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「GALAXY Tab S」実機デモのファーストインプレッション
(2014/6/13 19:48)
サムスン電子はニューヨークで発表会を開催し、Androidタブレットの新フラッグシップシリーズ、「GALAXY Tab S」の8.4インチモデルと10.5インチモデルを発表した。
筆者は発表会とその後のタッチアンドトライに加え、メディア向けのブリーフィングにも参加できたので、そこで説明されたGALAXY Tab Sの特徴機能や触ってみてわかったポイントなどを紹介する。なお、今回は米国を中心としたグローバル市場向けの発表であり、日本での発売についてはアナウンスされていない。
GALAXY Tab Sは、同社のタブレットとしては初めて「S」の名前を冠する、新しいタブレットのフラッグシップシリーズとなる。その開発においては、「ディスプレイ」「デザイン」「コネクティビティ」「セキュリティ」の4つの要素が重視されている。
GALAXYシリーズのタブレットというと、1月に「GALAXY Tab PRO」と「GALAXY Note PRO」が発表されたばかりだが、それらが高精細な液晶ディスプレイを搭載していたのに対し、GALAXY Tab Sは同じ解像度の有機ELディスプレイ「Super AMOLED」を搭載し、映像の美しさをエンターテイメント分野の強化セールスポイントとしている。
モデルのスペックなどは発表会の記事も参照いただきたい。8.4インチと10.5インチともにLTE版とWi-Fi版、16GBと32GB、2色のカラーバリエーションが用意されている。
「GALAXY Tab S」8.4インチモデル、外観
8.4インチモデルは、従来のGALAXY Tabの7~8インチクラスと同じように、短辺が上下になる縦向きが基本となり、ディスプレイの下には押下できるホームキーが搭載されている。ただしホームキーの左右のタッチキーは、Android 4.4の仕様に則り、履歴キーとバックキーになっている。背面の処理の特徴は後述する。
各種キーやスロットは右側面にある。上端にはテレビなどのリモコンに使える赤外線発光部がある。基本的には縦長になる向きでの利用を想定したデザインだが、スピーカーが上端と下端についており、横長になる状態で利用すると、ステレオで音声が聴けるようになっている。
「GALAXY Tab S」10.5インチモデル、外観
10.5インチモデルは、一般的な10インチクラスタブレットと同様に、長辺が上下の横向きが基本となっている。ホームキーは押下できるタイプで、その左右にタッチキーで履歴キーとメニューキーがある。やはり左右の側面にスピーカーがある。各種キーと赤外線発光部は上端、カードスロットは右側面だ。
背面、カバー
GALAXY Tab Sの背面は、GALAXY S5と同様のドットパターンが施されている。サムスンでは毎年、あらゆる製品プラットフォームに共通のテーマを与えており、これは2014年のテーマ「MODERN FLASH」に基づくデザインだという。
まずボディは薄さと軽さを重視してデザインされているが、その一方で持ちやすさを実現するように、テーパーがかかった形状となっている。側面パーツはメタル調になっているなど、プレミアム感も演出しているが、基本はシンプルなラインで構成されており、いろいろな利用環境に調和するようにデザインされている。
純正カバーもそうしたコンセプトに基づき、人工皮革を使い、スリムなデザインとなっている。また、純正カバーを取り付けるための穴が背面に2つあるのも見た目上の特徴となっている。この穴のおかげで、磁石を使わず、背面カバーを交換せずに、カバーを装着できるようになっている。
このカバーはスタンドも兼ねており、3種類の角度で立てられるようになっている。カバーには複数のカラーバリエーションが用意されている。
GALAXY Tab S自身も、「Titanium Bronze」と「Dazzling White」の2種類のボディカラーのバリエーションが用意される。いずれもよく見ると塗装にラメが混じっているなど、GALAXYシリーズらしい色となっている。
指紋センサー内蔵のホームキー
GALAXYシリーズで継承している、物理的に押下できるホームキーを搭載している。押しやすさやわかりやすさも重要なポイントだが、画面に表示されるソフトウェアキーではないため、表示エリアが減らないのもメリットとなっている。
GALAXY S5と同様に、ホームキーには指紋認証センサーが内蔵されている。GALAXYシリーズに搭載される指紋認証センサーは、指をなぞるタイプなので、たとえばスリープ状態からだと1回押してロック解除画面を表示させ、そのあと指でホームキーの上をなぞるという2アクションが必要になる。
GALAXY Tab Sはマルチユーザー機能にも対応する。指紋認証センサーは、マルチユーザー機能を利用時のユーザー識別・認証にも利用できるとのことだ。
純正アクセサリーのBluetoothキーボード
