ニュース

「メタバース」で地域の魅力を発信、ソフトバンク・養父市・吉本興業が連携

 ソフトバンクと吉本興業、兵庫県養父市はWeb3の活用に関する連携協定を締結した。第1弾として「バーチャルやぶ in ZEP」を提供する。

左からZAZZY、よしもとエリアアクション 泉氏、養父市 広瀬市長、ソフトバンク 原田氏、フリーアナウンサー久代萌美

メタバースで街を再現

 メタバース上で養父市を再現。市民同士の交流や会議が可能なスペースなどを用意した。養父市のニュースや天気、地元産品の紹介など地域の魅力・情報を発信していく。今後は現実世界と連動した吉本興業所属の芸人によるイベントの開催などを予定しているという。

 バーチャルやぶ in ZEPには、パソコンやスマートフォンなどのブラウザ上からアクセスでき、あらためてアプリのインストールなどは必要ない。

 通信技術やWeb3に関する知見が豊富なソフトバンクと所属タレントのアバター化・メタバース利用のほか、地域創生に寄与する番組づくりを得意とする吉本興業らが、それぞれの強みを活かして、養父市の地域活性化や市民サービス向上、DXの推進を進めていく。

 連携協定には、Web3を活用したメタバース構築、運用・保守管理、イベント・プロモーションに関する事項などの内容が含まれる。

地方創生の成功モデルに

 養父市の人口は2万1000人強。高齢化率が40%を越す一方で多くの観光資源などさまざまな魅力を持つ。同市の特徴は国家戦略特区の制度を活用していることで、これにより市独自の施策を生み出し、課題解決に取り組んでいる。

 同市ではすでに、吉本興業とともにメタバースを提供しているが、養父市 広瀬栄市長は「より推進力を強化して、より大きな成果を残すため、新たな展開として吉本興業に加えてソフトバンクとも連携して取り組む」と意義を示した。

 よしもとエリアアクション 代表取締役社長の泉正隆氏は「あなたの街に住みますプロジェクト」や地方創生がテーマの放送局「BSよしもと」を開局するなど、吉本興業が地方創生に深く関わってきたことを紹介。2022年には、養父市とともにVR Chatで「バーチャルやぶ」で魅力を発信するなどの取り組みを、今回の3者での取り組みに先駆けて展開してきた。

 ソフトバンク サービス企画本部 本部長の原田賢悟氏は、今回のメタバースを通じて養父市のファンをつくることで、オンラインのみならず実際に養父市を訪れてもらえるよう、ユーザーにアピールすると狙いを語る。

メタバース内でライブ配信されている様子

 今後、養父市の名産品を販売するECサイトとの連携や市外のユーザーでも発行できるというバーチャル市民証で、リアルと連動した特典の付与などを検討している。原田氏は、今回の取り組みを通じて「自治体、コンテンツ、技術の三位一体で成功モデルを作り、全国へ展開していきたい」とした。

メタバースの養父市を実際に体験

 会場では、吉本芸人のZAZZYが、実際にバーチャルやぶ in ZEPを体験。メタバース内では、ほかのユーザーとのコミュニケーションがとれるなど基本的な機能をそなえるほか、市役所なども再現されており特定の箇所をタップすることで、市に関する情報を閲覧できるなど、住民にとって実用性のある機能も用意された。

バーチャルやぶ in ZEPを体験するZAZZY
実際の画面
市役所内で情報も見られる

 養父市と吉本興業が従前から提供してきた、VR Chatを活用する「バーチャルやぶ」は、リッチなコンテンツを楽しめる反面、高いスペックを持つパソコンが必要。一方で、今回スタートしたバーチャルやぶ in ZEPは、スマートフォンからでもブラウザでアクセスでき、高いスペックも不要などのメリットがある。2つのメタバースは、現時点では共存していく見込み。