スタパ齋藤のコレに凝りました「コレ凝り!」
デジカメでモノクロ赤外線写真!
ケンコー「PRO1D R72」フィルターでお手軽に撮影♪
2016年9月21日 06:00
赤外線写真をデジカメで!?
唐突に「デジカメで赤外線写真って撮れるのかな?」と思いました。太陽光などの光源には多かれ少なかれ赤外線が含まれますが、赤外線写真とは「被写体が反射などした赤外線のみを捉えて(モノクロの)濃淡として表現した写真」です。フィルム式カメラ時代には「赤外線フィルム」という「赤外線領域のみに感度があるフィルム」があり、赤系フィルターなどとともに使って撮影すると、非日常的かつ超ハイコントラストな写真が撮れました。
たとえば風景を撮ると、空に浮かぶ雲や木の葉などが真っ白に写ります。雲や木の葉(葉緑素)が赤外線をよく反射するからです。また、赤外線は水に吸収されたり空中をあまり拡散せずに進む性質があるので、湖や海、雲のない空の部分はまっ黒に写ります。なので「凄くハイコントラスト」に見えがちなんですな。草は木の葉が真っ白く写るあたり、とても幻想的。赤外線写真では、そんなふうな普段は見られない光景が楽しめました。
フィルム式カメラ時代はまずまず知られていた赤外線写真ですが、さて、デジカメでは撮れるのでしょうか? アレコレ調べた結果、わりと簡単に撮れることがわかりました。どう撮るかは後述するとして、まずはどんな写真が撮れるのかザッと見てみましょう。
以下の写真は、左が普通に撮った風景写真で、右が同じ風景を撮った赤外線写真です。木の葉や草、水、空に注目すると違いがよくわかると思います。
楽しい~♪ ていうか試してみたくなりませんか? わりとカンタンにデキますので、ぜひお試しを。それでは以降、デジカメでの赤外線写真の撮り方をご説明します。
しくみは? どうやって撮るの?
デジカメで赤外線写真を撮るためには、デジカメの撮像素子に赤外線を検知させる必要があります。が、じつはほとんどのデジカメの撮像素子は、もともと赤外線に対する感受性があります。ただ、撮像素子が赤外線を検知してしまうと、ホワイトバランスが狂うなど写真への悪影響が出てしまうため、撮像素子表面には「赤外線カットフィルター」が装着されています。
しかし、その「赤外線カットフィルター」で全ての赤外線を遮断できるわけではなく、微量ですが赤外線が撮像素子に届いてしまうそうです。これを逆手に取って利用し、普通のデジカメで赤外線写真を撮ろうというわけです。
具体的には、ケンコー・トキナーの「PRO1D R72」(公式製品情報ページはコチラ)をレンズ前に取り付けて撮影します(多くのケースで長時間露光になると思います)。撮影モードはモノクロモード。他はカメラ任せのオートで撮れると思います(より詳しい撮影方法は後述します)。
シクミとしては、上記の「PRO1D R72」フィルターにより、カメラの撮像素子に届く可視光線をカット。これで撮像素子には微量の赤外線だけ(厳密に言うと可視光線も少し)届くようになります。撮像素子が赤外線を捉え、赤外線の強弱に応じて明暗があるモノクロ撮影が撮れるので、これすなわち赤外線写真ということになります。
この「PRO1D R72」というフィルター、メーカー価格で税別1万1000円~1万8000円と、ちょっとお高め。Amazonでの売価は税込6072円~9735円となっています(Amazon.co.jpへのリンクはコチラ)。
使用上の手軽さは劣りますが、富士フイルムの写真撮影用フィルターを使う手もあります。製品としては「光吸収・赤外透過フィルター(IRフィルター)」(公式製品情報ページはコチラ)があります。赤外線と可視光線の境となる波長は、だいたい780nmだそうですので、「IR-78」フィルターあたりを使えばよいと思います。フィルターのサイズには種類がありますが、「PRO1D R72」などのガラス製フィルターよりは総じて安価です。ただし、レンズへ装着するためのアダプターあるいはレンズ装着のための自作等々が必要になります。
デジカメ赤外線写真を思うがままに撮ってみた!
さて、実際の撮影ですが、前述したとおり、レンズ前に「PRO1D R72」フィルターを装着し、カメラをモノクロ撮影モードにして撮るだけです。撮影モードは基本的にはオートで大丈夫だと思いますが、撮影後の写真を見て、明るさに応じて露出補正(あるいは撮影後のレタッチ)を施してください。
また、ISO感度を高めにしても(撮像素子へ僅かに入って来る赤外線を十分に露光するのに時間がかかるため)シャッター速度は遅くなると思います。ので、多くのケースで三脚が必須。手持ちで撮影するとブレた写真になってしまうと思います。
なお、フィルターを装着した状態ではライブビュー表示がほとんど見えなかったりしがちです。ので、フィルターを装着する前にピントや構図を合わせて固定し、それからフィルターを装着して撮影する必要が出たりします。こういった手間を考えると、マニュアルでピント合わせができ、ISO感度やシャッター速度などをマニュアルで調節できるカメラで撮影するほうが、より効率的だと思います。
ともあれ、上記の方法でイロイロ撮ってみましたのでご覧ください。ご参考までに、左が普通に撮った風景写真、右が同じ風景を撮ったモノクロ赤外線写真としています。
なかなか楽しいモノクロ赤外線写真。これからの季節は空気が乾き、快晴も増えてくると思いますので、より迫力のあるモノクロ赤外線写真が撮れるような気がしております。
若干余談ですが、じつはカラー赤外線写真(フォルスカラー赤外線写真)というジャンルもあり、モノクロ赤外線写真と似たプロセスで撮ることができます。本連載の次回分で、そのカラー赤外線写真を採り上げようと思いますので、どうぞご期待ください♪