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生成AIはメディアにどのような影響を与えるのか? noteの報道陣向け勉強会に行ってきた

 noteは11日、「生成AIがもたらすマスメディアの進化」と題した報道陣向けの勉強会を開催した。テーマは「マスメディアはAIとどう共存していくか」で、テキスト編(第一部)と画像編(第二部)の二部制で開催された。

 司会を務めたのは、同社noteプロデューサーの徳力基彦氏。第一部ではnote CXOの深津貴之氏、第二部ではStability AI Head of Japanのジェリー・チー(Jerry Chi)氏が登壇した。

徳力氏

AIが代行できること、人間にしかできないこと

 深津氏はまず、OpenAIのAIチャットボット「ChatGPT」のしくみを紹介した。「ChatGPTは確率的な判断に基づき、手前の文章や文脈に続きそうな文字をつなげていくAI」と説明した同氏。それゆえ、“もっともらしい嘘”=ハルシネーションが発生しやすいことなどが注意点として挙げられる。

深津氏

 一方で、「嘘をつくことをあらかじめ知っておけば、使い道はいくらでもある」と深津氏。たとえば、事実(ファクト)に基づく情報を「ChatGPT」に与えておけば、高い確率で正しい文章が生成される。同氏は「秘匿性が高くない場合であれば、データをすべてChatGPTに入れ、自分は“美味しいところ”だけ書くのも手」とコメントした。

 膨大な量の文章を生成できる「ChatGPT」などの存在により、深津氏は「コンテンツの量が飽和していく」と指摘。AIによるテキストが、地球に存在するテキストの99%を占めるような未来では、人間によるテキストをいかにして読んでもらうかがポイントになるという。

 AIが人間の仕事を代行する未来も予想されているが、「AIには当面できないこともある」と深津氏は強調する。それは「物理空間と密着していること」。メディアの場合、インタビューや対談などが例として挙げられる。

 深津氏は「最終的に人類に残るのは土下座」とジョークを交えつつ、「AIができることとできないことを認識することが大切。今後は『100個出してどれかが当たればいい』というボリュームの勝負は不利になる。人間にしかできないことをベースに、編集などのあり方を考えていくことが重要になってくる」と語った。

AIが生成した画像には、わかりやすいかたちで明記を

 ジェリー・チー氏は、画像生成AI「Stable Diffusion(ステーブルディフュージョン)」に触れながら、画像生成AIの特性を紹介した。

チー氏

 「実在しない人間や動物の写真・イラストを多く生成できる画像生成AIは、無限の可能性を秘めている」と同氏は語る。たとえば人間の手などはポーズにバリエーションがあるため、AIにとっては生成の難易度が高いが、改善するための研究開発はハイスピードで進んでいるという。

 こうした画像生成AIについて、メディア向けにチー氏が提案する活用方法はさまざまだ。たとえば記事上のイラストや写真はもちろん、「SNS投稿用のプレビュー画像を別途作りたい」というニーズなどにも応えられる。

 しかし、大きな課題としては、画像が本物なのかAIによるものなのかを判別しづらいことなどが挙げられる。そこで、AIによる画像を使う際の注意点としてチー氏が挙げたのは、読者にわかりやすいようなかたちで明記すること。同氏は続けて、「画像をAIにまかせ、そこで空いた時間を何に使うのかが重要になってくる」と語った。