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アップル、「App Store」で20億ドル以上の不正取引を阻止
2025年5月28日 19:56
アップル(Apple)は、2024年のApp Storeにおける不正行為への対策状況を発表した。
同社によると、過去5年間で90億ドル以上の不正取引を阻止し、特に2024年には20億ドル以上の不正取引を防いだという。また、リスクの高いアプリの登録も約200万件をブロックし、ユーザーへの被害を未然に防いだと説明している。
不正防止のため、アップルは専用インフラを運用し、悪意のあるデベロッパーアカウントやユーザーアカウントの検出・排除を実施している。2024年には14万6000件以上のデベロッパーアカウントを停止し、13万9000件のデベロッパー登録申請を却下。不正行為者のApp Storeへのアプリ登録を防ぐ措置を講じた。また、ユーザーアカウントに関しても7億1100万件以上の新規作成を却下し、約1億2900万件の既存アカウントを無効化。不正目的のアカウントによるレビュー操作やスパム行為の防止に取り組んだという。
App Store外でも対策は行われており、海賊版アプリストア経由で配布されるリスクの高いソフトウェアの拡散を阻止。2024年にはマルウェアや違法アプリ、合法アプリの海賊版など、1万本以上の不正アプリを検出・ブロックした。さらに、App Storeや承認済みマーケットプレイス以外でのアプリのインストール・起動の試みも、過去1か月間で約460万件阻止したと報告している。
App Storeに公開されるすべてのアプリは、アップルのApp Reviewチームが公開前に審査を実施。週平均15万件近くの新規アプリやアップデートを審査しており、昨年は22万以上のデベロッパーによる初回アプリ公開も支援した。2024年には770万件以上の登録を確認し、プライバシー侵害や不正行為、セキュリティ、ユーザー体験の基準を満たさないとして190万本以上の登録を却下している。
悪意のあるデベロッパーは、審査通過後にのみ動作する隠し機能を仕込むなどの手口も用いる。アップルはこうした行為も監視し、2024年には隠し機能や未承認機能の存在を理由に4万3000本以上のアプリ登録を却下。また、他のアプリの模倣やスパム、ユーザーを欺くアプリについても32万件以上を却下した。同年には、不正行為を理由に3万7000本以上のアプリを削除し、「おとり商法」のような手口のアプリも1万7000本以上削除したという。プライバシー侵害を理由とした却下も40万件に達した。
レビューやランキング操作に対しても、迅速に対処している。2024年には、12億件以上の評価・レビューを処理し、1億4300万件超の不正なレビューを削除。さらに、7400本以上のアプリをランキングから、9500本近い詐欺的アプリを検索結果から除外した。これにより、健全なデベロッパーの公平な競争環境を維持しているとしている。
支払い取引に関する不正対策も強化。2024年には20億ドル以上の不正取引を阻止し、Apple Payの利用時にはカード番号をデバイスやサーバーに保存せず、デバイス固有の番号と取引コードを使用。デベロッパーがカード番号を取得することもない仕組みを導入している。昨年は、470万枚近くの盗難クレジットカードを特定し、160万件以上のアカウントを停止した。
さらに、デベロッパーにはStoreKitやApple Payといった安全な支払い手段を提供。これらは42万本以上のアプリで活用され、App Storeでの安心な購入体験を支えている。StoreKitによるアプリ内課金では、プライバシー保護や不正防止、購入管理の簡便化を実現し、ユーザーはサブスクリプションの確認・解約、購入履歴の確認、返金申請も行える。すべての取引はApple IDによる認証と、不正防止エンジン、エンドツーエンド暗号化によって保護されていると説明している。