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ドコモの2025年3月期第2四半期は増収減益、MNP数・eximo加入増で改善へ

 7日、NTTの2025年3月期第2四半期決算が発表された。NTT(持株)の営業売上高は6兆5906億円、営業利益は9203億円で増収減益だった。傘下のNTTドコモの営業売上高は2兆9938億円、営業利益は5533億円と同じく増収減益となった。本稿では、ドコモの業績について掲載する。

増収減益の第2四半期、年度内の反転目指す

 スマートライフ領域での売上が5901億円で前年同期比13.3%と二桁成長を記録した。利益としては同じく23%ほどの大幅なアップを達成。コンシューマー向け通信事業の売上は、1兆6495億円で前年同期比1.2%の減収、利益は2881億円で前年同期比14.1%の減益だった。

 スマートライフ事業は2023年度の特殊要因を除き888億円の増収。3/4程度がM&Aによるものという。コンシューマー向けの通信サービスは「irumo」加入者が増えた影響が継続しているが、eximoへの移行が進んでおり影響は低減しつつあるという。端末機器販売は増収となった。

 利益としては、スマートライフ事業は同じく357億円の増益。2割ほどがM&Aによる。コンシューマー向け通信事業は472億円の減益で、モバイル通信サービスの収入源や販売強化費用などが響いた。NTTドコモ 前田義晃社長は「下期は1Q~2Qのスマートライフ事業の成長、コンシューマー通信の顧客基盤強化、ARPUの下げ止めを維持し年間計画達成に取り組む」と話した。売上高は第1四半期と比較して増収幅が拡大、利益も減益幅が縮小しており、この基調を維持することでさらなる増収と増益への反転を目指す。

 1ユーザーあたりの収益を示す「ARPU」は、第1四半期から変わらず3910円で前田社長は「下げ止め」との認識を示した。旧プランからeximoへの移行率は計画よりも早く達成したという。ユーザーあたりのデータ通信は年々増加しており、より大容量のプランが選ばれる傾向にあり、ARPU向上への貢献が期待される。

 10月のMNP転入は大きくプラスになっており、解約率も前年同期比で0.1%の低下となった。若年層のMNPも10月に入り大幅に増えているという。家族連れの多い商業施設での出張イベントや金融サービスなどの提案もドコモショップで提案を強化している。前田社長は「手応えがある」として下期でも取り組みを強化していく考えを示した。

 ほかに、ネットワークの強化への姿勢も示された。従来、優先されてきたSub6基地局のほかに4G転用周波数の基地局も並行して整備を進める。

 金融やマーケティングソリューション、エンタメはすべての領域で増収。dカード会員数は1809万。うち1100万ほどが「dカード GOLD」のユーザー。NTTドコモ 前田義晃社長は、この場で新カード「dカード PLATINUM」を発表した。金融領域では年間を通じて前年比20%超の増収を目標とする。「Lemino」や「dアニメ」などの拡大でエンタメ系も31億円の増収を達成した。このほか、新ブランドスローガン「つなごう。驚きを。幸せを。」が発表された。

dカード PLATINUM(ポインコ仕様)を持つ前田社長

質疑応答では

――Opensignalの調査ではKDDIが高評価を得ている。短期間で追いつくのはかなりハードルが高くないか?

前田氏
 (ドコモは)残念な結果になっていたと思う。ネットワークの厚みも含めて、就任時から急ピッチで取り組みを進めています。チャレンジングな部分はありますが、着実に進められています。Opensignalともやり取りしていてどこが悪いのか、データで確認しながら対策を進めます。今後、2024年度末までに相当の向上を見込んでおり、この目標を追求して(改善を)させていただきます。

 急ピッチで進めているため、苦労している部分もあって工程としても大変なところもありますが、ネットワークの担当部署で細かい(つながりにくい)場所を見つけて対策をするという工夫を相当頑張ってやってくれています。なんとか来年3月までには良い状態にしておきたいということで取り組んでいます。

――KDDIは4Gの転用周波数帯を広く展開したうえでSub6を展開したことが、ドコモとの差につながったと指摘している。遅れている4G転用周波数をどう活用していく方針か?

前田氏
 我々はSub6のエリアをどう広く作るかということを優先してきました。品質を保てている場所もありますので、これが間違いだったとは思っていませんが、都市部の人口が集中しているところではもっと密に基地局を設置しなければならないという課題認識はあります。そのなかでは4G転用周波数帯を活用できていない部分があるのは事実です。ここを強化することで、全体の品質が上げることを目指していけるのではと思っています。

――KDDIではRCSにからめてコンシュマー向けAIを展開したいとしている。NTT島田社長はコンシューマー向けの展開は未定としているが、ドコモはどうなのか? RCSへの戦略も聞きたい。

前田氏
 RCSはグローバル企業が端末に入れてくるのではないでしょうか。そこはしっかりサポートしていこうと思います。NTTのコンシューマー向けAIは「tsuzumi」としては未定ということだと思います。

