着うた参入妨害裁判、ビクターエンタが高裁判決を受け入れ


 ビクターエンタテインメントは12日、着うた参入妨害とされた東京高等裁判所の判決に対して、上告は行わず係争を終了すると発表した。

 SMEやビクターエンタテインメント、ユニバーサルミュージック、エイベックス・マーケティング、東芝EMI(現EMIミュージック・ジャパン)の5社は、2005年3月、着うた配信事業への参入を妨害しないよう、公正取引委員会より排除勧告を受けた。東芝EMIは勧告に応じたが、他4社に対しては審判が行われ、2008年7月に審決が下された。

 審決の結果、レコード会社によって共同設立されたレーベルモバイル(現レコチョク)に着うた配信を委託する一方、他の事業者に共同してそれぞれが保有する楽曲の原盤権の許諾を与えていないとされた。

  2008年8月、この審決の取り消しを求め、SMEやビクターエンタテインメント、ユニバーサルミュージック、エイベックス・マーケティングの4社は、公取委を被告として審決取消訴訟を起こした。2010年1月29日、東京高裁はレコード会社側の訴えを退け、公取委側の排除勧告を認めた。

 ビクターエンタテインメントでは、「主張が受け入れられず、大変遺憾」とした上で、高裁判決において独禁法に抵触する行為があったと認定された判決を受け止め、係争終結を決めたとしている。

 なお、ソニー・ミュージックでは、公取委が認定するような「共同の取引拒絶」といった事実はないとして、上告および上告受理の申し立てている。ユニバーサルミュージック、エイベックス・グループ・ホールディングスについては「検討中」としている。上告期限は2月15日。

 



(津田 啓夢)

2010/2/12 13:49