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Starlinkと5G SA技術でテレビ中継の品質を実現、NTT Comが実証成功

 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は12日、TBSテレビとともにネットワークスライシングを活用した実証実験に成功したと発表した。衛星通信サービス「Starlink」や移動基地局車と組み合わせた実証で、特にStarlinkとスライシングを組み合わせた映像配信は、日本初のものになるという。

 同実証は、テレビ中継の際に、中継車を利用しない簡易的な設備構成に対してスライシング技術の適用で、地上波放送で求められる品質の確保が確認できたもの。

 従来の中継車を使用したテレビ中継では、スタッフを多数配置する必要があり、即応性が求められる場面で人員確保が難しいなど課題があったという。一方、活用が進んでいるモバイルIP中継機器を利用した中継では、通信が不安定になることがあり、映像品質の確保に課題がある。これらに対して、映像品質の確保や携帯回線の電波が安定しない地域での回線確保をねらい、通信安定化技術であるスライシングと、移動基地局車およびStarlinkを回線として使用することで、柔軟なテレビ中継の実現を図った。

 実証では、擬似的な混雑環境下で、移動基地局車やStarlink、スライシング技術を組み合わせて実施。放送用カメラとモバイルIP中継機器(LiveU)、映像伝送ソフト(Live Multi Studio)を利用して動きのある被写体を撮影、TBS放送センターへの映像伝送を実施した。同時に撮影現場への送り返しシステム(LiveBack)による映像確認と、コミュニケーションアプリ(T-Qom)によるリアルタイムコミュニケーションを確認した。

 結果、中継利用で目標とする上り伝送レートを98%維持し、クリアな映像を送れることが確認された。スライシングを利用しない場合は30%だったといい、スライシング技術の有用性が確認できた。

 今後は、本実証での知見をもとに、放送事業へのスライシング技術の適用を推進するとしている。