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アプリを使わなくても顔トラッキング! 次世代スマホ用ジンバル「iSteady V2」レビュー
2021年9月21日 06:00
ホーヘムからAIを活用したユニークなスマートフォン用ジンバルが登場した。この「iSteady V2」(メーカー希望価格:1万5999円)は、Vlogやネットミーティングでの映像をワンランクアップさせることができる製品だ。日本国内正規代理店の株式会社SACが取り扱っている。
「ジンバル」とはスマートフォンやカメラを装着するもので、手ブレを劇的に軽減してスムーズなパンニングなど、動きながらの撮影を安定させてくれる撮影ギアだ。
ホーヘムの新製品「iSteady V2」はそのジンバルにAI採用のビジョンセンサーを搭載して、ジンバル単体での人物トラッキング(自動追従)を実現した画期的なものなのである。
最大の特徴「AIビジョンセンサー」とは
まずは「iSteady V2」のセールスポイントであるAIビジョンセンサーを見てみよう。
スマートフォンをはさみこむクランプ上部に鎮座しているのがAIビジョンセンサーだ。その見た目は一つ目小僧のようだが、ハイパフォーマンスかつ低レイテンシーを実現した「Hohem AIチップH2」を搭載している。
ふたこぶ状のヘッド部には画期的な2列冷却システムを内蔵。これによりファンレスでAIビジョンセンサーから発生する熱を冷却している。この高性能なAIビジョンセンサーがハードウェアによる物理的トラッキングを可能にしているのだ。つまりスマートフォンにアプリをインストールすることなく顔をトラッキングすることができるのである。
好きなカメラアプリを使うことができるので、スマホ標準搭載のカメラアプリはもちろん、「YouTube」、「Zoom」や「FiLMiC Pro」など好みや用途に応じて顔をトラッキングする映像を手軽に撮影、収録できるのだ。
これはスゴい。ライブ配信やリモートワークで大いに役立つ機能ではないだろうか。またハードウェアによるトラッキングなので、クランプに例えば「GoPro」などを挟み込んでもトラッキング撮影が可能なのである。
さらにジェスチャーによるコントロールもでき、AIトラッキングの開始と停止、ジンバルの横位置と縦位置の切り替えなども可能となっている。
ちなみにセンサー部をU字状に取り囲んでいるのはLEDライトである。ボタンプッシュにより3段階に照度を調節できる。瞳にキャッチライトを入れられるのが便利だ。
ホーヘムが用意するスマホアプリ「Hohem Pro」をインストールすれば、Bluetooth接続することによってより細かい設定や操作も可能だ。用意されたテンプレート式ビデオモーメントモードによって映画のようなシーンを誰でもカンタンに撮影可能になる。
AIビジョンセンサー、使ってわかるそのスゴさ
それでは「iSteady V2」のAIビジョンセンサーを実際に使ってみよう。クランプにスマートフォンを挟み込み、左右のバランスが取れるように中央部にセッティング。そしてグリップ下部右側にある電源ボタンを長押しして「iSteady V2」を起動しよう。起動したらAIビジョンセンサー部の頭にあるスイッチを押そう。ステータスライトが点灯してLEDライトが2回フラッシュすれば準備OKだ。
あとはAIビジョンセンサーに向かって「OK」のジェスチャーを見せるだけ。あとはあなたの顔を自動的に追尾してくれるようになる。左右に動いたりしゃがみ込んだりしてもしっかりと顔を認識してフォローしてくれる。使用アプリを限定されることなくこんな撮影ができるのが素晴らしい。
AIビジョンセンサーとジェスチャーおよびトラッキング機能
詳細は公式動画をチェックしてみよう。
AIビジョンセンサー機能はスゴい!
