矢野経調査、日本と世界のスマートフォン市場動向レポート
矢野経済研究所は、国内外のスマートフォン市場に関する調査結果を発表した。同調査は、「2012-2012 スマートフォン/タブレット/エマージングデバイス世界市場動向調査」としてまとめられている。価格は21万円。
調査は、2011年3月~6月にかけて、国内の携帯電話事業者や国内外の端末メーカー、業界団体などを対象に実施したもの。矢野経済研究所の研究員による直接面談、電話やメールなどによるヒアリングなどで調査した。
■国内スマートフォン市場は本格的な普及期に
2010年度の国内携帯電話市場におけるスマートフォンの出荷台数は、2009年度の217万5000台から大幅に拡大し、前年度比391.2%の850万8000台となった。矢野経済研究所では、2010年度はスマートフォン人気に火が付き、本格的に普及期に入ったとしている。とくに海外メーカーの進出がめざましく、出荷実績に占める海外メーカーの割合は50.5%の429万台に達した。
矢野経済研究所では、2011年度の国内スマートフォンの出荷台数について、前年度比250.5%の2131万台と予測する。国内外の端末メーカーの大半がスマートフォンを展開しており、通信事業者もスマートフォンを主力商品に位置付けているためだ。
2011年度に出荷される携帯電話の過半数がスマートフォンになる見通しを示しており、法人市場向けや特定用途向け端末を除いて、従来型な携帯電話であるフィーチャーフォンから、スマートフォンのシフトが進むとしている。ハイエンド志向の日本市場では、今後スマートフォンでもカメラ機能が高機能化し、その一方で海外メーカーを中心にローエンド向け製品のラインナップが充実するという。
■海外市場はエマージング市場でも需要拡大
2010年の世界におけるスマートフォン出荷台数は、前年比156.1%の2億9593万6000台となった。大手端末メーカーが参入したことで市場が本格的に立ち上がり、また、欧州や北米市場といった先進国だけでなく、アジアや中南米などの新興国および途上国の市場(エマージング市場)でもスマートフォンの需要が拡大した。
矢野経済研究所によると、モバイルインターネットサービスが早期に普及した日本市場とは異なり、海外市場では3Gサービスの普及にあわせてスマートフォンが普及している。販売形態は国内市場と同様に、販売奨励金がスマートフォンに適用されるケースが多く、2年間の長期契約で安価に販売されているという。
世界における2011年のスマートフォン出荷台数は、前年比163.4%の4億8374万3000台が見込まれる。2012年以降は、ハイエンド端末だけでなく、150ドル未満のローエンドモデルへの注目が高まると予測している。2017年の出荷規模は14億8479万台に達する見通し。
■国内メーカーには「新しい価値」が求められる
矢野経済研究所では、スマートフォン市場での競争が厳しくなる中で、国内メーカーはコスト競争力や最新仕様への対応では海外メーカーに太刀打ちできない状態にあるとしている。すでにフィーチャーフォン開発のノウハウを取り入れた製品を展開しているが、海外メーカーに対抗するには製品コンセプトをさらに磨き、新しい価値を提示する必要があるとしている。
さらに、市場の細かいニーズを拾い上げて製品を改良すると同時に、インターネットのあり方を含めた市場の将来を見据えた製品作りが求められるとする。2011年~2012年は今後の10年の市場の趨勢が決まる重要な時期であり、先行する大手海外メーカーとは異なるアプローチが必要という。
2011/7/26 13:23