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カメラには、ソニーの最新式となる裏面照射型CMOSセンサー「Exmor RS for mobile」を採用している

 「Xperia Z SO-02E」には、ソニーが新たに開発した「Exmor RS for mobile」というセンサーが搭載されている。積層型の構造を採用し、サイズがコンパクトになった上に、裏面照射型のため暗所に強いのが特徴だ。

 シーンを自動で認識して、最適な設定で撮影できる「プレミアムおまかせオート」の機能も、過去の機種より強化された。認識するシーンには「赤ちゃん」や「スポットライト」が加わり、合計で36パターンの設定に対応している。メモリーが尽きるまで無限に連写できたり、動画と静止画を切り替える必要なく撮影できたりするのも、Xperia Zのカメラの魅力と言えるだろう。

 カメラのスペックや機能をざっと紹介すると、以上のとおりだ。では、実際、そのカメラでどのような写りになるのか。Xperia Z購入から2カ月、出張やご飯のときなどに撮りためた写真で、仕上がりを見ていこう。作例として意識して撮ったものではないが、そのぶん、普段使いでの実力がわかるはずだ。なお、スマートフォンのカメラは、オートで手軽に撮れることが重要というのが筆者の考えだ。よって、ここで撮った写真の数々は、すべて「プレミアムおまかせオート」をオンにした状態にしてある。

 まずは、筆者が機種変更するたびに、必ず撮ることにしているつけ麺の写真を見ていこう(というと大げさだが、よく食べるというだけのこと)。メニューや構図は若干異なっているが、同じシチュエーションに固定しているため、カメラの実力差をつかみやすい。薄暗く、機種によっては、フラッシュなしで撮ると、手ブレしたり、感度が上がりすぎてノイジーになってしまったりする、室内での撮影となる。左が「HTC J butterfly HTL21」、右がXperia Zで撮った写真だ。

サムネールで見るとキレイだが、拡大するとブレが大きいことが分かる。シャッター速度が1/24になっているためで、ISOも1303と高い
シャッター速度は、HTC J butterflyより速く1/32となる。そのぶん、ブレが少なく、ISOも640でノイズが少なくキレイだ

 両者やや手ブレしているが、比較すると、Xperia Zの写真に軍配が上がる。色味はどちらかというとHTC J butterflyがあっさり目なのに対し、Xperia Zは良くも悪くも派手な仕上げになっている。好みにもよるかもしれないが、個人的にはXperia Zの写真の方がキレイだと感じる。

 同様に、暗所に強いExmor RS for mobileを採用しているだけあって、Xperia Zは総じて室内での撮影に秀でている印象を受ける。FacebookなどのSNSで人気の出やすい(「いいね!」されやすい?)、食事の写真を撮るには最適と言えるかもしれない。明りが少ない飲食店でここまでの仕上がりになれば、スマートフォンなら十分だ。以下に異なるシチュエーションで撮った料理の写真を並べてみたので、カメラの性能をチェックする際の参考にしてほしい。

昼間で窓から光が差し込んでいたため、比較的撮影環境はいいが、席の近くは若干暗かったため、少々ブレが起きている。ISOは800で、シャッター速度は1/40
蛍光灯である程度照明が当たっていれば、よりキレイな写真が撮れる。ほかの機種だと、なかなかここまでは再現できなかったかもしれない。ISO250で、シャッター速度は1/40
北京ダックの写真よりもう少し明るい、半分屋外のお店で撮った。エビの質感が、実においそうに表現されている。シャッター速度は1/125で、ISOは40。ノイズも非常に少ない
屋外にテーブルがある、ニューヨークの「Shake Shack」のハンバーガー。ここまで光量が確保できていれば、クッキリとした写真に仕上がる。シャッター速度は1/200で、ISOは40に設定された
一方で光がわずかに差す程度の明るさだと、さすがに仕上がりは厳しくなってくる。写真はANAの機内食で、窓を少しだけ空けて光を入れたシチュエーション。ノイズは多いが、それでも被写体が何であるかは判別できる。ISOは1600で、シャッター速度は1/16。ここまで暗い場合は、フラッシュを使うといい。不自然に光が当たっていることもなく、キレイに撮れる

