Android 2.2で市場拡大を狙うソフトバンク冬春モデル

法林岳之
1963年神奈川県出身。携帯電話をはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるWindows 7」「できるPRO BlackBerry サーバー構築」(インプレスジャパン)、「お父さんのための携帯電話ABC」(NHK出版)など、著書も多数。ホームページはPC用の他、各ケータイに対応。Impress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。


 11月4日、ソフトバンクは2010年冬~2011年春にかけて発売する新モデルを発表した。ソフトバンクは、言うまでもなく、米アップルのiPhoneによって国内のスマートフォン市場を大きくリードしてきたが、今回はそのiPhone以外の選択肢として、Android採用端末を一気に6モデルも展開し、スマートフォン市場全体にアプローチする体制を整えてきた。発表会の詳細な内容は、すでに掲載されている本誌レポート記事を参照していただくとして、ここでは筆者が見た発表会の印象やタッチ&トライで試した端末の印象、発表内容全体の注目点などについて、説明しよう。

iPhoneが80%を占める国内スマートフォン市場

 今年に入り、各社から新製品が発表され、いよいよ国内でも本格的にスマートフォン市場が起ち上がる様相を見せているが、現在、国内でもっともスマートフォンのシェアを確保しているのは、言うまでもなく、ソフトバンクであり、その原動力となっているのは米アップルのiPhoneだ。

 今回の発表会の冒頭でも国内市場において、iPhoneが80%のシェアを持ち、NTTドコモのXperiaが11%、IS01が4%、その他が5%で続いているという資料が提示された。出典に「外部リサーチ調べ」と書かれたシェア分布がどの期間や項目について、どのように集計されたものなのかが今ひとつ明確ではないが、それでも自分たちの周囲を見れば、以前にも増して、iPhoneを持つユーザーが増えているのは確実であり、読者のみなさんもその勢いを身近に感じ取っているはずだ(編集部注:MM総研の発表によれば今年度上半期のスマートフォン出荷台数におけるアップルのシェアは約60%)。

 ただ、北米市場に目を転じれば、スマートフォン市場のシェアはAndroid採用端末がiPhoneを逆転しており、スマートフォン市場の傾向は徐々に変わりつつある。これは機能やサービスなどの面において、Android採用端末がiPhoneを上回り、ユーザーが乗り換えているということではなく、単純に米アップル1社のみが供給するiPhoneに対し、複数のメーカーが市場に製品を投入するAndroid勢が増え、全体的なシェアに影響を与えているというのが正しい見方だろう。ややもすると、二者択一的な対決構図で捉えてしまうことが多いが、iPhoneにしてもAndroid採用端末にしてもそれぞれに特徴があり、Windows PhoneやBlackBerryなどのプラットフォームとともに、今後もスマートフォン市場を構成していくことになるだろう。

 こうした状況を踏まえ、ソフトバンクも今回の発表ではAndroid採用端末を一気に6機種もラインアップに加えてきた。その一方で、10機種以上のフィーチャーフォン(通常の携帯電話)、フォトフレームやモバイルWi-Fiルーター、データ通信端末などもラインアップし、しっかりと全域でユーザーのニーズをカバーしようという構えだ。

 まず、Android採用端末についてだが、OSとして、今回発表する全機種に最新のAndroid 2.2を搭載する。これまでAndroid採用端末では、搭載するOSのバージョンについて、強くアピールされた例は少なかったが、10月28日発売されたNTTドコモの「GALAXY S」がAndroid 2.2、10月4日発表のauの「IS03」がAndroid 2.1を採用していることなどもあり、ソフトバンクの新モデルでは全機種揃ってAndroid 2.2搭載を積極的にアピールすることになった。Android 2.2とAndroid 2.1は、バージョンを示す番号は“0.1”の違いだが、2.2のほうは、Flash 10.1対応、アプリケーションの高速化などのメリットがある。使い勝手の面も含め、より新しいものがベターであることは変わりないが、おそらくAndroid 2.1搭載の他のスマートフォンも今後、Android 2.2にバージョンアップしてくると予想される。とは言え、ユーザーとしては購入時からAndroid 2.2搭載の方が買いやすいだろう。

GALAPAGOS 003SHでは10種類の背面パネルも

 形状については、6機種中5機種がフルタッチのストレートボディ、1機種のみがスライド式フルキーボードを備えたデザインを採用しているが、サイズ的には女性の手にも持ちやすいコンパクトなボディもラインアップされている。デザイン面で注目すべきは「GALAPAGOS 003SH」で採用された背面パネルによるバリエーションだろう。ストレートタイプのスマートフォンはどうしても形状が似通ってしまううえ、ボディカラーもブラックやホワイトを基調にしたものが多いが、本来、パーソナルな持ち物として進化してきたケータイの流れから考えれば、これくらいのアクセントはユーザーとしても歓迎したいところだ。

