NEC、軽量で振動機能にもこだわった「MEDIAS TAB UL N-08D」説明会


 NECは、NTTドコモから9月20日に発売される予定のAndroidタブレット「MEDIAS TAB UL N-08D」の説明会を開催した。軽量化されたボディの開発背景のほか、新たに搭載する次世代の振動機能「HDハプティクス」についても説明された。


「驚きの軽さと、驚きのUI」

NEC パーソナルソリューション事業本部 事業本部長の西大和男氏

 登壇したNEC パーソナルソリューション事業本部 事業本部長の西大和男氏は、「特徴はふたつ。驚きの軽さと、驚きのユーザーインターフェイス」とポイントを挙げる。ボディは約249gと、7インチサイズのタブレットの一般的な製品よりも約100g、30%も軽いとし、背面の東レ製のカーボンファイバーは、ドコモと共同で1年の開発期間を経て採用したことや、カーボンファイバーでは比較的難しいラウンドした面を実現し、手にした際のフィット感にも配慮したことなどが説明された。

 西大氏はまた、「UIのイノベーションと言えるとことまできた」と、イマージョン製の振動素子とソフトウェアを用いた「HDハプティクス」を紹介。セガからこのHDハプティクスに対応したゲームがリリースされることも紹介され、アプリ紹介サイトでも最適なアプリを紹介していくことを明らかにした。同氏は「MEDIAS TAB N-06Dはフルスペックだったが、今回は圧倒的に軽量で、圧倒的なUI。利用シーンに合わせて使い分けていただきたい」と語り、「MEDIAS TAB UL N-08D」が従来の製品とも異なるコンセプトであることをアピールした。


 

7インチタブレットは外出のたびに持ち出し、個人で利用

NTTドコモ プロダクト部 第一商品企画担当部長の樋口健氏

 NTTドコモ プロダクト部 第一商品企画担当部長の樋口健氏からは、ドコモのラインナップにおける位置付けなどが語られた。ドコモは、タイムリーに製品を投入するという触れ込みで、「秋発売モデル」5機種を発表したが、その中でも軽量な「MEDIAS TAB UL N-08D」は「外に持ち出すユーザーのニーズに応えられる」という。ドコモのタブレットに関連した調査によれば、外出の度に持ち出すのは、10インチは29%なのに対し、7インチは60.2%と、外に持ち出すために利用しているユーザーが多い。また、家族利用と個人利用という使い方の面でも、7インチは個人利用が多い結果になっている。こうしたことから、軽量で薄型の「MEDIAS TAB UL N-08D」は7インチのユーザーのニーズに合致したものであるとした。

 樋口氏は、「MEDIAS TAB UL N-08D」が各種のドコモのサービスに対応する点や、新たに9月下旬から開始するクラウドを利用した写真・動画のストレージサービス「フォトコレクション」についても解説。「MEDIAS TAB UL N-08D」については、「7インチのタブレットの市場拡大に大きく貢献するものと信じている」と期待のコメントを寄せた。


 

ブレイクスルーはカーボンファイバー素材

NEC パーソナル事業開発本部 本部長の山品正勝氏

 NEC パーソナル事業開発本部 本部長の山品正勝氏は、「MEDIAS TAB UL N-08D」の開発において、コミックや文庫本などを念頭に、端末の重さは250g以下を目標に設定したことや、モバイル環境での臨場感や扱いやすいサイズから7インチを選択したことを披露。東レ製のカーボンファイバーを採用することで、タブレットの重量増の原因となっている内部のフレームを省略できたことや、片手で縦にして持てるので、カメラを縦位置を基本にしてレイアウトしたこと、裏側に曲面をつけてもちやすさを実現したことなどが紹介された。

 また、触覚として「HDハプティクス」を搭載したことや、内部のソフトウェアと組み合わせることで、動画や音楽、ゲームの音や効果音に対し、自動的にダイナミックな振動効果を与える「HDリバーブ」も世界で初めて搭載したとした。

