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ソフトバンク、ゴルフ中継で選手を“顔以外の情報で”AI判定する実証実験に成功
2025年8月4日 16:39
ソフトバンクは4日、ゴルフトーナメントのライブ中継で、独自開発したAI技術も用いてリアルタイムに選手を識別する実証実験に成功したと発表した。選手の服装や髪型など顔以外の情報を元に分析し、AIがリアルタイムで選手を識別できる。
実証は、6月26日~29日にカメリアヒルズカントリークラブ(千葉県袖ケ浦市)で開催されたゴルフトーナメント「アース・モンダミンカップ2025」で実施。会場に合計20台の中継カメラを設置し、ユーザーは好きなカメラを選択して視聴できるマルチアングル中継で、それぞれのカメラにフレームインしている選手をAIが自動で判別し、現在のスコアなどの情報を画面に表示する。実証では、約72%の割合で正しい選手名を表示できた。
AIを用いた人物判定では、主に人物の顔に対して判定していたが、ゴルフ中継では顔が隠れていたり、後ろ姿しか映らなかったりするため、顔を使った判定が難しい。また、毎日服装が変わり、ゼッケンなどもないため、映像データを事前に分析することが難しかった。
今回の技術では、顔以外の服装や髪型などから選手を判別する。判別するデータは、当日の映像データをリアルタイムに学習することで用意する。データは、ほかの中継映像などから自動で学習するほか、選手が1日のプレーを始める1番ホール、または10番ホールの映像を元に、スタッフが個別に学習させる方法が採用された。
従来は、選手を識別できる熟練スタッフを大勢用意しなければできなかったが、AI技術を活用することで、システムの保守要員と、最初に手動で学習させるスタッフを配置すればよくなり、低コストで選手名のテロップを出せるようになる。
今回のトーナメントでは、予選から144人の選手がプレーした。ソフトバンクサービス企画本部サービス企画統括部プロダクト開発部長の大塚哲治氏によると、約150人の人物推定を想定したシステムだという。今後推定正解率を上げていく方法として大塚氏は、検討段階と前置きした上で「複数のAIモデルを組み合わせて、アルゴリズムを再考して精度を上げる」ことや「選手映像以外の情報にも注目する」ことの2点を挙げた。たとえば、キャディの背中にある選手名や進行状況など「ここにいるはずがない選手」を弾いていくなどを考えているとコメントする。
今後、さまざまなゴルフトーナメントのライブ中継への展開を進め、2025年度中の商用化を目指す。