 一方、フィーチャーフォン(従来型の携帯電話)については、カメラ機能を強化したAQUOS SHOT 002SHが二軸回転式、LUMIX Phone 001Pがスライド式を採用し、それ以外はすべてスタンダードな折りたたみデザインというラインアップ構成となっている。一部の夏モデルも併売されることが予想されるため、あまり問題はないのかもしれないが、スライド式の選択肢が少ないなど、やや偏ったラインアップにも見える。もっともこのあたりは、ソフトバンクとして、スマートフォンとフィーチャーフォンをどうバランスさせていくのかにも関係しており、一概にいいとも悪いとも言えない印象だ。ただ、フィーチャーフォンはいずれも内容的に完成度が高く、方向性もハッキリしているため、従来モデル同様、長期で販売することができそうだ。

 メーカーについては、スマートフォンにおいても国内メーカーではシャープが先陣を切ったため、6機種を供給することになり、これにパナソニックが4機種(その内1機種は法人向け)で続いている。その他では、NECカシオモバイルコミュニケーションズやサムスン電子が従来に引き続き、端末を供給しているが、これまでデータ通信端末を中心に供給してきたファーウェイやZTEがスマートフォンを供給するうえ、パソコンでおなじみのDELLも加わり、一気に海外メーカーが増えてきた印象だ。フィーチャーフォンであれば、やはり、国内メーカーや国内事情をよく理解するメーカーを頼る必要があるが、共通プラットフォームであるAndroidであれば、海外メーカーも参入しやすく、早速、ラインアップに加えてきた格好だ。

Android 2.2搭載をアピール従来型の携帯電話(フィーチャーフォン)も採り揃える

 端末ラインアップを見るうえで、もうひとつ気になるのは、スマートフォンとフィーチャーフォンを区別せず、端末のクラス分けも考慮しない統一の型番を与えたことだ。ソフトバンクでは従来から高機能モデルの「9xxシリーズ」、普及モデルの「8xxシリーズ」「7xxシリーズ」といった区別をして、スマートフォンについてはiPhone以外は「X01○○」といった名称を与え、Xシリーズとして展開してきた。しかし、今回から全機種を通じて、「001○○」(○○はメーカーのイニシャル)という型番を付け、機種によっては「AQUOS SHOT」や「LUMIX Phone」のように、ペットネームを与えるようにしている。そのため、ユーザーとしては、型番を見ただけでは、それがスマートフォンなのか、フィーチャーフォンなのか、高機能モデルか、普及モデルかなどがまったく見分けができなくなっている。

 今回の発表内容はスマートフォンのラインアップ拡充が目を引くが、サービス面についてもユーザーがスマートフォンを利用しやすい環境を着々と整えている。たとえば、コンテンツではiPhoneでも提供している「ビューン」をはじめ、10万点のラインアップを揃えた「ブックストア」、1500タイトルをダウンロードで楽しめる「ビデオストア」、10万曲の楽曲と1500曲以上のミュージックビデオを揃えた「mora touch」、ゲーム、SNSなど、スマートフォンを楽しむためのコンテンツもしっかりと取り揃えている。

 これに加え、フィーチャーフォンで提供する「基本オプションパック」のスマートフォン版となる「スマートフォン基本パック」を提供し、そこにMcAfeeのセキュリティソリューションを利用した「スマートセキュリティ powered by McAfee」を組み入れている。スマートフォンの内、Androidについては、自由にアプリケーションがインストールできる半面、セキュリティについては基本的にユーザー任せの状態になっている。こうした状況において、しっかりとセキュリティ対策を取ってきたのは、iPhoneでスマートフォン市場をよく理解しているソフトバンクらしい判断と言えるだろう。もちろん、ユーザーとしてもこうした取り組みは歓迎したいところだ。

 今回は、スマートフォンとフィーチャーフォンの他に、DC-HSDPA方式とHSPA+方式を採用したデータ通信サービス「ULTRA SPEED(ウルトラスピード)」についても対応端末が発表された。NTTドコモが12月からLTEサービスの「Xi(クロッシィ)」を開始することをにらんでの発表だが、料金面などは発表されず、やや肩すかしを食った印象だ。ただ、「ULTRA SPEED」は自社が提供する1.5GHz帯だけでなく、イー・モバイルが提供する1.7GHz帯の利用も検討しているとしており、今後、両社は一段と連携を深めていきそうな様相だ。42Mbpsという速度はあくまでもカタログスペックであるため、実効速度がどれくらいになるのかは未知数だが、LTEはエリアを最初から構築しなければならないうえ、設備コストも比較的割高になることが予想されるため、しばらくの間はDC-HSDPAがコスト的にもアドバンテージを得ることになるかもしれない。いずれにせよ、料金プランを含めた正式な発表が待たれるところだ。

