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ドコモのキーパーソンに聞くエンタメ戦略 音楽イベント「LAPOSTA 2025」などで“ひと味違う”プロモーション

 LAPONEエンタテインメント主催の大型音楽イベント「LAPOSTA 2025 Supported by docomo」が、2025年1月27日~2月2日、東京ドームシティで開催される。グローバルボーイズグループのJO1やINIのメンバーが自らプロデュースするイベントのほか、LAPONE所属の全アーティストが集う公演も予定されている。

 イベント名にある通り、トップパートナーを務めるのはNTTドコモ。公演チケットの先行販売や「ドコモ未来フィールド×LAPOSTA 2025」の実施などを通じ、盛り上がりを後押ししていく。

“LAPOSTA史上最大”と銘打たれ、来場者数100万人を目指す。写真はJO1のメンバー

 映像配信サービス「Lemino」でJO1のオリジナル番組などを配信するなど、ここ最近ではエンタメ分野への注力を強めている印象のドコモ。その狙いはいったいどこにあるのか――。

 「LAPOSTA 2025」の説明会後の囲み取材で、ドコモ スマートライフカンパニー 執行役員 エンターテイメントプラットフォーム部長の櫻井稚子氏に話を聞いた。

櫻井氏

LAPONEとドコモに共通するものとは

 LAPOSTA 2025を主催するLAPONEエンタテインメントはもともと、吉本興業ホールディングスと韓国のCJ ENMがタッグを組んで2019年に立ち上げた企業。その社名は、吉本興業が提唱する「Laugh&Peace(ラフ・アンド・ピース)」と、CJ ENMが掲げる「ONLY ONE」に由来している。

LAPONEエンタテインメントにはJO1やINIなどが所属する。写真は同社のチェ・シンファ(崔信化)CEO

 一方ドコモは、吉本興業ホールディングスとの業務提携に基づいてNTTドコモ・スタジオ&ライブを立ち上げ、2023年5月に事業を開始した。

 櫻井氏はLAPONEについて、「アーティストを活かしたイベントを、お互いのビジネスにつながるようなかたちで開催できる。ファンが喜ぶ企画を真摯に考えていける相手」と信頼を寄せる。

 LAPONEとドコモには、理念でも相通ずるものがあるという。エンタメを通じて社会を変えていこうとするLAPONEと、「新しいコミュニケーション文化の世界の創造」を企業理念に掲げるドコモ。「コミュニケーションの量を増やすという点で共通している」と櫻井氏は語る。

エンタメ分野に力を入れるメリット

 ドコモは、通信や金融・決済をはじめとした自社サービスの認知拡大に向け、エンタメが持つ力を活用していく。

 先述のJO1やINIが誕生したオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」はLeminoで配信され、累計MAU(Monthly Active Users、月あたりのアクティブユーザー数)が258万人、投票UU(Unique Users、Webサイトなどの訪問者数)が109万人を記録。dアカウントを用いて投票するしくみで、投票をきっかけにした新規アカウントの開設も多かったようだ。

 ドコモがJO1を応援していることを知り、JO1のファンがドコモのサービスに興味を持つ――期待されているのはこのような流れ。「我々も懸命に取り組んでいるが、ドコモらしさやドコモの新しい価値を伝えるのはすごく難しい」と語る櫻井氏は、アーティストの力を借りた集客効果に期待感を示した。

 LAPOSTA 2025で実施される東京ドーム公演のチケットは、「dカード GOLD」の会員向けに先行抽選販売が行われる。また、「eximo ポイ活プラン」契約者の中から抽選で2000人にチケットをプレゼントする企画も予定されている。

ユーザーの定着率を向上させる取組み、今後の展望も

 もちろん、アーティストなどを起点にユーザーを増やすことがゴールではない。「どんなに集客しても、(顧客が)離れてしまうと再びコストを使う必要が出てくる。ドコモを気に入って長く使う人を増やしたい」と櫻井氏は語る。

 そこでドコモは、集客後の“次の一手”として、データマーケティングにも力を入れて取り組む。1億人規模のdアカウントのデータ基盤を保有する同社では、エンタメDMP(データマネージメントプラットフォーム)というかたちでエンタメ関連のデータを取りまとめている。これらのデータは、個々のユーザーに最適な提案をするために活用される。

 また、年齢層に応じてユーザーとのタッチポイントにも変化を加える。たとえば「スマホ(でのプロモーション)は絶対」(櫻井氏)という若年層向けには、XやInstagram、YouTubeといったSNSを軸としながら、さまざまな場面で情報が目に入るようなマーケティングを実施していくという。