レビュー

「OPPO Find X8」レビュー 所有欲を満たす久しぶりのOPPOハイエンドモデル

 日本市場参入後、積極的なプロモーションや、オープン市場向けに高いコストパフォーマンスの端末を展開し、一気に知名度を獲得したOPPOだが、ここ数年はミッドレンジ、エントリーモデルのスマートフォンのみを展開しており、少々おとなしい動きを見せていた。

 そんな中、11月29日に約3年ぶりとなるハイエンドモデル「OPPO Find X8」の展開を発表。グローバルモデルの発表から約1週間という短いスパンでの登場であり、OPPOファンとしては待ち望んだ展開ともいえる端末となっている。

Hasselblad共同開発の3眼カメラ

 OPPO Find X8最大の特徴がアウトカメラだろう。広角、超広角、望遠の3眼カメラは、いずれも5000万画素とリッチな構成になっている。

 カメラユニットの中央に「H」のロゴがあるように、アウトカメラはカメラメーカーのHasselbladと共同開発されている。スマートフォンメーカーとカメラメーカーの協業という意味では、ライカが先行しているイメージもあるが、色の再現性などといった観点から、OPPOと親和性の高いHasselbladが協業先として選ばれている。

 実際に写真を撮り比べると、ライカ協業のスマートフォンは、芸術性の高い“エモさ”を重視した仕上がりになるのに対し、OPPO Find X8ではリアル感を表現する力に長けている印象を受ける。特にポートレート撮影は、被写体の輪郭を強調し、ボケ感をうまく表現することで、奥行きのある写真に仕上がる。

広角カメラ
広角カメラ
広角カメラ(ポートレート)
超広角カメラ(マクロ)

 広角カメラが優秀なのは言うまでもないが、焦点距離73mmの望遠カメラも、使っていて楽しいポイントだ。光学ズームは3倍、デジタルズームは最大120倍にまで対応し、幅広いシーンで撮影できる。

 望遠カメラは、世界初となるW型プリズム望遠レンズを搭載。レンズで取り込んだ光を、プリズムで3回屈折させることで、カメラレンズの薄型化、センサーサイズの大型化を同時に実現している。

 さすがに120倍ズームで撮影すると、画質は劣化するが、AIの補正が強く入るので、何を撮影しているのかははっきりとわかる。プレビュー画面では粗く見えるが、数秒後に仕上がりを確認すれば、補正された写真が出来上がっているというイメージだ。

等倍
2倍望遠
120倍望遠

 120倍ほどの高倍率ズームを、どのようなシーンで利用するのか言われると若干疑問にも思うが、「ここまでできる」というアピールにはいい機能だ。10倍程度のズームであれば、比較的劣化の少ない状態で撮影ができるので、満足度は高い印象だ。

 写真編集には多くのAI機能が実装されており、ズーム撮影した写真をAIによって鮮明化する機能や、映り込みを削除する機能、ガラス面に写った反射を消去する機能などが利用できる。近年のハイエンドモデルを指標とするならば、AI機能の搭載は必須とも言え、OPPOもしっかりと追従してきた格好だ。

薄型軽量でながら高級感であふれるデザイン

 カメラレンズが薄型化されているという話にも通ずるが、OPPO Find X8はかなり薄型、軽量なデザインに仕上げられている。カメラに注目が集まるデバイスではあるが、個人的にはこのデザイン性こそ、使っていて最も気に入っているポイントだ。

 本体サイズは約157×74×7.9mm、質量は約193g。側面が角ばったデザインではあるが、軽量なため使い勝手はいい。金属素材で全体が統一されており、スタイリッシュな印象だ。今回はスペースブラックを使用しているが、スターグレーというシルバー基調の明るい色も展開されている。

 ディスプレイは約6.6インチ有機ELで、解像度FHD+(2760×1256)。リフレッシュレートは最大120Hz、タッチサンプリングレートは最大240Hzとなる。ハイエンドモデルとしてはお馴染みの構成になりつつあるが、操作性に疑いの余地はない。

 デフォルト輝度は800ニト、日光下の最大輝度は1600ニト、HDRコンテンツ表示時の最大輝度は4500ニトとなっている。極端に明るくなるわけではないものの、屋外での視認性は決して悪くはない。

 特徴的なのが画面占有率で、94.3%となる。4辺のベゼルがすべて約1.45mmと細いため、ディスプレイが端まで広がっているような印象を受ける。4辺すべて同じ細さに統一されていることで、一体感のあるきれいなデザインに仕上げられているのが好印象。ベゼルが細い端末にありがちな誤タップも、試している限りは起こらなかった。