スマートフォン6機種とフィーチャーフォン10機種をラインアップ

 さて、ここからは発表会後に行なわれたタッチ&トライコーナーで試用した実機の印象について、紹介しよう。ただし、今回はスケジュールの都合上、筆者が試用する時間が十分に取れなかったうえ、一部の端末はモックアップだったことをお断りしておく。また、発売済みの端末を除き、いずれも開発中であるため、実際に発売された端末と違いがあるかもしれない点も合わせて、ご了承いただきたい。なお、各機種の詳しい仕様などについては、ぜひ本誌のレポートを記事を参照して欲しい。

GALAPAGOS 003SH(シャープ)

 シャープが電子書籍サービスのプラットフォームとして採用する「GALAPAGOS」と同じ名を冠したスマートフォン。ソフトバンクのラインアップにおいては、GALAPAGOSはAQUOS SHOTのようなペットネームとして扱われるとのことだ。同じシャープが開発するauのIS03と同じように、ワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信など、日本のケータイの機能を取り込んだスマートフォンとして仕上げられているが、ディスプレイは3D液晶を採用し、ベースバンドチップセットもSnapdragonの第二世代となる「MSM8255」を搭載するなど、一段とハイスペックに仕上げられている。なかでもMSM8255はQSD8650よりも世代が新しい45nmプロセスで生産されるため、パフォーマンスだけでなく、省電力化の面でも期待ができそうだ。3Dについてもコンテンツを閲覧できるだけでなく、内蔵カメラで3D写真を撮ることもできる。より立体的な写真を撮るには、被写体や周囲の状況を選ぶ必要があるが、意外に手軽に3D写真が撮れるという印象だ。

GALAPAGOS 005SH(シャープ)

 GALAPAGOS 003SHをベースに、QWERTY配列のスライド式キーボードを備えたモデル。今回はモックアップのみの展示だった。カメラが800万画素であることなどを除けば、基本的にGALAPAGOS 003SHと共通仕様となっている。フルキーボードを備えている分、ボディはやや厚みがあるが、背面はラウンドしており、意外に持ちやすそうな印象だ。ちなみに、両機種ともシャープ製のメールアプリが搭載されており、従来端末同様、SMS/MMSを利用することができる。また、HDMI端子を備え、DLNA Server機能も搭載しているなど、Audio&Visualの機能も充実している。今回のタッチ&トライコーナーでは、両機種とも非常に高い注目を集めていた。

HTC Desire HD 001HT(HTC)

 すでに10月に発表され、11月12日から販売が開始されるHTCのフラッグシップモデル。約4.3インチという大画面は、国内のストレートタイプのスマートフォンでもっとも大きく、解像度も800×480ドットと標準的であるため、文字も含め、非常に視認性に優れる。ただ、その分、ボディ幅は68mmと大きく、筆者のように手が大きいユーザーは気にならないが、あまり手が大きくない人にはちょっと違和感があるかもしれない。国内向けスマートフォンでは初のドルビーモバイルを搭載し、立体サウンドのSRS、DLNAなどにも対応しており、Audio&Visualを楽しみたいユーザーには魅力的な構成となっている。

DELL Streak 001DL

 5インチの大画面ディスプレイを搭載したスマートタブレットだ。すでに、海外では販売され、人気を得ている。アプリケーションやコンテンツを使用頻度や履歴に応じて表示することができる「DELL Stage」というオリジナルのユーザーインターフェイスを搭載する。ボディサイズは他のスマートフォンよりもひと回りか、ふた回りほど大きく、感覚的にはPSPなどに近い印象だ。スマートフォンと同じように、単独で利用するにはサイズの大きさが気になるが、フィーチャーフォンと組み合わせて持つことを考えると、通常サイズのスマートフォンよりも画面が大きく、大容量のバッテリーを搭載できるため、より活用しやすいという見方もできる。

004HW(Huawei)

 国内向けではHuawei初のスマートフォン。今回は開発中のモックアップが展示されたのみだったが、かなりコストを抑えたエントリー向けとして開発されているとのことだ。ボディサイズもコンパクトにまとめられている。ソフトウェアは仕様レベルでの公開だったが、Libero 003Z同様、日本語、英語、中国語の3カ国語入力に対応し、表示も10カ国語に対応するなど、海外での利用や外国語ユーザーにもうれしい仕様となっている。

