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Nothingが目指す「AIの姿」、カール・ペイCEOと深澤直人氏がトークショー

 「Nothing Phone (2a) Special Edition」の発売を記念して、東京都渋谷区でデザインイベントが始まった。7月5日・6日の2日間にわたり開催される。

左から深澤直人氏、Nothing Technology カール・ペイ氏、Nothing Japan 黒住吉郎氏

 5日午前にはイベント会場の渋谷区・クレインズ6142で、デザインに関するトークショーが開かれた。Nothing Technologyのカール・ペイ CEOとデザイナーの深澤直人氏が登壇。モデレーターにNothing Japan マネージングディレクターの黒住吉郎氏を迎えて「テクノロジーと愛されるデザインとは」をテーマにして語られた。

画一的なスマホに新しい風巻き起こすNothing

 デザイナーの深澤氏はかつてauから発売された「INFOBAR」を手掛けた。ここ10数年の携帯電話市場は、ソフトウェアで見ると、AndroidのグーグルとiOSのアップルで二分されており「かつてはひとつのブランドで数百万台売れればヒット。今では何億もの人が同じものを使い、個性がなくなったのかもしれない」と分析したうえで「Nothingが新しい魅力を持ち込み新しい世界ができつつある」と深澤氏。

 Nothing Technology創立メンバーの1人でCEOであるカール・ペイ氏も、深澤氏の示すテクノロジーが画一的になっている趣旨に同意を示し「テクノロジーをもう一度面白いと思えるようにNothingを作った」ことを明かす。かつて自身が見たソニー製品の展示に感銘を受けた経験を交え、技術者の夢を叶えるというソニーに対して、Nothingをデザイナーの夢を叶える会社に育てたいと、同社がデザインに比重を置く姿勢を明確にした。

 ハードウェアのみではなく、ソフトウェアも重要視しておりアップルのiOSが使い勝手やデザイン性のうえで優れているとしてペイ氏は「AndroidでiOSに競合できる製品を作りたい」と将来的な展望を語った。

Nothingが目指すAI

 テクノロジー業界の大きなトレンドのひとつが「AI」。NothingとしてはどのようにAIに向き合っていくのか。ペイ氏は「現在は、誰が将来的なコンピューターのかたちを作るかの競争が始まった」としたうえで、今後の進化を「コンピューターがユーザーを知ること」「ユーザーを助けられる存在になること」「デザインの変化」と見解を示す。

 ユーザーについて多くの情報を持つコンピューターで、ファースト・サードパーティ問わずにアプリのなかでユーザーの情報を適したかたちで使える環境、ユーザー自身すらも知らないことをコンピューター・スマートフォンが教えて、手助けしてくれる存在になることが期待されるとする。ユーザーインターフェイスのデザインも将来的に、単一のアプリがなくなるような時代になれば変化する必要があると述べた。

 深澤氏はかつて、GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェイス)が登場したときには劇的な変化だったものの、当たり前に使えるのでその変化に気づかなかったと実感を語り、AIもそれと同じ部分があるのではないかと指摘。世間一般で「AI」というとある種の懸念が持たれることも多いが、世の中はすでにAIに頼っていることも多く、AIとともに歩む世界を作る必要があるとする。AIに対してどんな姿を与えるかがデザインの役割とした。

 ペイ氏は、AIで仕事が奪われるなどの恐怖感があることに対して、企業側がもっと透明性を持ってなにを作っているのかをユーザーにわかりやすく伝える必要があると述べる。これまでの技術開発はあくまで人間の手助けをするツールを作るためのもので、AIもそれと同じく捉えるというのが本質であるとした。

 加えて最後に「日本では、我々の製品を好意的に受け止めてもらっている。実際に道を歩く人々が我々の製品を使ってもらっている様子を体験できる日が来ることを願っている」と語った。

Nothing Phone (2a)

 Nothing Phone (2a) Special Editoinは、Nothing Phone (2a)の限定エディション。カラーリングに赤青黄の3色を用いた。発売は7月8日で、Nothing日本公式ウェブサイトにて数量限定で取り扱われる。

 イベント会場では、Nothing Phone (2a) Special Editionが先行販売される。100台限定で、なくなり次第終了するという。