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NTTと北見工大、10km以上先の無電源地点へ光ファイバーで電力供給

 NTT(持株)と北見工業大学は、1本の通信用光ファイバーで通信品質を維持したまま、10km以上先の無電源地点へ1W以上の電力を供給することに成功した。世界初の成功例になるという。

 これにより、あらゆる光通信の未踏エリアへの高速光通信の提供や、災害時などの応急措置としての光ファイバーを用いた通信が期待できる。

 この成果は、スコットランドでの国際会議「49th European Conference on Optical Communications(ECOC)」に採択され、現地時間の10月4日に発表される。

 従来の技術では、光ファイバーの入力光強度の限界により、10km離れた場所に光通信装置に必要な電力を供給することが不可能だった。今回の研究では、一般的な通信用光ファイバーと同じ直径で4個の光の通り道(コア)を有するマルチコアファイバー(MCF)を使い、世界最高の自己給電伝送能力を実現したという。

 使用したMCFは、既存の光ファイバーと同じ細さで、同等の伝送特性を有するため、光給電を必要としない通常の光通信にも使用することができる。

 光給電量を最大にするため4コアに波長1550nmの給電用の光源が入力された。さらに、4コアのうちの2コアに波長1310nmの上りと下りの信号を割り当てることで双方向の光通信が実現している。

 また、MCFの利用により単位断面積あたりの供給電力を最大化し、システム内の戻り光を抑制することでMCFを14km伝送後に約1Wの電力が得られた、光給電能力は14W-kmとなり、世界トップの性能指数だという。

 さらに、自己給電による伝送速度10Gbit/秒の双方向光通信も実証した。これは、現在の一般ユーザー用光通信の最高伝送速度だとしている。

 検証において、NTTはMCFの最適化と光給電システムの構築、伝送特性評価を行い、北見工大は作製したMCFの光給電能力の解明を行った。