 山品氏はまた、Wi-Fiダイレクト機能を利用し、周囲にいる友人などに写真を簡単に送信できるアプリも紹介。写真機能も充実している様子などを紹介し、「7インチのタブレットの世界が大きく開かれる」とアピールした。


 

反応速度に優れ、幅広い振動の種類に対応する「HDハプティクス」

米Immersion Vice PresidentのChristopher Ullrich氏

 米Immersion Vice PresidentのChristopher Ullrich氏は「ユーザーとコンテンツをつなぐような技術をリリースできた」と「HDハプティクス」の搭載に触れ、「MEDIAS TAB UL N-08D」には最新のピエゾ素子を用いた動作部と専用の組込型ソフトウェアをセットで提供し「よりシャープで高い臨場感のある効果が実現できている」と自信を見せた。これらの振動部分は、「MEDIAS TAB UL N-08D」のカーボンファイバーの特性なども考慮して最適化され、端末全体で振動の効果が感じられるようになっている。

 同氏はまた、NECと共同でAndroid向けにSDK(開発者向けキット)の提供を行っており、すでにセガやロックスター・ゲームスが採用していることを紹介。コンテンツプロバイダーは、HDハプティクスのダイナミックで幅広い振動機能を作り込むことが可能になっているとした。


 

会場でのデモの様子

 説明会の会場ではデモ展示が行われ、HDハプティクスを駆使したゲームを体験したり、メディアシェア機能を試したりできた。また、カーボンファイバーを使用した背面パネルは素材や製造過程が展示され、1方向プリプレグのカーボンファイバーを4層に重ねていることや、強度を発揮する方向を調整するため、縦長のパーツに対しプリプレグの方向は縦、横、横、縦の順番で重ねられていることなども説明されていた。


「MEDIAS TAB UL N-08D」MEDIASのデザインを踏襲しているようなイメージ。左側面にはストラップホールもある
本との重力比較。カタログ値249gは軽く、電子書籍リーダーのような感覚で持てる背面のカーボンファイバー素材はわずかに曲面を持たせて成型されている
端末の軽量化ポイントカーボンファイバー素材(左)と、炭素繊維を1方向に揃えた素材の「プリプレグ」。この状態ではまだ紙のように柔らかい
4層に重ねて成型された背面パネルと、塗装後の背面パネル。カーボンファイバーは電波遮断特性に優れているため、アンテナなどは下部の樹脂パーツ部分に内蔵する周囲や上下部分には樹脂パーツ(黒いパーツ)
セガはHDハプティクス対応の2タイトルをリリース「ぷよぷよナラベ」は、画面を埋め尽くした「ぷよ」をタッチ操作で入れ替え、色を揃えて消していくゲーム。ぷよの動きや消滅時のエフェクトでさまざまに振動する
HDハプティクス対応タイトルの「ソニックCD」は、1993年に「メガCD」向けにリリースされたもの。ワイド画面に対応し、サウンドモードは日本版、アメリカ版の両方を搭載する撮影の都合でブレて見えるが、実際にはクッキリと表示されキビキビと動作していた
イマージョンのHDハプティクス技術。ピエゾ素子(振動子)は従来よりも速い反応速度が特徴で、さまざまなタイプの振動を生成できる右下の細長いモジュールが「MEDIAS TAB UL N-08D」に搭載のピエゾ振動子。カーボンファイバーの振動周波数などに最適化することで、端末全体でまんべんなく振動が感じられるようになっている。小型化が今後の課題という。右上は「MEDIAS ES N-05D」などにも搭載されたLRA(Linear Resonant Actuator)。左は旧来型の振動用小型モーター
「メディアスシェア」はWi-Fiダイレクトの機能を使い、周囲の友人などに画像を送信できる。最大で10台程度まで同時に送信できるという「メディアスシェア」で画像を送信したところ。複数を指定すると一斉に配信された
会場にはCMに出演するモデルも駆けつけた

 




(太田 亮三)

2012/9/11 18:09