好印象。利用可能クレジットカードや対応サービスがまだ多くないので、いわゆる「おサイフケータイ」と捉えて考えると物足りないんですが、Suica対応がイイです。使ってみたら「うっ、やっぱりイイわ……これ超便利だわ!」と思っちゃいました。
ほか、メーカー保証が微妙な防水機能、進化したカメラ機能なんかも好印象。「Apple Payは不要」というユーザーにとってはやや期待外れなiPhone 7 Plusかもしれませんが、ワタクシはかなり満足して使用しております。ともあれ以降、iPhone 7 Plusを約1カ月使用してみての印象などを書いてみたいと思います。
iPhone 7のSuica、どう使えるの?
まずはApple Pay(公式製品情報ページはコチラ)から。Apple Payは、iPhone 7など対応端末にクレジットカードや電子マネーカードを登録することで、店頭等で端末をピッとスキャンするだけで支払いができたり、ショップにクレジットカード情報を伝えずに(ネット通販などで)支払いができるといったサービス(プラットフォーム)です。詳細や対応サービス、対応クレジットカードなどはリンク先をご覧ください。
ワタクシの場合、Apple Payを幅広く使ってみたい派なんですけど、手持ちのクレジットカードがApple Pay非対応だったり、Apple Payでクレジットカード決済ができるショップが十分多くない気がしているので、「iPhone 7 Plusをクレジットカード代わりに使いまくる」のは「まだちょっと先のコト」かなと思っております。
でも、Apple PayはICカードの電子マネーに対応しています。プリペイドカードとしてはSuica、クレジットカード(ポストペイ)としてはiDやQUICPayです。ワタクシ的には、Suica対応というトコロが現時点でのヒッジョーに大きな魅力です。
要は、iPhone 7シリーズ端末(およびApple Watch Series 2)はSuica代わりに使えますヨ、ということ。ご存知のとおりSuicaを始めとする主な交通系ICカードは、電車やバスの運賃支払いはもちろん、既にいろ~んなショップで買い物もできます。2013年春から交通系ICカードは全国相互利用が可能になったので、Suicaはほかの交通系ICカード(Kitaca、PASMO、manaca、TOICA、PiTaPa、ICOCA、はやかけん、nimoca、SUGOCA)対応路線・ショップでも使えます。というわけで、「まあApple Payクレジットカード利用はそのうちとして、とりあえずApple PayでSuicaを使おう!」と考え、iPhone 7 PlusをSuica代わりに利用中です。
で、実際どんなふうに使えるのか? まずiPhone 7内にSuicaを取り込むなどの準備が必要ですが、その手順は後述するとして、デキたコトから書いてみます。
当たり前と言えばそうなんですが、プラスチックカードのSuicaとほぼ同じコトができます。改札通過、自販機やキオスク、コンビニでの買い物などですが、読み取り機にiPhone 7 Plusの上部(カメラ部があるあたり)をピッとかざせば完了。プラスチックカードのSuicaと同様の使用感です。
なお、iPhone 7/7 PlusのNFC通信部の位置は公開されていませんが、端末上部にあるようです。ので、読み取り機には端末上部をかざして使っています。
あらまあフツーに便利♪ というコトで、iPhone 7 PlusでSuicaを多用中です。改札などにかざすには、iPhone 7 PlusよりiPhone 7のサイズがよりスムーズだとは思いますが、ほぼ常時携帯の端末がSuicaにもなるのは、やはり何かと好都合です。ようやくiOS端末でも「おサイフケータイの利便の一部」が使えるようになったという感じ、ではありますが。
ちなみに、Suicaへのチャージですが、Apple Pay(Walletアプリ)に登録したクレジットカードから行えます。ワタクシの場合は前述のとおり「Apple Pay対応のクレジットカードを持っていない」わけですが、そんな場合はJR東日本の「モバイルSuica」アプリ(公式製品情報ページはコチラ)に登録したクレジットカードからチャージできます(要会員登録)。
Apple PayのSuicaへのチャージは、クレジットカードの登録なしでも行えます。具体的にはコンビニなどで現金によるチャージが可能。その件はJR東日本の「よくあるご質問」(当該QAはコチラ)にもあります。なお、駅の窓口や券売機や精算機などでは、現金でのチャージできません(一部のモバイルSuica対応の券売機なら現金チャージ可能)。
それと、余談ですが、iPhone 7 Plusを「背面にカード類が収まるゴツいケース」に入れた状態でも、Suicaは使えました。ケースはハードジャケットタイプで、モノはUAGの「Trooper」。レビューはコチラに書きました。
