レビュー

シャオミ「11T Pro」のカメラを試す――1億画素オーバーの写りはいかに

 コストパフォーマンスに優れた製品群で有名なシャオミ(Xiaomi)から、ハイエンドモデルのAndroidスマートフォン「Xiaomi 11T Pro」が登場。チップセットにQualcomm Snapdragon 888を採用しながらリーズナブルな価格(編集部注:6万9800円~)が話題の1台だ。

直販サイトにおける「Xiaomi 11T Pro」の価格
モデル価格
8GB+128GB69,800円
8GB+256GB79,800円

 そして、なんとカメラは1億800万画素という驚きのスペック。今回はそのスチル性能を試してみた。なお基本的な仕様、スペックなどは本紙別記事を参照していただきたい。

スムーズなフォルムと美しいカラーが眩しいボディ

 「Xiaomi 11T Pro」はリーズナブルな価格だが、他メーカーのハイエンド機と肩を並べるほどの仕上がりだ。ややマット地のボディ表面は高級感があり、手に吸い付くような感触で、ケースなしで運用してもウッカリ落下させてしまうことも少なそうだ。

 また、ボディカラーが美しい。今回試用したのは「セレスティアルブルー」という、見る角度によって発色が変化する何とも言えないフィニッシュの端末だ。手で握ってジックリと眺めてみたが、価格以上の雰囲気を醸しだしていると思う。カメラユニット部のデザインとともに安っぽさはあまり感じられない。

 「Xiaomi 11T Pro」が搭載しているリアカメラはトリプル仕様である。1億800万画素(広角カメラ)、800万画素(超広角カメラ)、500万画素(テレマクロカメラ)だ。望遠カメラは搭載していない。

 アウトプットとしては、1億800万画素中の9つの画素をまとめて1200万画素として出力するという、スマホカメラのトレンドを採用している。これによって画質と感度の特性を向上させる狙いだ。

 カメラ機能の起動は高速でなかなかいい。撮影モードはスチルが「写真」、「プロ」、「ポートレート」、さらに「夜景」、「108M」などだ。

 機能の切り替えは画面下部のメニューをスライドして行う。目玉機能の1億800万画素カメラは、「プロ」に切り替えて画面上部の「108」をタップするか、下部メニューをスライドして「もっと見る」内の「108M」を選択することにより使用できる。

設定メニュー。わかりやすい構成で使いやすい
「もっと見る」内。オプション的な機能はここに集約されている
「プロ」モード時。ホワイトバランス、シャッタースピードなどを設定可能

各カメラの写りと画角をチェック

0.6X
約800万画素の超広角カメラはやや暖色傾向があるもののまずまずの写り
1X
1倍時。自然で見た目に近い描写に感じる
2X
大きく不自然な描写はなくまずまずの絵作りという印象。ここまでは普通に使えそうな画質だ
5X
5倍になるとデジタルズーム感がグッと増してきた
10X
10倍ともなるとかなり厳しいデジタルズーム感に

1億超え画素の精細感は?

「108MP」による撮影
梅の花を撮った。等倍で見るとさすが1億画素超えという感じでかなり大きく花を確認できる。下の通常撮影の写真と同寸で比べて見るとやや精細感があり、彩度がナチュラルに感じた
通常撮影
「108MP」による撮影
古民家をやや逆光気味で撮影。等倍で見ると茅葺き屋根の細かいところまでしっかりと確認できる
通常撮影
縮小して108MPと通常撮影の両カットを比較すると、通常撮影はやはり彩度が低くニュートラルな描写という印象を受けた

実写

 「Xiaomi 11T Pro」は1億画素という広角カメラが注目されるが、メニューで選択しない限り普通の1200万画素カメラとして軽快に使用できる。

 よほど高解像度のカットが必要でない限り、普通に撮影したほうが気軽に楽しめるしストレージも圧迫しない。「AI」によるコンピュテーショナルフォトグラフィー感もまずまずで、イージーにシャッターを切ってもまず失敗のない写真を手にすることができるはずだ。

とある駅の壁面を撮影。カラフルなペイントを色彩豊かにキャプチャーできた。やや明るめでポップな発色傾向が認められる
夜間の仮設道路を、街灯がフレーム内に入るように撮ってみた。色づいたフレアが光源付近に発生し、ちょっと難しいカットになった。強い光源には気をつけたい
「プロ」モードでシャッター優先モードにして、夜の東名高速道路を俯瞰で撮影した。走行中のクルマをヘッドライトの光跡とともにイメージどおりに撮ることができた。空部分に浮かぶのは星ではなく、残念ながらヘッドライトや街灯のゴーストである
正面から強烈な反射光と、背面から太陽光をストレートに浴びる道路標識。露出アンダーになると思いきや、スッキリ鮮やかなカットに仕上がった。やや発色が派手目だが悪くない描写になった
「Xiaomi 11T Pro」は望遠カメラを搭載しないので、2X〜はデジタルクロップとなる。2倍までは使える描写になっていると思う。日比谷の街角を撮ったがクリーンな描写でいい感じに
どのカメラもそこそこの写りをするというのが「Xiaomi 11T Pro」の印象だ。特に800万画素の超広角カメラは描写もよく、室内や風景、このような街角スナップで活躍するはずだ
マクロもさまざまなシーンで役に立ちそうだ。このようなカメラの部分クローズアップや、ネイルアート、パーツの接写などテレマクロも使えるので使用シーンが広いだろう
メモリーカードを撮ったが、趣味だけでなく仕事の記録にも十分使えそうなマクロだという写り。ラベルの印刷具合もしっかりと確認できる。やや手前の像が流れ気味だが許容できるレベルではないだろうか

まとめ

 リーズナブルな価格なのにハイエンドのチップセットを搭載している「Xiaomi 11T Pro」。1億画素オーバーというカメラのスペックといい、シャオミは話題作りがとてもうまい印象だが、それに見合ったカメラの写りだと感じた。

 動作スピードも速くてもたつきもなく、ピクセルを束ねて画質と感度を向上させるトレンドや、AIによるコンピュテーショナルフォトグラフィーでさまざまなエフェクトをかける機能も搭載されている。

 買いやすい価格ながら「今」のスマートフォンフォトグラフィーに触れる機会を与えてくれる端末になっており、ちょっと気になる「Xiaomi 11T Pro」であった。