Googleが「Nexus 7」国内発売、Google Play ブックスも
グーグルは、7インチディスプレイでAndroid 4.1を搭載したタブレット「Nexus 7」の日本での販売を開始した。同社オンラインストアで購入できる。Googleから販売されるモデルは、ストレージ容量が16GBのモデルのみが取り扱われ、価格は1万9800円。10月2日からは店頭でも販売が開始される。
「Nexus 7」 |
「Nexus 7」は、6月27日に米国で発表された7インチディスプレイを搭載するタブレット端末。製造はASUSが担当し、OSには最新のAndroid 4.1を搭載する。日本市場向けは、内蔵ストレージが16GBモデルのみとなる。
ディスプレイは7インチ、1280×800ドット、LEDバックライトのIPS液晶。傷に強いというCorningのFit Glassを採用し、10点を認識するマルチタッチとなっている。CPUはNVIDIAのTegra 3(T30L)で、1.3GHz駆動。クアッドコア動作時は1.2GHzで駆動する。GPUとしてGeForce ULPを搭載している。メモリは1GB。スピーカー、デジタルマイク、120万画素のインカメラ、GPS、電子コンパス、環境光センサー、加速度センサー、ジャイロスコープ、磁気センサーを備え、NFCに対応している。
通信方式は無線LANで、IEEE802.11b/g/nをサポート。Wi-Fi Directも利用できる。Bluetoothは3.0+EDR。3GやLTEなどのモバイルネットワークには対応しない。外部端子はmicroUSBと、3.5mmのヘッドホンジャック。
内蔵のリチウムポリマーバッテリーの容量は4325mAh。取り外しや交換はできない。充電はmicroUSBで行い、充電時間は約4時間(ACアダプター)。連続動画再生時間は約8時間、読書/ブラウザでは約10時間、音楽再生で約50時間、待受時間は約300時間となっている。
大きさは約198.5×120×10.45mmで、重さは約340g。
なお、10月2日に店頭販売を開始する店舗は、日本全国のエディオン、ケーズデンキ、コジマ、上新電機、ビックカメラ、ベスト電器、ヨドバシカメラとなっている。
■Android 4.1
OSがAndroid 4.1となったことで、Google検索の画面では、個人の予定や行動、位置情報に最適化された情報を推測して提示する「Google now」を利用できる。ブラウザアプリ「Chrome」が標準ブラウザとしてプリインストールされるほか、Gmailなども使い勝手が向上し、タブレット端末に最適化されている。
音声認識による検索は口語のような検索キーワードにも対応し、音声認識による文字入力は、通信環境の無いオフラインでの動作に対応した。Google Mapsアプリ、ストリートビュー、YouTubeアプリなどもタブレットに最適化されて表示される。
既存の端末でも利用できるアプリとして、RSSリーダーを雑誌のような体裁で見せる「Google カレント」がプリインストールされている。
ホームボタン長押しでGoogle検索を起動できる | Google検索画面には「Google now」のカードが表示される |
「Google now」の設定画面 | 端末の概要 |
■「Google Play ブックス」は既存のAndroid端末でも利用可能
同社はまた、「Nexus 7」の発売に合わせて、日本国内向けの電子書籍サービス「Google Play ブックス」の提供も開始した。サービスはGoogle Playに対応する既存のAndroid端末でも利用可能。「Google Play ブックス」アプリをダウンロードすることで利用できる。
Google Play上に設けられた「書籍」コーナーからコンテンツを購入でき、クラウド上にデータを置いたまま閲覧したり、端末にダウンロードして閲覧したりできる。しおり情報は共有され、複数の端末で利用しても、続きから読むことが可能。販売されているコンテンツは試し読みも可能になっている。縦位置の画面では1ページを表示でき、横位置にすると見開きで2ページを表示することもできる。
このほか、映画をレンタル形式で提供している「Google Play ムービー」は、9月25日より映画コンテンツの購入も可能になった。ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントとパラマウントが提供する映画が対象になっている。
