KDDI、法人向け遠隔サービス「KDDI セキュアPCアクセス」


 KDDIは、社外のパソコンから会社内で利用している自分のパソコンにリモートアクセスできる法人向けソリューション「KDDI セキュアPCアクセス」(仮称)を11月9日より提供する。

 KDDIでは、5月28日より「リモートアクセス型シンクライアントサービス」の試験サービスを提供しており、今回同サービスの名称を変更し、新たな機能を追加した上で商用化する。

 「KDDI セキュアPCアクセス」(仮称)は、自宅のパソコンや外出先のノートパソコンから、会社内で自分が利用しているパソコンを遠隔操作できるもの。モバイルおよび固定通信でアクセスが可能で、モバイルを活用した業務の効率化や在宅勤務への対応、パンデミック対策などを想定したソリューションとなる。

 自宅パソコンと会社パソコンの間は、KDDIが構築・運用するセンターシステムを経由して接続される。このため、法人顧客が個別にシステム導入することなく導入できる。リモートアクセス時の認証は、USBメモリによる認証と、携帯電話のワンタイムパスワードを併用する。盗難や紛失などで第三者がアクセスしようとした場合でも、USBメモリか携帯電話のどちらか片方だけでは認証できない仕組み。

 USBキーを自宅のパソコンに挿してサーバー認証を受けると、事前に登録された携帯電話宛に、メールでワンタイムパスワードのURLが届く(iモード/EZweb/Yahoo!ケータイ対応、スマートフォンには非対応)。携帯側と自宅のパソコン側にこのパスワードを入力することで認証が完了する。

 また、USBメモリが禁止されている企業を想定して、鍵とアプリケーションとリモートPC側にインストールして利用できる「アプリケーションインストールタイプ1」も用意される。こちらは12月から提供開始予定となっている。

 さらに、12月以降に発売予定のデータ通信端末「DATA01」「DATA02」「DATA03」「DATA04」では、USBキーの代わりに端末を固有情報を鍵として利用できる。いずれの場合も、会社内の自分のパソコンにはアプリケーションのインストールが必要になる。



 試験サービスと同様に、通信経路は暗号化される。また、会社内パソコンからのアクセスは、企業内ファイアウォールの既存または空きポートを活用するため、一部を除いて、企業側でファイアウォールの設定を変更する必要はないという。

 商用化にあたってWebProxyに対応したほか、追加料金が必要だが「WOL(Wake On Lan)機能」もサポートされる。WOL機能は、会社内のパソコンの電源を落としていても、遠隔操作で電源ONにできるというもの。

 サービスの利用料は、リモートアクセスするパソコン1台あたり月額1050円で、WOL機能の利用は1IDあたり月額525円となる。初期登録費用は1万500円かかるが、1契約あたりの費用となるため、企業で一括導入する場合は何IDでも1万500円となる。

 なお、USBキーに利用するUSBメモリは企業側で用意する。推奨されるパソコン環境は、会社内のパソコンがWindows XP Professional/Vistaで、自宅パソコンがWindows XP/Vista。推奨ブラウザはInternet Explorer 6/7/8、CPUは1GHz以上、RAMが512MB以上など。

 30日に行われた発表会において、KDDIのソリューション商品企画本部長の小林昌弘氏は、「(KDDI セキュアPCアクセスは)オフィスにいなくても仕事の続きが可能で、パンデミックなどいつやってくるかわからないものに対して、大がかりなコストをかけずに導入できる」とアピールした。

 KDDIでは、通信インフラを活用した法人ソリューションを積極展開していく方針。従来、情報通信システムベンダーが務めていたようなサービスも提供していくとしている。

 



(津田 啓夢)

2009/9/30 15:29