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デジタル庁、マイナンバー総点検の中間報告と保険証一体化に関する最終とりまとめ

 デジタル庁は8日、マイナポータルで閲覧可能な情報の紐付けの総点検における中間報告および、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会の最終とりまとめと、その関連資料を公開した。

河野大臣(デジタル庁)

総点検の中間報告

 地方自治体や関係機関などの紐付け実施機関に対して、個別データの点検が必要な対象機関の整理のため、紐付け方法の実態の確認を行い、その結果を公表した。

 個別データの点検が必要となった原因の多くは、J-LIS照会を住所を含まない3以下の情報(氏名・生年月日・性別)で行い、複数者が該当した際に、本人確認方法が具体的に定まっていなかったことが原因。

 地方自治体については8月8日付けで通知を行い、その他の紐付け実施機関については、各制度所轄省庁より8月8日に通知を実施した。

 健康保険証との紐付けについては、全3411保険者のうち1313団体において、合計約1570万件の登録データを対象に総点検を実施し、8月1日時点で約1515万件の確認作業を完了した。残る55万件は、既に転職や転居により被保険者資格を喪失した人に掛かるデータなどが含まれている。

 異なる個人番号が登録された事例は1069件(0.007%)で、全件でオンライン資格確認システムの閲覧を停止した。また、771件についてはオンライン資格確認の実施機関によるアクセスログの確認が完了し、薬剤情報などが閲覧された事例が5件確認された。

 こうした紐付けの確認は、マイナポータルを使って国民自身が行える。デジタル庁では、マイナポータルを使った確認する方法を、わかりやすい動画などで説明し促進していく。

 また、再発防止策として、マイナンバー登録事務に関する横断的なルール作成、マイナンバー照会方法の改善、登録事務のデジタル化の3点があげられている。

マイナンバーカードと健康保険証の一体化

 とりまとめでは、マイナンバーカードによるオンライン資格確認では、医療機関や薬局で、患者自身が加入している医療保険や自己負担限度額を確認できるほか、本人の同意に基づいて過去の薬剤情報や特定診断情報などを医療機関・薬局に提供できる。

 一体化によって、患者自身が服用している薬や過去に服用していた薬などの情報を正確かつ網羅的に説明する手間を省きながら、過去の健康・医療データに基づいた、適切な医療を低い窓口負担で受けることができる。とその意義を説明している。

 また、転職や転居による切り替えや更新が不要となるうえ、自己負担限度額を超える支払いの免除にあたって書類提出も不要になる。

 医療機関としても、患者からの問診票などよりも正確かつ効率的に、患者の過去の薬剤情報、特定健康診断情報などが確認でき、正確な情報に基づく適切な医療を提供できる。また、顔写真や電子証明書などのマイナンバーカードの機能によって、より確実な本人確認と資格確認が一度に行える等のメリットがある。

 とりまとめでは、これらのメリットを政府がより丁寧に国民や医療機関へ伝え、マイナンバーカードと健康保険証の一体化の意義について理解を求めることが重要とした。さらに、将来的には診察券や公費負担医療の受給者証もマイナンバーカードと一体化することで、いっそうメリットが大きくなることを見据え、紙の健康保険証廃止を混乱なく迎えられるように準備する。とまとめている。

特急発行の窓口・仕組み、代理申請など

 紛失などにより速やかにマイナンバーカードを取得する必要がある場合は、市町村の窓口で申請を行う特急発行・交付について、発行機関の短縮に加えて、カード発行主体であるJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)から直接申請者にカードを送付することで、申請から1週間以内(最短5日間)で交付ができる仕組みを創設し、2024年秋までに新生児や紛失などによる再交付、海外からの転入者を含めて合計で年間360万枚(1日約1万枚)まで対応できる体制を構築する。

 さらに、市町村の窓口を訪問することが困難な場合に、代理交付を活用するための「疎明資料」について、入手が容易・費用がかからないもので対応するように緩和するとともに、成年被後見人や中学生以下の子ども、75歳以上の高齢者などには実質不要とし、柔軟に代理交付の仕組みを活用できるように、自治体向けの事務処理要領を改訂した。

 宗教上または医療上の理由で、顔の輪郭がわかる範囲を布などで覆う写真を使う人や、乳幼児や障がいのある人、寝たきりなどの理由で、正面・無帽・無背景の適切な規格の写真を撮影できない場合でも、申請書の氏名欄に理由を書いて送付するか、マイナンバー総合フリーダイヤルに連絡することで使用可能であり、こうした対応を今年度中に改めて周知した。

 乳幼児向けのマイナンバーカードでは、マイナンバー法の改正を踏まえ、1歳未満の申請は顔写真なしのマイナンバーカードを出生届けの提出にあわせて申請が行えるように、2024年秋までに手続きの見直しを行い、特急発行の対象とすることが含まれている。

 取りまとめの公開にあわせて会見を行った河野太郎デジタル大臣は、スマートフォン向けのマイナンバーカードの電子証明書搭載について、Android向けは5月11日に提供を開始したが、iPhoneについては「働きかけを行っているところ」と、現状を説明した。