Libero 003Z(ZTE)

 国内向けではZTE初のスマートフォン。日本語、英語、中国語の3カ国語の入力に対応し、表示も10カ国語をサポートし、グローバルコミュニケーションを重視するユーザー向けのモデル。デザインは別にして、ラインアップの上では004HWとキャラクターが似通っているように見えてしまうが、004HWが廉価モデルに位置付けられているのに対し、Libero 003は800×480ドット表示が可能なフルワイドVGA液晶を採用するなど、ミッドレンジに位置付けられるスペックにまとめられている。今回は実機を試用できたが、ディスプレイ下に装備されたハードキーの操作感にやや硬さがあったものの、スリムなボディは持ちやすく、価格面も含め、手軽にスマートフォンを試したいユーザーに適している印象だ。

AQUOS SHOT 002SH(シャープ)

 二軸回転式ボディを採用したAQUOS SHOTの最新モデル。夏モデルの945SHがやや角張ったデザインを採用していたのに対し、今回は少し丸みを帯びたデザインを採用。カメラは新開発の1410万画素のCCDセンサーを採用する。防水や防塵、ケータイWi-Fi対応などの機能は継承されているが、新たにカメラの撮影機能として、魚眼カメラやミニチュアライズカメラなどが追加された。顔検出機能は人物に加え、ペット検出の機能も搭載されている。スマートフォンの003SHとどちらを選ぶか、悩むユーザーも増えそうな完成度の高いモデルだ。

LUMIX Phone 001P(パナソニック モバイルコミュニケーションズ)

 デジタルカメラ「LUMIX」の名を冠したモデル。先に行なわれたCEATEC JAPANで、NTTドコモ向けのモデルが参考出品されていたが、正式発表はソフトバンクが一歩、先んじた格好になる。LUMIXで培われた高画質技術を活かしたMobile Venus Engineにより、高品質な写真の撮影を可能にするとしている。1320万画素のCMOSイメージセンサーやマルチコートフィルタ、高輝度フラッシュなど、スペック面も充実しているが、背面のデザインは横向きに端末を構えたとき、レンズ部分に指が掛かりにくい位置にレイアウトし、ストラップ穴の位置も影響を与えないようにするなど、細かい部分にも配慮されている。今回試用したモデルは開発中ということもあってか、スライド式のボディの剛性感がやや不足した感があり、上筐体と下筐体の段差も少し気になった。

THE PREMIUM7 WATERPROOF 004SH(シャープ)

 人気の「THE PREMIUM」シリーズの第7弾となるモデル。カメラやアプリケーションプロセッサなどの構成を除けば、基本的には、同時に発表されたAQUOS SHOT 002SHとほぼ同等のスペックを実現している。THE PREMIUMシリーズとしては、夏モデルの「THE PREMIUM6 WATERPROOF 841SH」がひとつ前のモデルということになるが、THE PREMIUM7 WATERPROOF 004SHはどちらかと言えば、昨年発表され、今年2月に発売されたTHE PREMIUM5 942SHをベースに、防水や防塵機能を追加し、カメラやWi-Fiなどの機能を強化した印象に近い。防水及び防塵対応により、若干、デザインは変化しているが、ラウンドしたボディのフォルムは美しく、非常に持ちやすく仕上げられている。

004SH PJ(シャープ)

 THE PREMIUM7 WATERPROOF 004SHをベースに、女性に人気のブランド「PAUL&JOE」とコラボレーションしたモデル。パッケージや本体のトップパネルには、同ブランドのモチーフのひとつである猫柄があしらわれているが、今回展示されていたモックアップでもかなりインパクトのある存在感を醸し出していた。内蔵コンテンツなどもPAUL&JOEオリジナルのものがプリインストールされる。

001N(NECカシオモバイルコミュニケーションズ)

 NECのハイスペックスリムの最新モデル。昨年12月に発売された940Nの後継に位置付けられる。NECのケータイではおなじみの美しいアークラインに仕上げられたスリムボディが魅力だが、今回は着信時などにハデに光るキーイルミネーションを搭載する。トップパネルのサブディスプレイ横に装備されたLEDもボディカラーによって、ハートや星形をあしらうなど、細かい演出にも凝っている。

AQUA STYLE 001SC(サムスン電子)

