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カシオ、2小節のメロディから曲を自動生成するアプリ

 カシオ計算機は、思いついた2小節のメロディをもとに1曲の曲を自動作曲してくれるiPhoneアプリ「Chordana Composer」(コーダナ・コンポーザー)をリリースした。価格は通常500円だが、2月5日までは発売記念価格として300円で購入できる。

Chordana Composer(コーダナ・コンポーザー)

 同アプリは、昨年11月に開催されたイベント「2014楽器フェア」で披露されたiOS向けアプリの1つ。作曲や楽器の知識が無くとも、思いついた短いメロディをiPhoneに向かって口笛や鼻歌の形で吹き込むだけで、イントロからAメロ、Bメロ、サビといった風に、きちんとした曲に仕上げてくれる。

 自動作曲機能では、「ポップス」「ダンス系」「ロック」「ジャズ」「ラテン」といったジャンルや、「楽しげな」「バラード調」「ノリの良い」といった曲調を指定することで、さまざまな曲を作り出せる。

 作った曲はオーディオファイル(.m4a)としてメールに添付して他のユーザーとシェアできるほか、MIDI対応の電子楽器との連携も可能で、鍵盤が光る同社のキーボードに接続すれば、同アプリで作った曲の練習することもできる。

【「Chordana Composer」作曲デモ】
思いついたメロディを口笛や鼻歌を吹き込むと、きちんとした曲に仕上げてくれる
譜面上での微調整も可能
カシオの光ナビゲーションキーボードとも接続できる

カシオがアプリを作る理由

カシオ計算機 コンシューマ事業部 企画部長の石田伸二郎氏

 同アプリのリリースに先立ち開催された報道関係者向けの説明会で、同社 コンシューマ事業部 企画部長の石田伸二郎氏は、「当社がアプリビジネスに本気で取り組んでいるということをまずお伝えしたい。一昨年10月からアプリビジネスを開始したが、当社が持つ技術やアイデアを活用した独自のアプリを今後続々と提供できる環境が整った」と語った。

 同氏はカシオ、カシオ日立、NECカシオで携帯電話の商品企画を担当してきた人物。古くはPHS端末、その後はG'zOneシリーズやカメラ付きケータイなどの仕掛け人として活躍し、最後には2画面スマホ「MEDIAS W」を世に送り出した。

カシオの技術やアイデアを一番早く提供できる手段がスマホアプリ

 古巣のカシオに戻った同氏だが、「スマートフォンが無い時代は、技術やアイデアをハードウェア+ソフトウェアという製品の形で販売していたが、アイデアを形にするまでには企画、開発、設計、生産、流通と多くの工程が必要で、新商品を世の中に届けるには最低でも1年はかかる。世界中の多くのユーザーがすでにスマートフォンを持っており、アプリをダウンロードする環境も整っている。当社の技術やアイデアを一番早く提供できる手段としてアプリを作っていく」と、同社がアプリビジネスに注力する背景を説明する。

自動作曲の仕組み

カシオ計算機 コンシューマ事業部 企画部 アプリ企画推進室の南高純一氏

 こうした中で登場した「Chordana Composer」だが、同アプリの企画・開発を担当した同社 コンシューマ事業部 企画部 アプリ企画推進室の南高純一氏は、「誰でも頭の中に自分が好きなメロディが浮かんでいるのが普通のことだと思うが、作曲となると専門家の特別な仕事だと認識されている。作曲や楽曲の知識が無くても、自分の頭の中にあるメロディを曲にできたらいいのではないかということで開発に着手した」とコンセプトを語る。

 同氏によれば、「与えられたモチーフを発展していたったり変形していったりという部分は実験レベルで試行錯誤を繰り返していたが、何とか自然な形で1曲を作成できるようにならないかということで、今回、音と音のつながりやAメロとBメロのつながりといったルールを定式化し、接続ルールを定めることにより、これを実現できた」という。

 今後については、「Chordanaという名称は、コード(音楽)をアナライズ(解析)するという意味合いで名づけており、この解析技術を進化させていったり、幅を広げていったりすることで、今後いろいろな提案を行っていきたい」としている。

Chordana Composerの特徴
先週リリースされた「CZ App for iPad」と元になったシンセサイザー「CZ-101」を使い、キーボード奏者・作編曲家の樺山潤一郎氏による演奏デモも披露された
CZ Appはカフェやバーでカジュアルに楽しめる電子楽器をイメージしてVirtual MIDIに対応したという。タッチ&トライコーナーではMiseluのワイヤレスキボード「C.24」と接続していた

湯野 康隆