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「Lime」と三井住友海上が連携 電動キックボードの普及や安全対策でタッグ

 電動キックボードなどのシェアリングサービスを展開する「Lime」と三井住友海上火災保険がパートナーシップを結んだ。電動マイクロモビリティの普及や安全対策などに取り組む。

左から三井住友海上 有元威彦 執行役員、同 立松博 取締役、Neutron Holdings ウッディ・ハートマン COO、Lime テリー・サイ カントリーマネージャー

電動モビリティの普及や安全対策で連携

 連携する内容には、Lime利用者に対する保険商品の提供や交通安全やリスク管理に関する講習会の定期開催、交通ルールなどをまとめた電動キックボードの利用ガイドブックの共同制作、三井住友海上のビジネスマッチングを活用したポート設置、同社と自治体との包括連携協定でのLimeの展開が含まれる。

 Limeでは三井住友海上の自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)と対物・対人賠償事故を補償する保険をすでに導入している。都市部の交通渋滞や公共交通機関の撤退などの社会課題が深刻化するなか、両社ではこうした課題の解決に向けて取り組む。事故のデータを分析することで、事故リスクの軽減なども検討する。

 ほかに、交通ルールに関するクイズに全問正解しなければ利用できないことに加えて、ヘルメットを着用した姿を自撮りすれば10%割引などの安全対策が実施されている。違反が発覚した場合、法的な処罰を受ける可能性が警告されるほかLimeアカウント停止などの措置がとられることもある。

車体は日本専用仕様

 車体に立って乗る電動キックボードとシートに座って乗れる「電動シートボート」の2車種を展開。海外で用意される電動アシスト自転車は日本人の体格に合わないとして、現時点では投入されていない。

 車体は日本の法規に合わせており、最高速度が6kmに制限されるモードが備わるなど海外仕様とは一部異なる。無理のない姿勢で乗車できるようカーブを描くハンドルや低重心で走行安定性を高めた。バッテリーは取り外して充電でき、修理時に部品を再使用しやすいよう工夫されている。

日本では7:3の割合でシートボードの利用が多いという

2030年には全国展開目指す

 Limeは2017年にサービスを開始したマイクロモビリティサービス。当初は自転車のシェアリングからスタートした。電動アシスト自転車や電動キックボードなどを路上の「ポート」で借りて目的地の付近のポートに返せる。短距離の手軽な移動手段として、現時点で世界280以上の都市でサービスを提供しており、東アジア地域での展開は現時点で日本が唯一という。

 8月19日から東京都内の渋谷区、新宿区、目黒区、世田谷区、豊島区、中野区の6区でサービスを開始した。ポートは40以上設置されており、200台ほどの車両が用意される。Limeでは12月末までに2000台、2026年3月末までに2万台まで車両台数を増やすことを計画しており、2030年度を目処に全国展開を目指す。直近の計画としては、2025年3月までには関東地方の主要都市への展開を見込む。その後は関西地方へも利用可能地域を広げる。

 「いかに社会課題を解決するかをメリットとして考えてもらい、サービスを提供していきたい」とLimeのテリー・サイ カントリーマネージャーは話す。免許を返納した高齢者など、日常の移動に支障があるケースや排気量50ccのミニバイク(原付一種)の生産終了が見込まれることなどから、さまざまな需要を見込む。