「Google Play ブックス」 | |
■Google シュミット会長「日本は“モバイルコンピューター”の時代に」
Google会長のエリック・シュミット氏 |
25日には記者向けに発表会が開催された。Google会長のエリック・シュミット氏は、「日本には常に大きな刺激を受けている」と冒頭の挨拶を述べながら登壇し、「日本市場は第3の段階に至ろうとしている」と語りかける。第1はウォークマンやビデオカセットレコーダーなどで、“ポータブル”や“パーソナル”をエレクトロニクスが実現したハードウェア革命の時代。第2はMP3プレーヤーなどに代表される、ハードウェアの複雑さをソフトウェアで革新していった時代とした。
そして第3の革命はネットワークとクラウドが中心であるとして、「もはやモバイルインターネットでは言い足りない、携帯電話とも呼べない、モバイルコンピューターと呼べる時代になってきた」と語り、パソコンからモバイル/スマートフォンに、パワフルなコンピューティングの力が移行していく様子を印象付けた。
シュミット氏は、1日130万台、累計で5億台以上が登録されているという最新のAndroidプラットフォームの数字を紹介し、「競合をはるかに引き離した地位にある」と自信を見せる。その重要なポイントはAndroidのオープン性であるとし、日本市場ではピンクやブルーなどさまざまなカラーの端末が登場していることを例に挙げ、「アメリカのような(ボディカラーが)白黒の世界ではない。ここでもAndroidのオープン性が役だっている、フィーチャーフォンのような端末もあり、最近ではウォークマンもAndroidだ。こうしたエコシステムは日本市場においても強みを持っている」と語り、多様性をオープン性が支えているとした。
同氏はまた、日本のユーザーがモバイル端末でインターネットを頻繁に利用し、ショッピング中や店内でも積極的に利用している様子に触れ、「新しい企業が、ショッピングをうまく活用して成長できる」などとして、こうした積極的な利用実態が、ベンチャー企業を含め日本市場の成長要因になるとした。
同氏はこのほかにも、同社のストリートビューで屋内や美術館といったさまざまな取り組みを続けていることを例に挙げて、「2~3年前は、インターネットによって文化が安っぽくなると言われた。しかし、インターネットによって、文化の小さい部分が、世界にしっかりと発信できている。忙しくても美術館に行けるようになった。これがクラウドのパワー」と、取り組みに自信を見せる。「先の大震災では48時間以内に警報システムがアプリで制作され、Androidで提供された例もある。だれかの許可を取る必要はない。スクウェア・エニックスはファイナルファンタジーIIIを公開し、2週間で5万ダウンロード、7000万円を売り上げた」と日本市場の具体的な例も交えて、クラウドやオープン性、エコシステムの重要性を強調した。
同氏は最後に「すでにポケットに入っていたが」とスーツの内ポケットから「Nexus 7」を取り出し、さまざまなアプリや映画、電子書籍がひとつで楽しめると紹介した。
■Google Playを楽しむベストな端末
Google アンドロイド製品 マネジメント・ディレクターのヒューゴ・バラ氏 |
ステージでは、Google アンドロイド製品 マネジメント・ディレクターのヒューゴ・バラ氏が登壇し、「Nexus 7」の解説を行った。同氏は「Nexus 7」の特徴をその軽さと価格の安さにあるとしたほか、Googleが提供するさまざまなアプリを利用するにあたっての「パーフェクトな端末」とした。Android 4.1から提供される「Google now」については「使えば使うほど、賢く、精度が高まる」と紹介。日本市場で新たに提供する「Google Play ブックス」についても「さらに拡充していく。コミックにも対応している」と今後も内容を拡充していく方針を明らかにしている。
記者からの質問に対してバラ氏は、7インチタブレットの市場規模について「Nexus 7の成功が市場を大きくする」と自信を見せたほか、今回発表した投入時期については「アメリカやカナダではすでに販売しており、なるべく早く提供したかった」としている。
2012/9/25 13:08