最初はiPhone 7 Plusが裸の状態でSuica利用を試しましたが、そのときはもちろん問題ナシ。続いて、「Trooper」に入れてSuicaを試しても無問題。さらに「Trooper」背面に「読み取りエラー防止シートを貼ったICカード」を入れてSuicaを使いましたが、これも無問題。じゃあ、ということで、背面に入れたICカードから「読み取りエラー防止シート」を除去した状態でSuicaを使ってみましたが、これも問題ありませんでした。
iPhone 7の場合、端末上部端をかざすからほかのICカードと干渉しないのかもしれません。あるいは、iPhone 7 Plusの場合、その本体サイズから、ほかのICカードと端末上部端がある程度離れているから干渉しなかったのかもしれません。まあ、ケースや入れるICカードによるのかもしれませんが、イロイロ試しているなか、読み取りエラーなどの問題はまだ未経験なので、とりあえず安心して使い続けております。
使用上注意すべきは、「Apple PayはiPhoneの電源がオフだと使えない」という点です。レアケースだとは思いますが、iPhoneの電池切れ寸前でApple Payを使って改札をパスし、電車から降りるときは電池切れ、となると改札を出られなかったりすると思いますので、よりいっそう電池残量には気を遣う必要がありそうです。
Suicaの設定手順は、こんな感じ
ここでちょっと、iPhone 7でSuicaを使い始める手順について。Apple Watch Series 2へのSuica導入にも少し触れてみたいと思います。そのあたりご興味ナシの方は読み飛ばしてください。
iPhone 7でSuicaを使う方法は2つあります。ひとつは「現在使用中のSuicaをiPhone 7に取り込む」という方法。もうひとつは「iPhone 7上で新たにSuicaを発行してもらう」という方法です。前者の場合はWalletアプリだけでOKですが、前述の「モバイルSuica」アプリ(公式製品情報ページはコチラ)を使えば、Suicaの読み込みも新規発行もできますので、ここでは「モバイルSuica」アプリを例に取ってその手順を見てみましょう。
なお、Apple Payに「取り込めるSuica」は、無記名Suica、記名式Suica(My Suica)、Suica定期券(通勤・大学生相当の通学)、各種記念Suicaです。取り込み後のプラスチックカードは、Suicaとして再利用できなくなります。カードに対するデポジットの500円は、Apple Pay内のSuicaへのチャージとして返金されます。
また、現時点で「取り込めない」Suicaもあります。具体的には、Suica付きビューカード、多機能Suica、高校生以下の通学定期券や小児用Suica、モノレールSuica(定期券含む)、や、りんかいSuica(定期券含む)、改札入場状態のSuica、有効なグリーン券情報があるSuicaです。さらに、Suica取り込み時には500円のデポジット払い戻し(チャージとして返金)があるため、残額1万9501円以上のSuicaも取り込めません(Suica残額上限が2万円のため)。
次に、Suica新規作成の手順です。まだSuicaを持っていない、もしくは手持ちのSuicaをiPhoneに取り込みたくない場合、iPhone上で新規にSuicaを発行してもらうことができます。その場合、前述のとおりモバイルSuicaアプリを使います。
また、新規発行時はチャージが必要になりますので、Apple Pay(Walletアプリ)もしくはモバイルSuicaアプリにクレジットカードが登録してある必要があります。Suica新規発行時、モバイルSuicaアプリに新しいクレジットカードを登録することもできます。ともあれ、Suica新規発行の手順を見てみましょう。
といった流れで、カンタンです。デポジットも発生しませんので、何だか気楽に作れる感じですけど、Apple Payに登録できるカード枚数は(現在のところ)最大8枚まで。ですので、先々のApple Pay対応カード増加や対応サービス増加なども少々想像しておいたほうがいいかもしれません。
なお、iPhoneに登録したSuicaは、ペアリングしたApple Watch Series 2に「移動」することができます。Apple Watch Series 2に移動したSuicaは、再びiPhoneに戻すこともできます。
ちなみに、Suicaは原則として1デバイスに1枚(1つのID)なので、iPhoneとApple Watch Series 2で同じSuicaを同時に併用することはできません。1枚のSuicaを、都度、iPhoneとApple Watch Series 2で入れ換えつつ使うことはできます。
なお、Apple Watch Series 2ではApple Payが使える(Suicaが使える)わけですが、iPhone 5以降とペアリングしたApple Watch Series 2でも同様です。ので、iPhone 7シリーズを買わずとも、iPhone 5以降の端末+Apple Watch Series 2があればApple PayでSuicaを使うことができます。スタイル的には「おサイフ腕時計」となりますが、Suica内蔵デバイスをより安価で利用したいならこの方法を試してみるのもいいと思います。
いろいろイイけど、やっぱりApple Pay!
