■MEDIAS PP N-01D　関口 聖編

　毎年恒例のこのコーナーで、ついにスマートフォンを「今年のケータイ」に選ぶときがやってきた。そんな記念（？）の1台として選んだのは、NECカシオ製の「MEDIAS PP N-01D」だ。

　Windows Mobileが主流だったスマートフォン市場は、iPhoneの登場とそのおトク感のある料金プラン・販売スタイルもあって、徐々に拡大傾向を示してきた。そしてようやく2010年からAndroidスマートフォンのラインナップが拡充されてきたが、そうした流れを受けた2011年は、日本メーカーによるスマートフォンが出揃う時期となった。他社に遅れは取りつつも、今年本格展開した日本メーカーのなかでNECカシオはおサイフケータイなどに対応しつつ、極めて薄いボディの「MEDIAS N-04C」を投入。夏には防水モデルもリリースした。

　今冬モデルとして登場した「MEDIAS PP N-01D」は、NECカシオにおける2011年の集大成と言える機種。先述したように他社より遅れてスマートフォンに取り組んだわけだが、「MEDIAS PP」は防水性能を備え、大容量バッテリーを採用し、おサイフケータイなどをサポートし、初代「MEDIAS」より快適な操作感を実現した。もっとスピーディに操作できれば、なお嬉しいし、アプリ向けストレージはもっと大容量であって欲しいなどの気持ちはある。それでも初代から10カ月でここまで進化したことは頼もしく思えるし、今後が大いに期待できる。「MEDIAS PP」は現時点でも満足できる性能でありつつも、日本メーカーの進展を示した一台であり、さらに今後に繋がる製品と言えるのだ。

　その一方で、日本メーカーの取り組みに厳しい視線を送る人は少なくない。最近は、通信障害や発売から間もない不具合の発覚などもあって、ユーザーの視線の厳しさは増している。だが、最も恐ろしいのは無関心だ。NECカシオに限らず、事業者側に対して、きつい調子で批判・批評が向けられることもあるだろうが、ユーザーからの関心を得ていることに違いはない。ぜひそこに立ち向かって、より素晴らしい製品が登場することを心待ちにしている。