 防水対応ながら、11.7mmのスリムボディに仕上げられたモデル。相手の声が聞きやすい「はっきりトーク」や読みやすい「イワタUDフォント」の採用など、使い勝手にも配慮されているが、意外に目を引いたのがトップパネルにうっすらと施されたグラフィックパターンだ。ボディカラーごとにパターンが異なるが、光に当てると、パターンが浮かび上がって見えるなど、上品で美しい仕上がりとなっている。ハイスペックではないが、実用性と美しさを兼ね備えた「才色兼備」的なモデルと言えそうだ。

PANTONE3 001SH(シャープ)

 PANTONEとのコラボレーションモデル第3弾。812SH以来、基本的なボディデザインは大きく変わっていないが、ワンセグやBluetooth、ウィジェットなど、ハードウェアとソフトウェアの両面で、かなり充実した仕上がりとなっている。ソフトバンクのCMキャラクターのお父さんをあしらったコンテンツやパッケージも楽しいが、実は内容的にもかなり充実しており、意外にお買い得感の高いモデルと言えそうだ。

COLOR LIFE 2 002P(パナソニック モバイルコミュニケーションズ)

 PANTONEシリーズに次ぐ、豊富なカラーバリエーションで人気を得ている「COLOR LIFE」シリーズの第2弾モデル。今回は単純にカラーバリエーションを展開するだけでなく、ツートンカラーのモデルもラインアップし、初回限定でストラップが同梱される。スペック的には001SHに一歩譲るが、こちらも非常にお買い得感が高いモデルだ。この002Pをベースに、ソフトバンクが法人向けに提供する「法人基本パック」に対応した「002P for Biz」もラインアップされる。一般ユーザーにはあまり縁がないが、法人基本パックは細かい機能制御や遠隔ロックなど、法人利用に欠かせない機能を簡単にコントロールできるようにしている。

スマートフォンに移行するか、フィーチャーフォンを続けるか

スマートフォン時代への取り組みを語った孫氏

 国内のケータイ市場において、この冬から春に掛けての商戦期は、言うまでもなく、スマートフォンがひとつのトピックとなっている。そのスマートフォンの市場でiPhoneという『武器』を持ち、この2年強に渡り、市場をリードしてきたのがソフトバンクだ。今回の発表は、この2年半の間に、iPhoneを扱うことで培われてきたスマートフォンに対するノウハウを活かしながら、Androidというもうひとつのプラットフォームによる『武器』をズラリと揃え、スマートフォン市場をさらに拡大しようという構えを見せたという印象だ。ただ、その構えはひとつ間違えると、iPhoneという武器の存在を否定してしまいかねないもので、プレゼンテーションや質疑応答での孫社長の受け答えにもかなりの配慮(遠慮?)が見られたのも事実だ。

 事業者としては、どちらを押していくのかというジレンマを抱えているわけだが、実は我々ユーザーとしてもこれから主流になるであろう「スマートフォン時代」に、どの段階でシフトしていくべきなのかを勘案するジレンマを抱えている。確かに、インターネットの利用などを考えると、スマートフォンは非常に魅力的であり、これから主流になっていくことは誰の目にも明らかだろう。しかし、それが自分にとって、合うものなのか、今使っている環境から移行して、問題が起きないのかなど、ユーザーとしてはいろいろと不安や悩みが尽きないのも事実だ。

 ワンセグやおサイフケータイ、赤外線通信といった日本のケータイらしい機能が搭載されたスマートフォンが登場し、「おっ、もしかして、いいタイミングか?」と考えているユーザーも少なくないだろう。しかし、その一方で、HTC Desire HDやDELL Streakのように、完成度の高い海外製スマートフォンやタブレット端末が並び、今までよりも快適かつ区分が明確な2台持ちの環境が実現しやすくなってきた印象もある。同時に、フィーチャーフォンも防水や防塵対応のモデルが増えるなど、実用面でもかなり完成度の高い端末が増えており、2年前後の買い替えサイクルで考えたとき、「今回は最後の1台のつもりでフィーチャーフォンを買って、次を待つか?」という考えも成り立つだろう。

 とまあ、スマートフォンに移行するか、フィーチャーフォンを続けるかの悩みは尽きないわけだが、いずれにせよ、これだけ選べる環境が整ってきたことは、ユーザーとしてもある意味、うれしい時期と言えるのかもしれない。

 さて、今回発表されたモデルは、今月から順次、販売が開始される予定で、一部のモデルは来週にも予約が開始される予定だ。今後、本誌に掲載される開発者インタビューやレビュー記事を参考にしながら、読者のみなさんもどのスマートフォンにするのか、どのフィーチャーフォンにするのかをじっくりと悩み、自分に合った一台をぜひ見つけていただきたい。

 



(法林岳之)

2010/11/5 22:05