ほかにもイロイロと新しい要素があり、全体的に便利になったiPhone 7。各新要素のうち、個人的に大歓迎だったのが防水機能です。最近の世代のiPhoneは「こっそりと防水仕様なのでは?」とウワサされるほど、水の影響を受けにくいと思われがちだったりしました。それはさておき、iPhone 7から「防沫性能と耐水性能を備えた筐体」や「水がこぼれたり、はねたりしても、ホコリがついても、あなたのiPhoneはこれまで以上に守られます」などと、メーカー自身が明確にアピールするようになりました。
粉塵に強く、ちょっと水に沈んでもOK。や~っと、iPhoneにもアウトドアなどにおけるタフさが加わりました。ただし、水濡れなどによるメーカー保証はありません。公式製品情報ページの下のほ~にも「液体による損傷は保証の対象になりません」と明記されています。
まあ、最近のスマートフォンの防水性能に関しては、わりと多くのメーカーがこういう但し書きをしています。ユーザーの中にはムチャな人もいるようで、メーカーの立場として「防水端末だから水濡れ故障でも保証内です」なんて、危う過ぎて書けないというのも、わからなくもありません。ともあれ、多少のホコリや水濡れならOKで、より雑……というかアクティブに使えるようになったというコトで、この防水性能は大歓迎です。
それからiPhone 7 Plusのカメラ機能。iPhone 7 Plusには単焦点レンズが2本組み込まれていて、それぞれ広角側28mm相当と望遠側57mm相当です(EXIF情報からの35mm換算焦点距離)。撮影時に画面下に「1x」や「2x」の表示が出ますが、そこをタップすれば広角側と望遠側のレンズを切り換えられます。その切り換え操作だけで撮影すれば、レンズ性能を十分発揮させた精細な映像が得られます。
また、画面のピンチイン・アウト操作や「1x」「2x」表示の長押し・スワイプ操作で、「1x」~「10x」までのシームレスなズームも行えます。ただしズーム操作をした場合、「1x」と「2x」以外のレンジではデジタルズーム相当の処理となるようで、やや画質が落ちます。
もうひとつ、iOS 10.1のリリースでiPhone 7 Plusに追加された、標準カメラアプリ内の「ポートレート」モード。「被写界深度エフェクト」とも呼ばれ、被写体の背景を擬似的に大きくボカす機能です。背景がボケることで、主題となる被写体を引き立たせつつ、背景の不要な要素を見えにくくして整理する、という機能です。
使い方は「iPhone任せ」。「ポートレート」モードを選んだら、画面の指示に従って被写体を画面内に収めます。画面に「被写界深度エフェクト」の文字が現れたらシャッターを押します。結果、背景がボケた写真が得られます。また、背景がボケていない、エフェクトなしの写真も同時に保存されます。
なかなかオモシロいしツカエル機能ですネ♪ iPhoneは4~5あたりの世代から急激に写真画質が上がり、6あたりでは「デジカメ要らずかも!?」という画質となった気がします。6→7の差は、iPhone 7 Plusなら上記の2つのレンズや被写界深度エフェクトが目立ちますが、まあ大雑把に言って、6も7もそ~んなに変わらないといった印象ではあります。
ただ、率直なところ「iPhone 7 Plusで良かった♪」と思うことも少なくありません。何気なく取ったスナップ写真が「おっ、キレイじゃん!」と思えるクオリティだったりして、後から「そうか、レンズが変わったんだっけ」とより高くなった性能などを改めて思い返しがちです。
千載一遇の撮影チャンスをなるべく高画質で残したい! という場合、機能性や操作性まで含めて、コンパクトデジカメやミラーレス一眼など、カメラ専用機のほうが良いとは思います。が、そこまでこだわらず、手軽にちゃちゃっとスナップを撮れればいいやというスタンスなら、「iPhone 7 Plusは期待以上の結果を出してくれるコトが多いなぁ」と思う最近です。
ほか、細々した刷新点が多々ありますが、以上がだいたい、iPhone 7 Plusに対する印象です。防水機能や新しいカメラ機能あたりは、かなり魅力的な要素です。しかしやはり、Apple Payの魅力はインパクト大。今後も急速に対応カードや対応サービスが増えていくと思われます。というわけで、Apple Payをどう考えるか次第で、iPhone 7 Plusの「買い度」は大きく変わってくるように思います。Apple Payに興味津々だし、先端的機能を備えたスマートフォンが欲しい、というなら、iPhone 7 Plusがオススメです。