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ドコモ、生活インフラ統合の「イエナカサービス部」 電気・光・FWAでナンバーワンを目指す

 NTTドコモはオンライン説明会を開き、生活インフラサービスを統合した「イエナカサービス部」の事業戦略と実績について説明した。同社は、電気・光回線・FWA(Fixed Wireless Access)の契約数で、2027年度までに大手キャリアの中でナンバーワンとなることを目指す。

イエナカサービス部の設立と役割

 7月1日にエネルギーサービス部と光ブロードバンド事業推進部を統合し、新たに発足したイエナカサービス部。ドコモでは、ドコモでんきやドコモ光など、世帯向けのサービスを総称して「イエナカサービス」と定義しており、今後は1つの部署から一体的にサービスを提供していく。

 今回の組織再編の特徴は、コンシューマ通信とスマートライフ事業という異なる事業領域をまたいでサービスを展開する点にある。事業の枠を超えた連携により、従来の縦割り体制では生まれにくかった相乗効果を生み出すことを狙う。部署名には、生活インフラをワンストップで提供し、ユーザーの暮らしに寄り添うという思いが込められている。

 イエナカサービスは、dポイントを軸にユーザーをドコモ経済圏へと誘導する入り口の役割を担う。イエナカサービスを利用するユーザーは、モバイル回線のみの契約者と比べて、dポイントの平均残高がおよそ5倍、利用回数も約3倍にのぼる。これは、回線契約やdカードでの支払いに加えてイエナカサービスを利用することで、dポイントの還元率が高まる仕組みになっているため。

 さらに、イエナカサービス利用者の解約率はモバイル単体契約者の約半分となっており、長期利用者の増加を通じて事業基盤の強化に貢献している。従来は回線契約を軸に電気・ガス・インターネットを展開してきたが、今後はイエナカサービスを起点として、回線やdカードなど他サービスへの拡大を図る方針を示した。

 コンシューマサービスカンパニー イエナカサービス部長の小島慶太氏は、「今後、“モバイルを中心とした戦い方”から“総合力の戦い方”に変わってくるのではないか」と述べた。

NTTドコモ コンシューマサービスカンパニー イエナカサービス部長 小島慶太氏

サービスの成長と実績

 イエナカサービスの柱のひとつである「ドコモでんき」は、2022年3月のサービス開始以来、成長を続けている。一時的な新規契約停止期間を経て、2025年10月20日に100万契約を突破。今年度の収益規模は約1000億円に達する見通し。ドコモでんきは、低圧電力を供給する新電力会社720社のうち8位に位置しており、主要新電力10社の年平均成長率(CAGR)は+23%と高水準を維持している。

 ドコモでんきには、CO2排出量を実質ゼロとする「ドコモでんき Green」プランがあり、基本料金が500円高いにもかかわらず、利用者の半数以上が同プランを選択している。NTTアノードエナジーが供給する電力は、主要小売電気事業者の中でもCO2排出係数が最低水準に抑えられており、環境性能の面で優位性を持つ。ドコモでんきは、2030年度に契約数300万件の達成を目標に掲げている。

 また、「ドコモガス」は6月から、東京ガス・大阪ガスのエリアで都市ガスの取り次ぎ販売を開始し、11月には東邦ガスエリアにも拡大する予定。電気とガスの契約を一元管理したいというユーザーのニーズに応え、エネルギー関連サービスのラインアップを揃えた点が大きな意義とされる。ドコモガス単体では、早期に10万件の契約獲得を目指す。

 インターネット回線については、ドコモ光、home 5G、ahamo光など、ニーズに応じた多様なラインアップを展開。世帯のブロードバンド契約率が高まる中でも、2021年2月に700万契約を突破して以降、契約数を伸ばし続けている。ドコモは、ドコモ光とhome 5Gを合わせ、2027年度までに900万契約を目標としている。

ナンバーワンに向けた展望

 現在、ドコモの世帯向け契約数は大手キャリアの中で3位となっている。この要因について小島氏は、光回線やFWAでは一定の実績を上げている一方で、電気・ガス分野が後発であった点が影響していると説明した。今後は、この電気・ガス分野を伸びしろと捉え、各サービスの品質向上とクロスセル施策を強化することで、2027年度までのナンバーワン達成を目指すとしている。