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23日開始の「Amazon ファーマシー」、処方薬のオンラインプラットフォームとしての役割やメリットとは

左から、長久堂野村病院 薬剤科 科長の荒川隆之医師、アマゾンジャパン 消費財事業本部 統括事業本部長 バイスプレジデントの前田宏氏、女優の瀬戸朝香

 アマゾンジャパンが23日に提供を開始した処方薬配送サービス「Amazon ファーマシー」は、医療機関で受け取った電子処方せんを、Web上にアップロードすると、オンラインで服薬指導が受けられ、そのまま店頭または配送で処方薬を受け取れるサービスだ。

提携薬局でのオンライン服薬指導と処方薬の手配

 「Amazon ファーマシー」は、Amazonショッピングアプリから利用できる。検索ボックスに「ファーマシー」と入力し検索すると、「Amazon ファーマシー」のバナーが登場し、初期登録を行う。初回のみ氏名と生年月日、既往歴などの入力を行う。

 次に電子処方せんの「処方内容(控え)」または「引換番号」の写真をアップロードし、ユーザーが利用したい提携薬局を選択し、服薬指導の日時を予約、処方薬の受取方法を指定できる。予約日時にオンラインで服薬指導を受けると、処方薬の注文と決済に進む流れになる。

 処方薬は、配送または指定した提携薬局で受け取れる。配送は、Amazon.co.jpからの配送ではなく提携薬局からの配送となるが、Amazonのアプリで配送状況を確認できる。

 提携薬局は、アイン薬局、ウエルシア薬局、共創未来、クオール薬局、新生堂薬局、薬局トモズ、V・ドラッグ、薬樹薬局、ユニスマイル薬局などの対象薬局。今後も提携する薬局は拡大すべく取り組んで行くという。

 また、メドレーが提供する総合医療アプリ「CLINICS」と連携しており、「CLINICS」のオンライン診療サービスのユーザーは、オンライン上で診療、処方せんを受け取れば、そのまま「Amazon ファーマシー」で処方薬の手配ができ、オンライン上で完結させられる。

利用するメリット、慢性疾患の治療継続率向上にも期待

アマゾンジャパン 消費財事業本部 統括事業本部長 バイスプレジデントの前田宏氏

 「Amazon ファーマシー」利用のメリットを、アマゾンジャパン 消費財事業本部 統括事業本部長 バイスプレジデントの前田宏氏は「Amazonアカウントを利用できること」や「待ち時間の短縮」、「サービスの利用料が無料」の3点を挙げる。

 Amazonショッピングアプリを利用しているユーザーは、初回登録のみで、シームレスに利用することができ、オンラインで完結できるサービスであるため、薬局への移動時間や待ち時間を省くことができる。また、ユーザー側には登録料やサービス利用料はかからないため、普段のAmazonでのショッピングと同じように利用できると前田氏はアピールする。

 説明会に登壇した長久堂野村病院 薬剤科 科長の荒川隆之医師は「40代~50代の会社員は、生活習慣病の治療継続率が低い」と指摘する。処方薬局が営業している昼間の時間帯になかなか処方薬の受取が難しいことが一因だといい、オンライン服薬指導があれば、「好きな時間に薬の説明が受けられ、高血圧や糖尿病、慢性疾患の治療の継続率向上が期待できる」とコメント。

 前田氏も、小さな子供がいる家庭や猛暑などで外出しづらい環境にいる場合に、配送で処方薬が受け取れるとメリットを強調した。

 説明会のゲストで女優の瀬戸朝香は、処方薬を受け取る際、「薬局で1時間くらい待つ時もあり、時間の調整が大変な時もある」とコメント。これを受けて前田氏は、オンライン服薬指導であれば、都合に合わせてオンラインで指導を受けられ、プライバシーも守られるとアピールした。

薬局の初期費用と固定利用料は不要

アマゾンジャパン 消費財事業本部 事業本部長 ディレクター/事業開発管掌の筒井剛氏

 アマゾンジャパン 消費財事業本部 事業本部長 ディレクター/事業開発管掌の筒井剛氏によると、サービスのマネタイズについて「初期費用や月額の固定利用料は基本的にかからない」とし、実際にユーザーに処方薬を提供した際に手数料がかかる仕組みだと説明。

 「Amazon ファーマシー」の意義について筒井氏は「ユーザーの利便性として何が一番最適な形かを検討した結果、Amazonショッピングアプリで利用できる使い勝手の良さと、薬局の薬剤師が持つ専門性の高さを組み合わせることが一番良い選択肢になると考えた」とコメント。

 将来的に、Amazonの流通に移行する予定や具体的なユーザー数などの見込みについては、どちらも「回答を控える」とした。