「iSteady V2」は専用アプリを使わずに、人間をフォローした映像をスマホでカンタンに撮影できるのが画期的である。ショートムービーの制作から、コロナ禍におけるオンラインでの活用など、様々なシーンで「iSteady V2」は活用できそうだ。冒頭にも書いたように「GoPro」などのアクションカムでも使えるのもいい。これだけスムーズかつ正確にトラッキングしてくれるのには驚いた。ジェスチャーによるコントロールも快適なので撮影も捗りそうだ。
製品概要
外観の特徴紹介
あらためてホーヘム「iSteady V2」の外観をチェックしてみよう。
折り畳み式のボディはとても軽量かつコンパクトだ。これならバッグにもサッと入れられ、いつでもどこにでも持ち出せる印象を受けた。本体は折り畳むとアップルのiPhone 12 Pro Maxをひとまわり大きくした程度で重量は263g。ちなみにiPhone 12 Pro Maxは226gである。両方合わせてもペットボトルのドリンク並みの重量で、ジンバルによる滑らかなムービー撮影を楽しむことができるのだ。
ジンバル本体はマット地で質感が高く、グリップ部は手に馴染むラバーが施されハンドリングも良好だ。操作部のボタンやジョイスティックも人間工学的に適切に配置されており使用時も不安はない。今回はホワイトを試用したがブラックのフィニッシュも美しく気になる存在である。
「iSteady V2」の充電は本体サイドに設けられたUSB Type-Cポートより行う。動作時間は最大9時間。AIイメージセンサー使用時は4時間で、さらに搭載のLEDライト使用時は2時間となる。本体には2800mAhリチウムイオンバッテリーを内蔵しているが、ケーブルを接続することによってスマートフォンにも電源供給が可能である。緊急時にはモバイルバッテリーになるジンバルというわけだ。
基本スペックの紹介
「iSteady V2」最大の特徴は、AI採用のビジョンセンサーによるトラッキングだが、まずは基本スペックを確認してみたい。
ジンバルとしてのペイロード(最大対応スマホ重量)は280g。動作時間は前述のとおり最大9時間。AIイメージセンサー使用時は4時間で、さらに搭載のLEDライト使用時は2時間。充電時間は約2.5時間(1A)である。
3軸スタビライザーとなるジンバルの可動範囲はパンが320°、ロールが320°、ティルトが-30°から+30°となっている。基本動作としてはパンフォローモード、パン&チルトフォロー、オールロックモード、POVモードと一般的なジンバルと同様だ。またグリップを上にして持つ倒立スタイルでの撮影も可能になっている。
つづいて操作部分を見てみよう。グリップ部には中央上部にジンバルを動作させるジョイスティック、その下には電源と縦横位置変更を兼ねるボタンが右側に、左側にはシャッターボタンとモード切換用のボタンが並ぶ。さらにグリップ左サイドにはズームスイッチが、右サイドにはUSB Type-Cポートが配置されている。充電状態などがわかるLEDはジョイスティック上にあり、誰でもカンタンに使用できるレイアウトになっていると言える。
hohem(ホーヘム)について
製造元のホーヘムは2014年に中国でドローン開発を目的として設立され、その後手ブレ補正技術に資源を投入してきた企業だ。2016年のCESで世界で初めてスマホ用ジンバルとしての自動顔追跡機能をリリースし、2019年には累計販売台数100万台を超えたという。2020年には3軸折り畳み式スマホ用ジンバルとして世界最軽量のiSteady Xをリリース。現在は大手家電量販店でホーヘムの製品を実際に目にすることもできる。
今回のハードウェアによるトラッキングを実現した「iSteady V2」は、同社独自のAIビジョンセンサー「Hohem AIチップH2」を採用した意欲作だと言えそうだ。
まとめ
「iSteady V2」はまず小さくて軽く、セッティングがとても容易であることと、先進的なAIビジョンセンサーによって、ジェスチャーによるコントロールができること、何よりもしっかりと人間の顔をフォローし続けてくれる性能がスゴかった。スマートフォン単体でも手ブレ補正が効き、美しい映像が撮影可能な昨今だが、「iSteady V2」があればより高度で鮮明なそれがキャプチャーできるに違いない。
ポケットにスマートフォンと「iSteady V2」を忍ばせて、散歩や買い物のついでにちょっとした映像を撮るのにも使えるし、コロナ禍でのリモートワークでWeb会議や、オンラインでの講座やパーティーなど顔のトラッキングが必須なシーンでも大いに活躍しそうな製品だと感じた。
個人的にも大手家電量販店で見たブラックモデルが気になっているほどである。まずはこのAIビジョンセンサーの威力を試してみるのがオススメだ。