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JCOMとMediaTekが次世代規格「Wi-Fi 8」の実証実験を実施、宅内のWi-Fi環境改善への取り組み
2026年5月26日 18:02
JCOMは26日、次世代Wi-Fi規格の「Wi-Fi 8」に関する実証実験を、6月から開始すると発表した。台湾の半導体メーカー「MediaTek」(メディアテック)の協力のもと実証を進め、2028年以降のサービス開始の可能性を検討するとしている。
実証実験は、6月~9月に実施する。Wi-Fi 8の特性を検証し、将来の無線通信サービスの品質向上につながる具体的な場面を明らかにするほか、Wi-Fi 8の新機能に関する知見を蓄積し、将来のサービス提供に向けた価値創出の可能性を検証する。
Wi-Fi 7を標準で提供するJ:COM NET
JCOM R&Dセンターのセンター長を務める吉兼昇氏は、同社のWi-Fiへの取り組みとして、「ほかの通信事業者と異なり、宅内のWi-Fi環境まで標準でサポートしている」とコメント。同社では、2025年11月から現行の最新規格「Wi-Fi 7」に対応するONUを標準で提供している。また、2025年9月から、Wi-Fiを含めた宅内のJ:COMサービスで不具合が発生した場合に、スマートフォンアプリから不具合箇所の診断と案内を行う端末診断プラットフォーム(TAP、Terminal Analysis Platform)を提供している。
これらの取り組みにより、ユーザーのトラブル減少や、顧客ロイヤルティを図る指標「rNPS」の改善といった効果をもたらしたといい、今後もアプリを使ったサポートの強化やWi-Fi環境の可視化や設定の最適化など、ネットワーク環境の最適化への取り組みを進める。
今回のWi-Fi 8への取り組みも、宅内の通信環境を改善する取り組みの1つ。吉兼氏は、「Wi-Fi 8」は安定性と信頼性を重視した次世代規格と説明する。通信速度については、Wi-Fi 7と同様のものとなるが、電波干渉への耐性が進化し、帯域を有効活用することで遅延が低減するなど、通信の安定性に重きを置いた進化といえる。
ユーザー側から見た実証実験ができる
日本での実証実験について、MediaTekインテリジェントコネクティビティBU副ジェネラルマネージャーのリーフォン・ツァウル(Lih-Feng Tsaur)氏は「台湾と日本で大きく住宅環境は変わらないが、JCOMとMediaTekでは発想が違うというところがポイント。MediaTekは技術を開発して提供する企業だが、JCOMはユーザーへサービスを提供する企業。ユーザー体験という部分を重視した実証ができる」と今回の取り組みへの姿勢を話す。
MediaTekは、スマートフォンなどに搭載されるチップセットなどを開発するメーカーで、Bluetoothオーディオや位置測位、固定通信基盤などの技術開発も手がける。
シニアマネージャーのトニー・ロー(Tony Lo)氏は、Wi-Fi 8について「2028年1月の認証開始に向けて、IEEEがさまざまな仕様を策定している」と説明。MediaTekも並行して技術開発を続けており、49件の提案を行い企画策定をリードするなど、早くから取り組みを進めている。同じWi-Fi 8の中でも、MediaTekのWi-Fi 8技術では、電力の最適化や事業者向けの付加サービスを多くサポートできる技術があるとロー氏は説明する。吉兼氏も、実証のパートナーにMediaTekを選んだ理由を「これまでも関係があったが、JCOMが欲しい機能をいち早くサポートしてくれたため」とコメントする。
DSOとNPCA
Wi-Fi 8の大きな特徴として「DSO(Dynamic Sub-band Operation)」と「NPCA(Non-Primary Channel Access)」が挙げられる。
DSOは、帯域を動的に割り当てる機能。ロー氏は、帯域幅を道路にたとえて説明する。現行のWi-Fi 7でも最大320MHzの帯域幅を持っているが、帯域幅をフルで使う通信はなかなかない。道路だと、道路幅をフルで使う車はそこまでないイメージだ。DSO機能は、この帯域を通信に合わせて柔軟に利用できるようになる。道路でいうと、大型トラックが通れる道幅の道なら、その後ろに軽自動車が2台並んで走行することで、一度に通れるデータ量を増やせる。これにより、一般的な6GHz帯のスループット合計は、Wi-Fi 7と比較して約20%向上するという(理論値)。
MediaTekでは、この機能をさらに強化した「MediaTek DSO+」を用意している。一般的なDSOでは、Wi-Fi 8の規格で送られた信号の部分のみで機能するが、DSO+ではこれをWi-Fi 7以下の信号の空いている部分にも適用できるようにする。これにより、スループット合計は、Wi-Fi 7比で+100%向上する(理論値)
また、NPCAはチャンネルの取り合いになる集合住宅などで効果を発揮する。周辺に多くのWi-Fiルーターが設置されており、通信するチャンネルの空きがない場合、通信をするためにはチャンネルが空くのを待って通信することになる。通信を待つかたちとなり、通信遅延につながる。
NPCAは、チャンネルが混雑しているときに代替のチャンネルを使って通信を継続する機能であり、これによって遅延の低減やスループットの向上が期待できる。
今回の取り組みでは、一般家庭での利用を想定し、戸建て住宅や集合住宅に近い環境で実証実験を行う。これらのWi-Fi 8の新技術を検証し、将来のサービス提供を見据えた通信品質向上に向けての取り組みを進めるとしている。



