純正アクセサリーとしてBluetoothキーボードも用意される。収納時はGALAXY Tab Sのディスプレイカバーのように装着でき、利用時はスタンドのようになる。10.5インチモデルのキーボードはほぼノートパソコンと同じような大きさ。8.4インチモデルだと若干の窮屈さがあるものの、慣れれば十分にタッチタイピングできそうな大きさだった。
大画面のタブレットにも有機ELを搭載、優位性をアピール
有機EL「Super AMOLED」を搭載し、映像表示時の画質に優れていることもアピールされている。
輝度の面では、晴天下の陽光に匹敵する光量の照明を当てたデモが行なわれていた。比較対象となったGALAXY Tab PROではほとんど表示が見えないくらいだったが、GALAXY Tab Sでは表示が十分に見えていた。さすがに写真や映像を楽しむのには向かない環境だが、屋外で地図やメールを閲覧するときには大きな差になりそうだ。そして半年前に発表されたばかりの自社新製品と比較し、これだけ優劣を付けてしまうデモもある意味で珍しい。
実際には輝度だけでなく、明るい場所向けのトーンカーブで補正を行なったり、表面の反射が液晶に比べて少ないことも影響し、この差が出ているという。ちなみにスマートフォンのGALAXY S5は、今回発表のGALAXY Tab Sより補正エンジンのバージョンが古いが、輝度自体はS5の方が高く、この明るさの元でも同じくらい見えていた。
色の再現性のアピールでは、競合となる他社製品(iPad)との比較が行なわれていた。実際に同じ写真を並べてみてみると、確かにSuper AMOLEDの方が鮮やかに表示できているのが確認できた。
純粋なハードウェアだけでなく、補正エンジンも搭載して映像の高画質化をはかっている。表示モードは、ダイナミックな補正を行なう「AMOLED cinema」、写真向けの「AMOLED photo」、基本となる「Basic」の3種類で、それを自動で切り替える「Adaptive display」という機能もある。こうした画像補正には、サムスンのテレビ事業でも使われているエンジンが利用されているという。
これらの映像補正とは別に、電子書籍用の画像補正モードも用意されている。こちらは指定したアプリを表示しているときに切り替わるように設定できる。
ホーム画面、アプリ
ホーム画面やアプリ画面の構成はオーソドックスなものだが、ホーム画面の1ページ目を右にフリック(左の画面に移動)すると、“0ページ目”として「CONTENT HOME」が用意されている。ここではサムスンが提供する各種コンテンツ、ユーザーが設定したイベント、株価などを表示できるようになっている。
CONTENT HOMEで提供される「PAPERGARDEN」はGALAXY Tab Sに合わせてローンチする、サムスンが提供する新しい雑誌配信サービスとなっている。さまざまな雑誌が配信される予定で、まず米国、英国、韓国、ブラジルから開始し、そのあとほかの地域にも展開していくという。
設定画面
設定メニューはタブで切り替える形式。最近のGALAXYシリーズは設定画面のデザインが変わりやすく、若干の戸惑いを覚えたが、設定項目数が増えている中でタブによる分類は非常に使いやすい。
なお、今回触った展示機には日本語の設定はなかった。GALAXYシリーズは多言語対応がかなり進んでおり、日本で発売しないモデルでも日本語が搭載されていることは多かったのだが、これはちょっと残念。一方で、日本で発売するモデルのグローバル版に日本語を搭載しないという例もあったので、日本発売の可能性がないわけではないだろう。
マルチウィンドウ
GALAXY TabシリーズやGALAXY Noteシリーズでも実装されていたマルチウィンドウによる複数アプリの同時表示にも対応する。機能は強化され、写真をドラッグアンドドロップでほかのアプリに渡したり、アプリの画面をキャプチャしてほかのアプリに渡したりといったことが可能。
タブレットでスマホを遠隔操作「SideSync」
多機種間連携アプリ「SideSync 3.0」にも対応する。これはGALAXYスマートフォンの画面をタブレットなどに表示させ、リモートコントロールするという機能。たとえば書斎でスマートフォンを充電しながら、リビングのタブレットでスマートフォンをコントロールしたり、着信を受けたり、といった利用が想定されている。
SideSync 3.0は対応機種であればGALAXY Tab Sに限らずGoogle Playからダウンロードすることで利用できる。現在のところ、GALAXYシリーズのAndroid 4.4搭載機が対応している。Windowsパソコンからも利用可能だ。ただし日本ではAndroid 4.4のモデルでも対応しないことがある。
ドラッグアンドドロップすることで、写真ファイルなどの受け渡しもできる。タブレット側でBluetoothキーボードを使っていれば、スマートフォン側のテキストメッセージ入力などにも利用できる。
SideSyncを利用するには毎回接続操作が必要で、接続操作時には両方のデバイスでの操作が必要になる。利用中はスマートフォンは画面が消灯して操作できなくなるようになっているが、通話を着信したときだけは、両方のデバイスで着信できるようになっている。