 ベゼルの細さは、動画視聴やゲームアプリのプレイ時に、迫力が出るのが何よりも魅力。詳しくは後述するが、負荷の大きなアプリゲームもサクサクこなせる高スペックを有しているため、エンタメ用デバイスとしても優秀な仕上がりになっている。

MediaTek Dimensity 9400の実力はいかに

 搭載チップセットはMediaTekのDimensity 9400。先代のDimensity 9300比で、シングルコア性能35%、マルチコア性能28%も向上したとされる、文句なしのハイエンドチップだ。メモリは16GB、ストレージは512GBで、ストレージの一部(最大12GB)を仮想的にメモリとして使用する機能も利用できる。

 スペックを見てもわかるように、構成としては隙のない高性能な仕上がり。AI補正を強くかける写真撮影では、処理に数秒のラグが見られることもあったが、それ以外のシーンでは、躓くことなく、快適な操作ができる。グローバル市場では上位モデルも展開されているが、サイズや性能といった部分を見ても、満足度は高い。

 グラファイトシート、ベイパーチャンバー機構による2段構えの冷却システムを備えていることもあり、3Dグラフィックのゲームアプリなどを長時間プレイしていても、本体はほんのり温かくなる程度に収まっている。ディスプレイ性能も相まって、ゲームプレイには、うってつけの端末だと感じる。

 バッテリーは5630mAhとなる。本体の薄さを考えれば大容量と言えるが、使用感としては、極端に電池持ちがいいとも感じない。筆者が仮想メモリを12GBで固定していたり、頻繁にゲームアプリやカメラを使用するためではあるが、一般的なバッテリー持続時間という認識だ。

 充電速度は、有線だと最大80W、無線だと最大50Wの充電に対応する。近年の急速充電事情を鑑みれば、極端に速いわけではないが、無線でも50Wの速度で充電できるのはありがたいポイントだ。対応の充電器が必要となるが、メインでOPPO Find X8を使うのであれば、1つ対応充電器を用意しても損はないだろう。

 防水防塵はIP68、およびIP69に準拠と高水準。Corning Gorilla Glass 7iを採用し、MIL規格、SGSの耐衝撃テストをクリアしているとのことだ。スマートフォンに使用されるディスプレイの強度や耐久性は年々向上しており、果たしてそこまでの高水準が必要なのかと疑問を抱く今日この頃ではあるが、安心感が増すのは事実。特に筆者は、スマートフォンにはあまりカバーを着けたくないタイプなので、強度が増すのはありがたいとも思う。

 特徴的な機能の1つに、iOSデバイス、つまりiPhoneとの連携機能がある。iPhoneにO+ Connectアプリをインストールすれば、OPPO Find X8とAirDropのような形で、データの送受信が可能となる。iPhoneにアプリをインストールする作業が必須となるため、いつでも使える機能ではないが、家族にiPhoneユーザーがいる場合でも、無線接続でサッとデータのやり取りができるのは便利だ。

 唯一、少し不満に感じているのがスピーカーの性能。ステレオサウンドには対応しているが、低音が弱く、高音のシャリシャリ感が非常に強い。もちろん音質は好みが分かれるところなので、ただ筆者の好きな音質ではないというだけかもしれないが、好き嫌いの分かれるポイントなだけに、スピーカーを多用する人には、購入前に試す機会を作ってほしい。

 そのほか、SIMカードスロットは、nano SIMが2枚挿入できるのに加え、eSIMにも対応。生体認証は顔認証とディスプレイ内指紋認証の両方に対応する。おサイフケータイ機能は非対応だが、日本市場へのローカライズよりも、グローバル市場から可能な限り遅れのないタイミングで発売するためであり、販売価格も抑えられるので、充分理解できる。なお、OSアップデートは4回、セキュリティアップデートは6年間となっている。

 また、本体左側面には、サイレントモード、バイブレーションモード、着信音モードの切り替えができるアラートスライダーが備えられている。使い始めるまでは本当に必要かと不思議に感じていたが、音量ボタンを連打してミュートにしたり、通知パネルを開いて着信音モードを切り替えるといった手間が、ワンタッチでサクッと行えるようになるのは、地味ながら便利に感じている。

販路と価格

 OPPO公式ECサイトでの販売価格は13万9800円となる。グローバル市場には上位モデルがあり、日本市場へのローカライズも少なくはあるが、ハイエンドスマートフォンとしてはかなり安価と言えるだろう。

 公式サイトのほかには、MNOとしてau +1 collection、MVNOとしてはIIJ mioでの取り扱いが発表されている。各家電量販店、ECサイトでも取り扱い予定。おサイフケータイ機能が必須ではない人に絞られるが、カメラ性能や処理性能、筐体デザイン、価格といった各方面に満足度の高いスマートフォンだ。