Optimus Padに見るAndroid 3.0の狙い

2011年6月2日 06:00
(橋本保)

 今回からOptimus Padをご紹介することにします。皆さん、よくご存知のとおり、Optimus Padは、Android 3.0(コードネームはHoneycomb)を搭載したタブレットです。本稿では、そのあたりに触れることにしましょう。

正面から見ると、ガラス板のような外観。ボタン類は周囲に配置されている

 実際に使ったことがある人は、よくおわかりだと思いますが、Android 3.0は、一般的なAndroid機に採用されている2.X系とは操作方法がまったく違います。これは、3.X系が大画面用の機器向けに作られたAndroidであるからです。2.X系は、4インチ前後のスマートフォン向けなのに対し、3.X系は、いわゆるタブレットなど向けという分類ができます。ここで気になるのがiPhoneやiPadとの比較です。iPhoneとiPadでは、基本操作がほとんど一緒なので、ユーザーは、それほど戸惑うことはなかったと思います。が、Androidの2.Xと3.Xは、なんども繰り返しますが、操作方法がまったく異なります。Optimus Padではありませんが、最初にHoneycombに触ったとき、どこから操作をしていいのか正直に言って迷いました。これまでのスマートフォンは、ホーム画面に戻るためのハードキーがありましたが、それがなく、左下のソフトキーで行います。また、蜂の巣(=Honeycomb)を意識した画面デザインになっていますが、これも慣れるまでには少し時間がかかります。

 なぜ、こんなことをするのでしょうか? iPadは、iPhoneと同じ操作体系だから使いやすいのに……。最初は、とても違和感を感じていましたが、使っているうちに気がつくこともありました。たしかに2.X系と3.X系の操作を同じにすると、ユーザーは使いやすいかもしれません。ただ、本当に大画面ディスプレイを搭載した機器が2.X系の操作で完璧なのか? といえば疑問が残ります。実際には実現していませんが、たとえば大画面を活かすと、PCのように複数のアプリ画面を同時に表示することも可能でしょう。また、ひとつひとつの画面を大きく表示できるので、2.X系のケータイよりも使いやすく工夫することもできるはずです。このあたりは、iPad用にカスタマイズしたアプリが多く作られていることとの類比でもイメージできるはずです。

 というわけで、最初は、「なんでこんな使い勝手なんだろう?」と、疑問ばかりが先に立ちましたが、最近は、「Googleのエンジニアたちは、3.Xで何をしようしているのだろう?」という興味が強くなっています。

 こうした立ち位置の設定で、Optimus Padの評価は、だいぶ変わってくるでしょう。単純なタブレットとして考えると、iPad2やGALAXY Tab(サムスン製)、もう少し視点を広げるとICONIA TAB W500(Acer製)なども、同じ分野のガジェットになってきます。

 この新しい分野のガジェットとしてOptimus Padは、どんな存在になっていくのだろう? と考えていくと、結構楽しくなってきます。どうやらOptimus Padは、まず市場に出してみて、ユーザーやエンジニアからどんあフィードバックが得られるのだろう? というリファレンスモデル的な役割を果たすため、あえてLGエレクトロニクス独自のアプリを入れないようにした、という背景もあるようですし。

本体下部に現れるシステムバー。左から戻るボタン、ホームボタン、マルチタスクボタン