 では、明暗差の大きい夜景はどうだろう。スマートフォンにとって、厳しいシチュエーションで、カメラの性能が高くないと暗い部分にノイズが多くなりがちだ。結果は次の通りとなる。

シャッター速度は1/40、ISOは80。明るさの差が激しいこともあって、右側の電光掲示板は飛び気味になってしまった。一方で、空のノイズは驚くほど少ない。
寄りで撮った写真は、よりシャッター速度を稼げている。ここまで撮れれば、記事にも使っても問題ないかもしれない(と思って、本誌の「GALAXY S 4」の記事で使わせていただいた)
より暗いと、絵作りが甘くなってくる。写真はバルセロナにあるモンジュイックの丘で、昨年までMobile World Congressの会場だったところだ。2つの柱の輪郭が少々あいまいで、空のノイズも多い。もっとも、これであまり手ブレせずに撮れているので、評価が厳しすぎるのかもしれないが……

 屋内の料理や夜景がこれだけキレイなら、当然、屋外では申し分ない写真が撮れる……と思いきや、実はそうでもなかったというのが率直な印象だ。晴れている屋外で風景や建築物を撮ると、空のノイズが少々目立つ。それより気になるのが、逆光時の仕上がりだ。プレミアムおまかせオートには逆光補正の機能も入っており、逆光と認識されると自動的にHDRでダイナミックレンジを広げようとする。理屈上はそうなっているが、補正がかかってもかなり暗い写真になってしまう。この辺りには、まだソフトウェアを改良する余地があるのかもしれない。

サグラダ・ファミリア自体に問題はないが、拡大すると空のノイズが少々目立つ。シャッター速度は1/1250、ISOは40
出張帰りの機内から、日本の山を撮影してみた。こちらも山や雲はキレイに表現できているが、空が少々ノイジーだ。シャッター速度は1/3200、ISOは40
今年のMobile World Congressの会場だった、フィラ・グランヴィア。若干逆光気味のシチュエーションで、シーンも逆光と認識されていた。曇りだったこともあるが、仕上がりはややアンダー。シャッター速度は1/640、ISOは40。なお、HDRで写真を合成しているため、歩いている人物は分身したようになっている
完全に逆光で写真を撮ると、補正がかかってもやはり全体的に暗くなってしまう。この処理は、もう少し改善してほしい。写真はMobile World Congressの帰りに寄ったロンドンのピカデリーサーカス
手前の花びらにフォーカスを合わせたところ、背景がキレイにボケている。ただし、撮影した時間帯がやや遅めだったためか、シャッター速度がなかなか稼げず、何度か被写体ブレを起こしてしまった。写真のISOは40だが、シャッター速度は1/50となる

 一方で、屋外での接写を試してみたが、こちらはなかなかの仕上がり。背景もキレイにボケてくれる。フォーカスはタッチで合わせられるので、操作も簡単だ。

 以上が、Xperia Zで数百枚撮った中からセレクトした写真の数々だ。昼間の風景写真の仕上がりには少々不満はあるものの、スマートフォンのカメラとしてはかなり優秀と言えるだろう。

 ただ、正直なところ、Xperia Zの画面で見たときの方が感動は大きかった。購入直後にカメラを試したときは、「コンデジ並み!!」と驚いたことも覚えている。しかし、その写真をFacebookやTwitterにアップしてPCで確認すると、どうも様子が異なる。

作例に使ったエビの写真を、画面に表示してみた。写真だと補正効果は分かりづらいが、色味がよりビビッドになり、輪郭もクッキリしている。記憶色には、こちらの方が近い

 後で気づいたことだが、この差は、Xperia Zに搭載されている「モバイルブラビアエンジン2」によるものだ。輪郭がクッキリしていて色もより鮮やかなのは、閲覧時に映像が補正されていたからで、写真そのものがそうだったわけではない(とは言え十分キレイだが)。その意味では、下手なPCで見るより、Xperia Zや、同じ機能を搭載する「Xperia Tablet Z」などをフォトビューアーにした方がいいのかもしれない。