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NTT版LLMで“省電力高効率”な生成AIを、「ドコモビジネス」が目指すAIの未来をNTT Com菅原副社長が語る

 NTTコミュニケーションズは、法人事業の展示イベント「docomo business Forum'23」を10月12日~13日に開催する。開催前日の11日には、記者向けに内容が公開され、冒頭で同社代表取締役副社長の菅原 英宗氏から、同社のAI活用と今後について語られた。

 また、会場では同日に発表された自動走行ロボット管制サービス「RobiCo」など、NTTコミュニケーションズの法人向けソリューションが一堂に展示された。

省エネの生成AIで生産性向上を目指す

代表取締役副社長の菅原 英宗氏

 菅原氏は「(business Forumが)4年ぶりの開催、そして最初のセッションをさせていただく」と今回のセッションに意気込みを見せながら、NTTグループの中期経営計画にもAIへの取り組みが行われているとし、AI事業取り組みの本気度を示す。

 社会が抱える課題として菅原氏は「人口減少」や「生産性向上」をあげたほか、AIの発展について「エネルギー問題」が今後のAI発展に必要な取り組みだと指摘。今後登場する汎用AIの発展では、多くの電力が必要になることから、電力問題は特に解決が必要なものだとする。

 実際に世界のデータセンターのデータ量は2018年から30年で約16倍、消費電力は約13倍になるとし、AIの発展で必要となる電力量は加速度的に増加している。

 そこで、NTTグループでは低消費電力かつ高効率なAIとしてNTT版のLLM(大規模言語モデル)の構築をすすめている。これは、専門的で小規模な言語モデルをIOWNでつなぐことで、チップや通信の消費電力を下げつつ、効率的な大規模言語モデルを構成するもの。

 これに加えてコミュニケーションAIなどレイヤー上層のアプリケーションを充実させる。

 NTTコミュニケーションでは、コミュニケーションAI「COTOHA」を提供しているが、これに生成AIを組み合わせることで、パーソナライズ化できたり、これまでのシナリオベースのコミュニケーションから双方向のコミュニケーションがとれたりすることで、新たな顧客体験が提供できるとした。

 また、コミュニケーションAIに限らず、プラントの自動化などへの取り組みも進めている。これらは、現場ごとに現場作業員の巧みの技術をインプットさせる必要があるもので、開発ごとにコストがかかるものだという。これを生成AIがオペレーションを担うことで、生成AIが自動化AIを作成するいわゆるノードAIとすることも目指しているという。

 NTTコミュニケーション内でも、AIを使ったソリューションを活用しており、営業担当が各企業のさまざまな情報をAIに学習させ、提案書をAIが作成支援することで、提案準備稼働を40%削減させることを想定するなど、社内の生産性向上も図られている。

 今後は、ソリューション開発を進めていき来年度初頭からユーザー課題解決などソリューションを順次提供していくとしている。

生成AIでユーザーごとにおすすめを提案

 会場の展示では、実際に生成AIを活用したコミュニケーションAIのソリューションが展示されていた。

 たとえば、AIにirumoの料金をたずねると、料金体系が回答される。これに加えて、ユーザーへ「爆アゲ セレクション」を提案することで、ユーザーにパーソナライズされた返答ができるとアピールしている。

 会場ではこのほか、IOWNで40km離れた場所でリモートゲームを楽しむ展示などがあった。この例では、光ファイバーケーブル40kmのドラム経由でVR卓球をプレイすることで、遠隔地とのVRゲームが遅延なく利用できることが展示されている。

IOWNの装置
このケースに40kmの光ファイバーケーブルが備えられている
VR卓球を楽しむようす