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ドコモがiPhone発売イベントを開催
ネットワークやサービスの強みもアピール
(2013/9/20 13:39)
ドコモは、20日、iPhone 5s、5cの発売を記念したセレモニーを、ドコモショップ丸の内で開催した。同ショップには、7時15分時点で約280人、最終的には300人を超えるユーザーが集まった。イベント開始に先がけ、ドコモの代表取締役社長、加藤薫氏が登場。アップルジュースやデニッシュを配り、行列で開店を待つユーザーと握手を交わす一幕もあった。
CMキャラクターの渡辺謙さん、堀北真希さんも登場
イベントの冒頭、加藤氏は「お客様の中には数日前から並ぶ方もおり、本当に頭が下がる思い。何よりも皆さんにご提供できるタイミングに、非常に興奮し、うれしく思っている」と、iPhoneの提供を開始した喜びを語った。続けて、ドコモのCMキャラクターを務める女優の堀北真希さん、俳優の渡辺謙さんも登場。渡辺さんは「自分にあったものを、好きなように選べる。そういうときがきた。ドコモの力を発揮できるのではないか」と、ユーザーの選択肢が増えたことを歓迎した。「iPhone 5cが気になる」という堀北さんも、「早く手に取ってみたい」という。
300人を超える行列の先頭にいたユーザーは、18日17時ごろから並んでいたという。このユーザーは加藤氏、渡辺さん、堀北さんに囲まれ、「5sのゴールド、64GBを買いたい」と語った。ドコモ歴は「正確に覚えていないが14年ぐらい」で、「iPhoneの(ドコモからの発売を)待ち焦がれていた」という。販売開始10秒前から、加藤社長、渡辺さん、堀北さんの3人とともにカウントダウンを開始。8時ちょうどに、iPhone 5s、5cの販売が始まった。
6セクタ化や基地局サイトでの優位性を語る加藤氏
ドコモはイベント終了後、報道陣を集めた記者会見を開催。iPhoneを販売する上での優位性をアピールした。
「お客様に最高のネットワークとサービスでiPhoneを楽しんでいただきたい」と語る加藤氏。ネットワークについては、「つなぐ努力とつなぐ技術を徹底的に強化する取り組み」をしているという。加藤氏によると、ドコモのLTEの基地局は、現在3万7000局。基地局を設置しているサイト(場所)は3万3000カ所ある。この数値を年度末には「5万局、3万4000サイトまで拡大したい」というのが、ドコモの目標だ。10MHz幅、下り最大75Mbpsに対応している基地局は2万8000局、2万6000サイト。こちらは、年度末までに4万局、3万4000サイトまで拡大していくという。
他社との競争において「免許数が言われることが多いが、単純な合計数だけでエリアの充実度は計れない」という加藤氏。「1つのサイトからは複数の電波が出ている」とし、ドコモが2GHz帯、1.7GHz帯、800MHz帯、1.5GHz帯の4つの周波数を活用していることをアピール。「言ってみればクアッド(LTE)」と自信をのぞかせた。また、「LTEは3Gにオーバーレイしている。その土台となる3Gも、全国で7万サイトある」と述べ、ネットワークの厚みを強調した。なお、iPhone 5s、iPhone 5cは、このうち、2GHz帯、1.7GHz帯、800MHz帯の3つにのみ対応している。
4つの周波数帯に加えて加藤氏が挙げたのが、6セクタ化への対応だ。「セクタ」とは、1つの基地局から飛ばす電波を何方向に分割するかの単位で、単純に計算すると「6つに分ければ6倍の容量を持つと言える」。LTEでは「3セクタ化が標準的な技術」という加藤氏。これに対し、ドコモは「4セクタ、5セクタ、6セクタで、1局だけだが7セクタも使っている。4セクタ以上使っているのは、全体の25%」となる。また、加藤氏は6セクタ化した基地局は「(360度を)60度ずつに分けて電波を吹いているが、どの方向がトラフィックが多いのか、チャンネル切り替えやハンドオーバーが多いのかまで、きめ細やかに見ている」とし、LTEのチューニングに一日の長があることを語った。
サービスについては、「dアニメは100万を超え、dビデオも460万を超える」とし、「キャリアならではのこういうサービスをiPhoneでも提供していきたい」と語った。一方で、ドコモのiPhoneでは、spモードメールが10月1日まで利用できない。これに対して加藤氏は「お客様に大変ご迷惑をおかけしていることを、この場を借りてお詫びしたい」としながら、「1日からキャッチアップする。来年1月からはドコモメールにも対応させたい」と今後の予定を改めて説明した。
端末の販売計画は「これから」
質疑応答や囲み取材では、iPhone導入による事業への影響が問われた。期初の業績予想にはiPhoneの販売を織り込んでいなかったドコモだが、「これを考慮したものを今検討している。実際、今日から始まった販売にどのような動きがあり、私どものネットワークやサービスをどう評価していただけるのかを注意深く見守りながら検討したい」とした。
従来、全体の2~3割程度の販売量ならiPhoneを導入したいと語っていた加藤氏だが、これについては「何割というのは難しいが、お客様がどれくらいお選びいただくのかを大事にしたい」と言葉を濁している。また、Androidとの住み分けを問われた加藤氏は「なかなか難しい問題」としながら、「AndroidにはワンセグやFeliCa、防水など色々な機能を入れてもらっている。トータルでのきめ細やかさで特徴がある。特徴をお示ししながら、どれを選んでいただくのか、興味がある」と語った。夏モデルで導入したツートップのような戦略を継続するかどうかについては、「今、一生懸命考えているところ」だという。
iPhone導入にあたって、ドコモはアップルと共同でプレスリリースを出した。通常、こうした扱いは異例と言える。これについて問われた加藤氏は「そうなんですか?」と質問を返しつつ、「よく分からない。交渉や契約の推移でそうなった。ただ、導入において時間がなかったところで、アップルさんから非常に(強い)サポートをいただき、私どもスタッフも大車輪で動いている」と語った。
自身でもiPhone 5s、5cの両方を利用しているという加藤氏。報道陣から端末のどこに魅力を感じているかを問われ、「やっぱりインターフェイスはすばらしい」とアピールした。
一括価格を割引、店頭で案内
一方で、ドコモのiPhone 5s、5cは他社より一括価格が高く設定されていた。2年間利用した際の実質価格は0円だが、途中での機種変更や解約が割高になる傾向がある。これについて加藤氏は「一括で買うとき、もう少しお求めやすいほうがありがたいという声もある」と認め、店頭で一括購入時に端末代を割り引く施策を行っていることを明かした。具体的には、iPhone 5sの16GBが7万560円、32GBが8万640円、64GBが9万720円、iPhone 5cの16GBが6万480円、32GBが7万560円になり、その分、月々サポートがiPhone 5sとiPhone 5cの16GBで合計7万560円、iPhone 5cの16GBで6万480円に減額される。
この施策を適用した場合、分割払いを選択したユーザーが短期で機種変更すると実質価格が割高になる。それを解消するため、9カ月目以降で差額を割り引く「残債減額プログラム」も実施しているという。