 生成AIサービスは、端末にどんどん展開されていきます。それによってスマートフォンの使い勝手は向上するでしょうから、我々はキャリアとしてしっかり後押ししていきたいと考えています。

 私自身、生成AIをけっこう使っていますが素人的に使いやすいのかというと……。使いやすくできるサービスの導入の仕方はあると思うので、そういう部分で取り組みを進めていきたいです。金融やエンタメなどのサービスの使い勝手を上げるために生成AIを活用することもあると思います。

 昔、コンシェルジュサービスなども手掛けましたが、サービスがエージェント的に使えて、驚きがあったり便利さがあったりという世界が来ると思います。データが重要になるので経済圏など含めて連携させながら、個々にあうサービスを提供できるようにしたいです。具体的に進められていないところもがりますが、方向性としてはそういった考えです。

――(ドコモが手掛けていたiコンシェルのキャラクターにかけて)「羊」の教訓が生きてくるんでしょうか?

前田氏
 あのころは(今と比べると)AI自体が未発達でした。ユーザーの使うデータをいかに獲得して連携させ、カスタマイズするかという狙いでした。この部分では経験が生きてくるのではないかと思います。

――ネットワーク関連で、どういう対策が今一番求められていると考えているか?

前田氏
 4G転用周波数を活用してエリア整備をすることもそうですし、Sub6基地局をさらに展開することもそうだと思います。そのなかでエリアに対して基地局のチューニングをきめ細やかにするということも必要だと思います。

 たとえば「このお店でなかなか使えません」ということがありますが、d払いアプリからこれを検知して人員が向かい、レピーターを設置するということもやってきました。重層的に幅広くこうした対策をしていくことがユーザーの使い勝手を上げることにつながると思っていますので、イベント会場などでもやれることを徹底的に片っ端からやっていく考えです。

――端末販売の収入増だったが、NTT資料では販売台数は微減。どういう取り組みがあったのか?

前田氏
 個人向けの端末販売が上向きました。増えているのは、販促強化によるところが大きいです。全体的に端末の単価も上がっているので収入があがったということです。

――ミリ波対応機種への割引増への政策の受け止めを聞きたい。KDDIでは「AIスマホ」などの普及拡大が望ましいのではとしているが。

前田氏
 我々としては、総務省の考えを受け止めてうまく活用して提供していければと思います。ミリ波エリアは我々もそれなりにあります。たとえば名古屋駅構内にもミリ波エリアがあります。何ができるのかを広げるにはエリアが必要で、端末も普及させて使える状態を作らないといけません。

 AIスマホを普及させたほうがいい、というのはそのとおりだと思います。ユーザーの利用の広がりを作ることが世の中の進化に対応するということで、生成AIは広く対応していくべきもの、そこは優遇というよりも広く対応できる端末を増やしていくことが大事だと思います。

――ahamo増量の効果はどうか?

前田氏
 解約率は低下してきていますので、もう少し注視していきたいです。加入数も増えており、MNPの改善にも貢献していると思います。他社も合わせてくるだろうなと思っていました。おそらく(30GBは)激戦区になるでしょう。ユーザーの動向を見ながらバージョンアップが必要かどうかも含めて考えていきたいです。

――若年層のMNP増加は何が理由なのか? 量販店やイベントでの販促を強化したということだがこれまでもやってきたように思う。

前田氏
 (販売施策を)強化したからということだと思います。今までもやってきましたが、これまでとは違うレベルで人員を投入し、量販店とも協力し合ってきました。若い方は量販店で加入されることが多いので、そこに手を打ったことで(量販店での)MNPは全体よりもさらに上がりました。

――dカード PLATINUMはなぜこのタイミングでの発表になったのか?

前田氏
 プラチナカードは以前からニーズがあると感じていました。dカード GOLDでも相当使っていただいている方もいます。我々はdカードの新システムへの切り替えをずっと進めてきましたので、システム開発がいったん落ち着いたところまで待たなくてはいけなかったということがあります。

 今回、タイミングがきましたので、発表に至りました。かなり使っていただけそうな対象の方々がいらっしゃると思います。100万円以上使う方やeximoポイ活などほかのサービスと組み合わせることでお得になります。通信やポイ活とのコラボレーションをうまく作りながら大きく広げていければ。数百万程度の方々に使っていただきたいと思います。

――競合他社では、デジタル給与払いへの対応を進めている。ドコモは対応しないのか?

前田氏
 我々も準備しています。色々と条件もあるので厚生労働省と議論をしています。一番最初はNTTグループ全体で進めたいと考えています。規模の大きい企業なので、準備しなければいけない部分も多いですが、なるべく早いタイミングでサービスを開始したいと思います。

――銀行参入の進捗は?

前田氏
 現時点ではまだお知らせできる段階ではありません。焦ってはいますが。頑張って進めていきます。