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ドコモのヘルスケア事業はどこまで進んでいるのか、治験募集など創薬への取り組みも
2025年7月29日 19:02
NTTドコモでは、健康管理サービス「dヘルスケア」を提供しており、ユーザーの健康管理をサポートしている。歩数管理など日常的なものからオンライン診療、服薬指導など、AIも活用してよりパーソナライズされた仕組みも導入されている。一方で、dポイントクラブのアンケートでは、ユーザーの健康に関するアンケート調査を実施しているが、ここでは新しい薬を開発する“創薬”への取り組みと関係しているという。
ドコモのヘルスケアやメディカル領域への取り組みは、どこまで進んでいるのか?
dヘルスケアでAIを活用した健康管理
ヘルスケアサービス部長の南部美貴氏は、日本の超高齢化社会化に言及し「2040年頃には、シニアだけで暮らす世帯が多くなり、要介護者や認知症患者が1000万人規模になることが見込まれている」とし、健康寿命の延伸に貢献するとヘルスケア領域への取り組みの意義を説明する。また、医師や介護施設の不足など、働く世代や若い世代にも健康管理は無関係ではないと指摘。多くのユーザーに関わる領域であると強調する。
同社では、歩数健康管理アプリのdヘルスケアを提供している。累計1700万ダウンロードを達成し、歩数だけでなく健康維持コースや認知機能コースなどユーザーの目的に合わせて目標歩数を設定し記録できる。また、健康状態の可視化や体調をスコアリングし、改善につながるアドバイスも実施。同じアプリで、オンライン診療やオンライン服薬指導サービスが利用でき、診察後最短翌日に薬を受け取れるサービスも展開している。
これらのサービスにより、病気の早期発見、早期治療や予防に役立てられるほか、さまざまなデータを蓄積した独自のAIアルゴリズムを活用し、よりユーザーの健康状態や疾病リスクの可視化を進めていくと南部氏は話す。
アンケートが創薬につながる
同社のポイントサービス「dポイント」の会員基盤を活用したアンケートプラットフォーム「dポイントクラブアンケート」では、3月からユーザーの同意のもと、病状や病名に関するアンケート調査「ヘルスケアパネル」を実施している。このデータを匿名化したうえで医学研究や医療の発展に役立てていくという。
また、創薬に欠かせない治験への応用も進めている。製薬企業に向けて、このヘルスケアパネルの仕組みを使って治験参加者を募ったり、治験中にオンライン診療を行ったりすることで、創薬をサポートしている。治験の取り組みは、NTTグループ全体での取り組みとしても進めており、全体で早期の新薬開発ができるよう支援していく。
このほか、加齢による筋力、認知力の低下を判定するフレイル判定においては、従来、20問以上のアンケートや筋力測定など手間がかかっていた測定を、スマートフォンとAIの力で推定する取り組みを進めている。ユーザーの会員情報やスマートフォンのログ、位置情報をAIで分析することで、フレイルを早期発見し、リスクに応じた健康アドバイスでユーザーの健康をサポートする。
スマートフォンのデータとAI、さらには健康食品の購買データと組み合わせることで、免疫力と健康食品の相関を示すこともできる。dヘルスケアの健康維持コースでは、ユーザーの健康行動に基づいて免疫力スコアを算出しているが、これに免疫力に寄与する健康食品を購入したユーザーと購入していないユーザーを匿名化して分析することで、健康食品を販売する企業がアピールする上でのエビデンスとして掲示できるようになる。
逆に、ユーザーの属性に合わせて最適な健康食品や薬などを提案することもできる。利用意向アンケートや行動データの分析、外出頻度や外食頻度を分析することで、dヘルスケアアプリや外部メディアなどを通じて提案できる。
今後も同社は、ユーザーの健康的な生活や健康寿命の延伸をサポートすると共に、製薬企業向けの治験支援などを通じて社会課題解決や医療、医学の発展に貢献していく。













